コンパクトなFRモデルとして人気のBMW 2シリーズクーペ。その高性能モデル、ニューM2のワールドプレミアは10月に予定されており、開発も最終テスト段階に入っている。そのプロトタイプをオーストリアのザルツブルクリンクでテストドライブした。(Motor Magazine 2022年8月号より)
M2アイコンの4本出しエキゾーストパイプは健在
今年周年を迎えたBMW社から電気のアシストを受けない最後のエンジンモデルが2022年10月に発表される。その名はM2(G87)。日本でも3月から発売されている2シリーズクーペ(G42)のハイエンド スポーツバージョンである。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
目の前に現れた次期M2は、まだ社のトリコロールをランダムに配したカモフラージュが施されており、デザインの詳細は確認できない。シルエットはロングノーズ&ショートデッキのシリーズクーペ(G42)と同じだが、前後のホイールハウスが大きく膨らんでいるのがわかる。
またリアエンドに見える4本出しエキゾーストパイプも健在だ。正確な数値はまだ発表されていないが、従来のM2よりも全長はおよそ10cm長く、全幅はは5~6cmはワイドになっているはずである。
ボンネットの下には現行M3/M4に搭載されているS58型へとアップグレードされた直列6気筒ツインターボエンジンが搭載され、最高出力は少なくとも450ps、最大トルクは550Nmを発生すると言われる。
また組み合わされるトランスミッションは標準で6速MT、オプションで8速AT(M社チューンのステップトロニック)が用意される。
インテリアは走行に必要な箇所以外はすべてカバーされていたが、BMWモデルと共通の横長のカーブドワイドスクリーンで、表示メニューはM2オリジナル、プリセットされたモードから選択するドライブメニューは基本がロード、スポーツそしてトラックの3種でわかりやすく表示される。
もちろんその他、インディビデュアルセッティングも可能である。最初に試乗したのは6速マニュアルトランスミッションで腰の部分をしっかりとサポートしてくれるMデザインのスポーツシート、そして太めのステアリングホイールとシフトレバーはほぼ完ぺきなドライビングポジションを提供している。
豪快な直6サウンド&加速であっという間に250km/hへ
まずはインストラクターの後に付いて慣熟走行、このコースは本のストレートをいくつかのコーナーで繋いだハイスピードタイプなのがわかる。
続いて最終コーナーを抜けて750mのストレートに入ると前方車輛との間隔を保ちながらアクセルペダルを踏み込むと豪快な気筒サウンドを伴う加速で、あっという間に250km/hを超える。ブレーキングしながら最初のS字コーナーへ入ると、かなりきついことがわかり2速まで落として、再びペダルを踏み込んだのだが、少しラインが乱れた。
しかしハンドルを戻しながら加速をすると非常にコントローラブルで、容易に脱出が可能だった。従来のM2だったらもう少してこずったかも知れない。これは明らかにM3/M4から転用されたシャシによる効果だろう。もちろん移植に際しては拒否反応が出ないようにボディリア部分の剛性アップが行われた。
さらにフロントに比べてリアサスペンションはややソフトなチューニングを与えるとともに、M3ツーリングからヘビーデューティダンパーがさらに移植されている。
最初の3周が終わって次に8速AT仕様に乗り換える。ファイナルの変更だけで基本的にM3/M4と同じステップトロニックで、現行M2の7速DCTよりもずっと洗練されたシフトワークを発揮する。スパルタンな従来のM2ではマニュアルもありだったが洗練されたニューM2ではオートマチックが似合いそうだ。
このニューM2は冒頭に述べたように10月のワールドプレミアの後、23年4月からメキシコのサン・ルイ・ポトシにあるBMWメキシコ工場から一斉に世界市場に向けて送り出される。
日本での価格はまだ発表されていないが、すべての面でアップグレードされたニューM2はすでに販売を終了しているM2(F87)よりもおそらく10%以上は高くなるだろう。円安が続けば1000万円の大台を超えるかもしれない。(文:アレキサンダー・オーステルン<キムラ・オフィス>/写真:キムラ・オフィス)
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