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フロントロウから“大後退”で王座に黄信号? 野尻智紀「逆転は充分にできる差。ただ、相当まとめ上げないと無理」

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フロントロウから“大後退”で王座に黄信号? 野尻智紀「逆転は充分にできる差。ただ、相当まとめ上げないと無理」

 10月13日に富士スピードウェイで行われた全日本スーパーフォーミュラ選手権の第7戦決勝。ポールポジションから坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)が今季3勝目を果たした一方、2番手スタートだった野尻智紀(TEAM MUGEN)は、ポジションをずるずると落とす展開となり、9番手でフィニッシュ。レース後、タイムペナルティを受けた車両が2台いたため、順位が繰り上がって正式結果では7位となったものの、2戦を残すタイトル争いでは、やや厳しい状況へと追い込まれた。

■集団でのレースを想定してダウンフォースをつけるも効果得られず

坪井を意識せざるを得なかった野尻の戦略。アタック失敗で「落ち込んだ」牧野のリカバリー【第6戦あと読み】

「予選ではすごく尖ったセッティングで、何とかパフォーマンスを出すことができました。そこからレースに向けていろいろなトライをしましたけど、8分間のウォームアップで思ったような結果が得られず……その中でダウンフォースを付けて走っていきました」と野尻。

 前日の第6戦では混戦模様となった後半スティントで劣勢となり、順位を下げる展開となった。第7戦は2番手スタートであることと、第6戦同様に混戦が予想されたため、“集団のなかでも戦えるようなクルマにする”ことをテーマに置いたという。

「具体的に話すと、フロントの車高とかを下げてでもダウンフォースを増やさないと、ああいった集団のなかで走れないなというのがあって、昨日のデータを振り返るとフロントの車高が気になったので、今回はリヤ(のダウンフォース)を付けて、フロント車高も下げて……それで走れば集団の中でも戦えるバランスになるのかなと思って臨みました」

 しかしレースが始まってみると「むしろ昨日より悪くなってしまったなという感じでした。リヤウイングの感度がかなり大きく、クルマの姿勢もあまり良いものにならなかったなと……しっかりとフロントから空力を得られなかったなと思います」と野尻。改善を期待したセクター3で逆にライバルたちに迫られる展開となり、メインストレートでのバトルで劣勢になってしまった。

「セクター3はまったく改善されなくて相手に追いつかれて、OTS(オーバーテイクシステム)を使わざるを得ない状況になって、翌周で相手が使える状況になって簡単にパスされるというワンパターンな展開になってしまったという感じでした」と、野尻は厳しい表情をみせた。

「今週を振り返るとストレートがなぜか遅いなというのがあったので、もう少し踏み込んだ解析が必要。しっかり改善できるかというのも大切かなと思いますが、次の鈴鹿はダウンフォース量も増えますし、今とは様相を違ってくるので、そこに引っ張られ過ぎずに頑張れればなと思います」

■鈴鹿決戦へ「人生で一番頑張った1カ月にしないといけない」

 これにより、ポイントランキングでもついに首位から陥落し、坪井から16.5ポイント差の3番手に後退。3度目の王座獲得に向けては苦しい状況になったと言わざるを得ないポイント差ではあるが、「個人的に、この1カ月間は人生で一番頑張った1カ月にしないといけないかなというふうに思っています」と、逆転王座へ決意を固めている様子だった。

「まだまだチャンピオンシップは諦めていませんし、鈴鹿は開幕戦で優勝しているサーキットですから、なんとか挽回して『まだまだ終わっていないぞ』というのをお見せできれば、また盛り上がると思うので。そういった役者のひとりになりたいなと思います」

「(ポイント差に関しては)鈴鹿での土曜日のレースが終わってどうなるか? だと思っています。ポールポジションを獲って優勝をすれば、(状況が)一気に変わってくると思います。あとはその時の坪井選手、牧野(任祐)選手がどのポジションにいるかだと思うので……まだまだかなと思っています」

「少なくとも鈴鹿では牧野選手が速いのかなと思いますけど、逆転は充分にできる差なのかなと思います。ただ、相当まとめ上げないと無理なことも事実です」

 今回の富士2連戦では好調な坪井にランキングでもリードされることは想定していながらも、2戦続けて苦戦を強いられた野尻は、「自分のこれまでのレースキャリアを振り返っても、今日こうして“もがき苦しんだ1日”が、鈴鹿でプラスとなって返ってきてくれたら嬉しいなと思います」と希望を語った。

「もしからしたらチームもそうですし、僕も心のとこかで突き詰め切れていない部分があったのかもしれないし、(そういったことで)こういう状況になったということはあるのだと思います。今日のレースをひとつの戒めではないですけど、気を引き締めるひとつの要素と捉えて、また強く戦うしかないですね」

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