あまり目にしたことはないかもしれませんが、この標識は「横断するカルガモに注意」という意味を持っています。なぜ、このような特徴的な標識が設置されているのか、この標識を見かけた場合に注意すべきことを解説していきましょう。
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●文:月刊自家用車編集部(ピーコックブルー)
実は道路には、こんな珍しい標識が設置されている
カルガモは水辺に生息するイメージが強いかもしれませんが、住宅街や市街地を横断するのは、「産卵する場所」と「子育てする場所」が異なることが理由になっています。
カルガモは水辺で生活しますが、安全な巣作りのために水辺近くの草むらや竹やぶなどの乾いた地上に巣を作ります。そして冬につがいを形成し、4月から7月の間に10~12個の卵を産んだあと、約1ヶ月の孵化期間を経て子ガモが誕生します。
産卵期にはつがいが解消されるため、子育てをするのは母ガモのみ。孵化した子ガモはすぐに地上を歩くことができ、母ガモは子ガモが生まれると天敵が少ない水辺まで大移動を行います。
母ガモは子ガモの安全を第一に考えて行動し、目的地の水辺まで安全なルートを選び、母ガモが前後を警戒しながら子ガモを誘導していきます。
しかし、生まれて間もない子ガモにとって、この道のりは危険だらけ。
移動中に野良猫やカラスなどの天敵に襲われたり、急流に飲まれて母ガモとはぐれたりと、最悪のケースでは子ガモが全滅してしまうことも多いそうです。
さらに、私たちドライバーもカルガモ親子にとっては脅威と言えるでしょう。
―― 突然カルガモの親子が飛び出してきた場合、轢いてしまう可能性も。
カルガモ親子が安全に移動できるため、各地でボランティアが活動中
そのため、カルガモ親子の道路横断をめぐって、全国各地でさまざまな支援活動がおこなわれています。
まず注目すべきは、カルガモ横断注意を促す道路標識の設置です。
カルガモの横断が頻繁に見られる地域では、「カルガモ横断注意」や「飛び出し注意」と書かれた専用の警告標識が設けられていることがあります。
この標識によって、ドライバーに速度低下と注意深い運転を促すことを目的としているそうです。
また、地域住民によるボランティア活動も盛んにおこなわれています。
例えば、カルガモの横断が多い時期に、地域のボランティアが交代で見守りをおこなう取り組みがあります。
ボランティアは、カルガモ親子が道路を横断する際にクルマを一時停止させたり、危険な道を避けるように誘導しています。
―― 動物飛び出し注意の標識にはさまざまな種類があるが、「カルガモ横断注意」は一部の地域でしかみられないレアな標識。
カルガモ親子の移動を、警察が協力するケースも……
この取り組みは民間のボランティアだけでなく、警察の協力によっても成り立っています。
過去の事例では、東京渋谷区初台の街道に現れた8羽のカルガモ親子を警察官が誘導したそうです。多くのクルマが行き交う中、警察官数人がカルガモ親子を取り囲むように誘導し、2時間以上かけて神田川まで見送りました。
ほかにも、横断中に側溝や立体駐車場に落ちてしまった子ガモを、地域住民と警察官が協力して救出するなど、警察が対応する場合も多々あります。
動物は人間の子ども以上に予測不可能、見つけたらまずは減速するのが鉄則
これらの取り組みは、人間とカルガモが共生する社会の実現に向けた重要なステップ。
私たち一人ひとりがカルガモの存在に気を配り、保護活動に協力することで、生態系の維持につながります。運転中にカルガモ親子の横断を発見したら、すぐにスピードを落とし、必要に応じて停車する準備をしましょう。
急ブレーキは後続車両との接触事故を引き起こす可能性があるため、できる限りゆるやかに減速することが大切です。
また、カルガモの動きを注意深く観察することも重要です。
カルガモは突然方向を変えたり、立ち止まったりすることがあるため、十分な距離を保って観察する必要があります。
特に道路脇に母ガモがいる場合は、子ガモが突然飛び出してくることがあるため、細心の注意を払いましょう。
安全な場所に停車できる状況であれば、カルガモの横断が終わるまで待機するのが望ましいですが、交通量の多い道路や見通しの悪い場所では、停車すること自体が危険を招く可能性があるので、状況に応じて判断しましょう。
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