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【止まらないブレーキ要注意!!】クルマ初心者にもできるブレーキの手入れとは?

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【止まらないブレーキ要注意!!】クルマ初心者にもできるブレーキの手入れとは?

 ドライバーのみなさん、日頃からブレーキをしっかりチェックしていますか? 

 キーッという、摩耗したブレーキパッドがブレーキローターにあたる音を出していませんか?

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 また、 ブレーキを掛けた時にローターが偏摩耗した時に起きる、ステアリングが揺すられる、といった現象は起きていませんか?

 でも、こういう症状が出ても、どうすればいいのかわからないというクルマ初心者も多いのではないだろうか。

 ということで、クルマ初心者にもできる、ブレーキの不具合をチェックする方法、手入れの仕方をモータージャーナリストの高根英幸氏が解説する。

文/高根英幸
写真/Adobe Stock

ブレーキは重要保安部品!

ブレーキはクルマの重要部品。クルマ初心者であっても、ブレーキは自分の命を預ける重要部品なのだから、整備はすべてディーラー任せにせず、普段からチェックする癖をつけておきたい

 クルマにとって最も大事な要素がブレーキだ。エンジンや変速機が壊れても走行不能に陥ってしまうが、走行中にブレーキが壊れたら、何かに衝突しなければ止まれないこともある。どちらが危険か考えれば、ブレーキこそ一番大事であることが分かるだろう。

 エンジンのないEVでもブレーキは備わっており、走行していくうちに摩耗や劣化していくから、ブレーキの点検整備はすべてのクルマで必要な作業だ。

 ブレーキは重要保安部品となっているので、道路運送車両法でもブレーキの分解整備は、整備士の免許を取得しているプロのメカニックが認証工場で行なわなければならないと、法律上定められている。

 しかし自分のクルマに関しては所有者が点検整備を行なうことが原則なので、どこを整備しようが自由だ。

 ただし、整備不良により交通事故を起こせば、運転以外の車両の安全性に関しても責任は問われることになるから、あくまで自己責任で点検整備は行なうこと。

 クルマに限らずDIYメンテナンスを行なう際には、まずは走行に支障ない部分から行なうのが鉄則だ。

 さらに言うなら、いきなりクルマのメンテナンスから始めるのは、リスクもハードルもけっこう高いことだ。

ブレーキペダルを踏んだ力はブレーキブースター(倍力装置)で力を増し、マスターシリンダーによって液圧(油圧)に変換。その圧力はブレーキオイル(ブレーキフルード)で満たされている配管を通って伝わり、4つの車輪に装着されたブレーキ内のピストンを押す力となる。ピストンは、摩擦材であるブレーキパッドを、車輪とともに回転するディスクローターに押しつけます。パッドがローターを両側からはさみ、ローターに押しつけられることによって、車輪の回転が止まり、クルマが減速、停止する仕組み

 理想的な順序としてはプラモデルなどの組み立てキットを経験し、いらなくなったPCや目覚まし時計などを分解、組み立てて、ネジの締め付け具合やプラスチックの爪の噛み合いを外すなどのコツを覚えることから始めたい。

 その後、自転車やオートバイなどを経てクルマの整備にチャレンジするのが、DIYメンテのプロセスとしてはリスクが抑えられる。

 もっとも最近のクルマはメンテナンスフリー化が進んでいるので、部品やネジの脱着を伴わない点検作業でも、意外と多くのことができる。最初はそうした点検だけを行なうことで、愛車との関係を近づけるのもいい。

 ブレーキも点検を自ら行なうことで、トラブルを未然に防ぎ、維持費の節約にもつながる。ボンネットを開けるだけできるブレーキの点検、実はこれはメンテナンスの基本ともいえるもので、意外に重要なのだ。

ブレーキフルードの量、汚れをチェック

ブレーキフルードのチェックは、ブレーキリザーバータンク内の液量が規定の範囲(MAXとMINの間)にあるかを点検。 ブレーキ液の減りが著しい時は、ブレーキ系統からの液漏れやブレーキパッドなどの摩耗が考えられるので整備工場へ依頼して原因を突き止めよう

 ブレーキフルードのリザーバータンクを見て、ブレーキフルードの量と汚れをチェックする。最初はリザーバータンクを外から見て、レベルに達しているか確認することから始めたい。

 基本的にはブレーキフルードは減っていくものではない。ブレーキフルードが減っているなら、それはフルードが蒸発していたり漏れているというより、ブレーキパッド(ディスクブレーキ)やブレーキシュー(ドラムブレーキ)が減って、それらを押し付けるピストンが移動することでフルードの内部使用量が増加している、ということだ。

 昔はドラムブレーキのホイールシリンダー(ブレーキシューをドラムに押し付ける部品)の内部が虫食い状に腐食して、ドラムブレーキからフルードが漏れるようなトラブルもあったが、現在はそんなトラブルはほとんどない。

 リザーバータンクを外から見ているだけでは、ブレーキフルードの汚れは分かりにくい。キャップの内側に付着しているフルードをボディに垂らさないように(塗装が剥がれたりシミになる)注意しながらキャップを外し、直接フルードの色を確認したい。

 ブレーキフルードは使用しているうちに劣化してくる。新品時のフルードは若干黄色がかった透明だが、タンク内のフルードが茶色くなってきているようなら全量交換する必要がある。目安は2年に1度、車検時がちょうどいい。

ある程度のスキルがあるならホイールを外してパッドの状態も確認したい

ブレーキパッドはおおよそ新品が10mmで摩耗限界は2mmだが、5mm以下になったら交換を検討したい

 スタッドレスタイヤへの交換を自分でできる程度のスキルがあるなら、ブレーキパッドの残量を確認することもできるだろう。

 ジャッキアップしてタイヤホイールを外し、ブレーキキャリパーの隙間からブレーキパッドの側面を見て摩耗具合を点検するのだ。

 ステアリングを左右どちらかに大きく切れば、ホイールハウス内に頭を入れなくても点検はできる。

 万全な状態で点検するならジャッキで持ち上げただけの状態では不安定なので、リジッドラックなどでしっかりとクルマを固定することだ。

ドラムブレーキの点検方法

リアブレーキにドラムブレーキを採用している車種は意外に多く、プリウス(先代20系)、アクア、シエンタ、ヴィッツ、ノート、マーチ、フィット、スイフト、デミオ、ハイエース、キャラバンなどが採用している。軽自動車ではN-BOX、デイズ/ek、ワゴンR、タント、スペーシア、ハスラー、ジムニーなどが採用

 リアがドラムブレーキの場合、ホイールを外してブレーキドラムも外し、ブレーキシューとドラム内側の摩耗具合を点検する必要がある。

 ディスクよりも若干スキルが高い作業なので、無理して行なうことはせず、車検時に整備業者に任せてしまうのも手だ。

ドラムブレーキでは足元のブレーキペダルを踏んだ力はブレーキブースター(倍力装置)で力を増し、マスターシリンダーによって液圧(油圧)に変換。その圧力はブレーキオイル(ブレーキフルード)で満たされている配管を通って伝わり、4つの車輪に装着されたブレーキ内のピストンを押す力となる。ピストンは摩擦材であるブレーキライニングを車輪とともに回転するブレーキドラムの内側に押しつける。回転するドラムの内側にライニングが押しつけられることによって車輪の回転が止まり、クルマが減速、停止

 すでにエンジンオイル交換やスパークプラグの交換といった作業をこなしているメンテ中級者であれば、ブレーキパッドの交換もできないことはない。

 キャリパーを固定している上下のボルトのうち片側を外すことで、キャリパーを反転させれば、ブレーキパッドにアクセスできる。

 ただし、パッドが磨り減ったことでキャリパーピストンが突き出ているから、新品の分厚いブレーキパッドを装着するには、専用のツールを使ってキャリパーピストンを押し戻す必要がある。

 対向ピストンキャリパーのブレーキは、キャリパー固定のボルトを緩めることなくキャリパーの外側から固定ピンを抜くだけで摩耗したパッドを抜き取ることができるが、やはり突き出したピストンを押し戻す作業は必要だ。

 ブレーキパッド交換のような本格的にクルマを整備するには、作業するための工具を揃える必要がある。

 今は自動車専用のツールを格安で揃えている工具専門店も全国にあるので、それらを利用することで以前よりリーズナブルにDIYメンテナンスの環境を整えることが可能だ。また頻繁に使うものではないから、仲間内でシェアしてもいい。

ディスクローターやブレーキフルードもチェック!

ジャダーがおきたらローターの偏摩耗を疑ったほうがいい

 さて、磨り減ったブレーキパッドを交換するだけでは、ブレーキの整備としては片手落ちだ。ディスクブレーキの場合、ディスクローターも磨り減っていくし、前述のようにフルードも劣化する。

 特に輸入車の場合、ブレーキのフィーリングにこだわってパッドとディスクローターの両方が摩耗するので、パッド交換2回に対してローターを1回交換するのが通常の交換頻度だ。

 ブレーキフルードの交換は、サーキットでスポーツ走行を楽しむというほどブレーキをハードに使うドライバーでなければ前述の通り、2年に1度で充分。フルードを入れ換えるとブレーキペダルのフィーリングでダイレクト感が高まり、ペダルのストロークも減って制動力がコントロールしやすくなる。

 ブレーキフルード交換も自分で行なうことはできるが、専用の道具を使わないのであれば、一人で作業するのは難しい。

 ブレーキペダルを踏みながら、キャリパー内のフルードをブリードニップルから抜き取る必要があるからだ。またブリードニップルの締め過ぎはキャリパーを使用不能にしてしまうので、メンテ上級者になってから作業するべきだ。

 最終的にブレーキ系は、マスターシリンダーやブースター、キャリパーやホースなども内部が劣化していくので、乗り続けるためには完全にオーバーホールする必要が出てくることを覚えておきたい。

ディーラーや整備工場にブレーキの整備を依頼するといくらかかるのか?

 自分で整備まではできなくても、点検だけでも行なえば、ブレーキパッドが使用限度(貼られている摩材全部を使い切る、という意味ではない)まで摩耗した状態まで使い切って交換作業を依頼できるので、部品代の節約にはつながる。

 しかし点検までディーラーに依頼する場合、は話が変わってくる。次の点検までに使用限度に達してしまう恐れがある場合は、ディーラーは早めの部品交換を勧めてくるからだ。

 すべてをディーラー任せにしているなら、点検と部品交換を一度に済ませたほうが作業代の節約になるので、結局は安上がりになることも多い。

 ブレーキフルードやパッドの交換は、点検と同時であれば部品代+αで済むが、ディーラーで単独の整備を依頼すれば工賃だけで2、3万円(車格によってはさらに高額に)はかかる からだ。

 パッド残量を定期的に見て、最適なタイミングでブレーキパッドを交換できるのが、所有者自らが点検することの最大のメリットだろう。

 オートバックスなどのカー用品店では、ブレーキパッドやフルードの交換は純正品ではなく、高性能なスポーツパッドやフルードを選ぶこともできるし、格安な純正代替品を選ぶこともできる。

 ショップによってはネットで部品を購入し、持ち込みで交換してくれるところもある。

 部品、整備工賃はショップによってまちまちだが、ディスクブレーキのパッド交換の場合、1輪あたりの整備工賃は5000円あたりが相場だ。

 しかし地域やショップによって大きく変わることがあるので、事前にネットなどで調べて、信頼できるショップのなかから手頃な費用のところを選ぶようにしたい。

走行中、ブレーキからこんなサインが出たら要注意!!

キーキーと音がしている場合、ブレーキパッドが摩耗し、ローター本体を傷つけている

 最後に高速道路を走行していてブレーキをかけるとステアリングが振動する、というのならディスクローターが偏摩耗している可能性が高い。

 また走行中、常にキーッと高い音が出ているのは、ブレーキパッドが摩耗限界に達してセンサーがディスクローターと接触している場合が多い。こうなったら、できるだけ早くブレーキのメンテナンスを行なうべきだ。

 近年はユーザー代行車検で維持費を安く済ませようというユーザーも多い。しかしユーザー車検はユーザーが自己責任で点検整備を行なうことが前提で、代行車検業者の中には車検に合格することだけを優先して費用を安くしている場合もあるので、キチンと点検整備をしてくれる業者確認するか、そうでなければ自分で点検するようにしなくては危険だ。

 クルマをDIYメンテナンスすることは、整備費用を抑えるだけでなく、自分で愛車の問題点を克服できたという達成感、愛車を好調に維持できているという満足感が味わえるのも楽しみだ。

 徐々に作業範囲を広げるようにして、楽しめれば、趣味と実益を兼ねた一石二鳥になる。

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