年間40万台の販売数への決意
text:James Attwood(ジェームズ・アトウッド)translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)アルファ・ロメオが販売拡大に期待を寄せるコンパクトSUVが、ニューモデルの「トナーレ」。正式発表は2020年と目されていたが、生産型に近いクルマの画像を入手した。
ほぼデザイン的には完成したと思われる写真は、SNSで拡散される前に、イタリアの自動車専門情報ページにアップされたようだ。
ジュネーブ・モーターショーで発表されたコンセプトカーに近いクルマだが、いくつかの変更点も見られる。フロント周りはボンネットとバンパーとの継ぎ目の位置が変わり、ヘッドライトは一般的なものになったように見える。リアガラスは大型化し、テールライトは高さ方向で大きくなった。基本的なプロポーションは、コンセプトカーにとても近い。
トナーレの発売は2020年末で、2020年の半ばには生産モデルが発表される予定。英国では2019年7月のグッドウッド・フェスティバルで、コンセプトカーがお披露目されている。
カテゴリーとしては、BMW X1やアウディQ3などのライバルとなるはず。アルファ・ロメオのモデルレンジとしてはステルヴィオよりも一回り小さいクラス。トナーレという名前は、イタリアの峠道の名前から来ている。アルファ・ロメオとしては初めてプラグイン・ハイブリッドを搭載したモデルともなる。
コンセプトカーの発表時にはわれわれに驚きを与えたトナーレ。欧州のブランディングを率いるロベルタ・ゼルビの話では、2018年の15万台の販売数から、年間40万台へ増やす目標達成に向けた強い決意の表れでもあるという。
コンセプトモデルからのデザイン変更は小さい
「トナーレがベストセラー・モデルとなることを期待しています。アルファ・ロメオの他のクルマも合わせれば、2024年までに欧州のマーケットニーズの80%を満たすモデルラインナップが完成します。今日よりもより力強いポジションを得ることができるはずです」 とゼルビはコメントしている。
またゼルビによれば、フロントガラス用ワイパーを追加したり、4シーターから5シーターへと改めるなど僅かな変更を加えつつも、大きなデザイン上の変更は加えずに量産化するとも述べている。
「コンセプトモデルは、量産モデルの姿をよく表しています。全体のプロポーションだけでなく、(円形が連なった)テレフォンダイヤル・ホイールのデザインや、3連のヘッドライト、ダッシュボードの形状など、ディティールも実現性の高いものです」
トナーレに搭載されるハイブリッドは、間もなくジープ・レネゲードに導入されるものと同じシステムとなる見込み。フロントにエンジンを搭載し、リアに電気モーターを搭載すること以上の詳細は明らかになっていない。
ちなみにジュネーブ・モーターショーで発表されたレネゲードのPHEV版のパワートレインには、239psの最高出力が与えられていた。アルファ・ロメオに搭載される場合はパフォーマンス向上のために、これを上回るパワーが与えられるだろう。
優れた操縦性を備えたドライバー中心のクルマ
ゼルビによれば、従来の「ダイナミックモード」に代わるものとして、トナーレにはエンジンとモーターの力を最大限発揮させる「デュアルパワーモード」が採用されるとのこと。エンジンはガソリンだけでなく、ディーゼル版も登場する見込みだ。
トナーレのコンポーネントに関してもまだ明らかになっていない。得ている情報の限りでは、トナーレがジープ・レネゲードのプラットフォームを採用する可能性が高いことが示唆されている。つまり前輪駆動ベースとなる可能性があるということ。
「企業内にあるアーキテクチャ(車体構造)を視野に入れています」 と、ゼルビは明確な回答を拒否している。
FCAの世界戦略をまとめるティモシー・クニスキスは、「アルファ・ロメオのブランドの核として、先進的なエンジン技術や電動化、優れたイタリアンデザインを導入します。単にコンパクトなSUVではなく、アルファ・ロメオにしかできないモデルを目指しています」 と話している。
クニスキスはまた、ハイブリッド化により二酸化炭素排出量を減らすだけでなく、ドライビング体験を高めることにも触れている。「信じられないほどの操縦性を備えた、ドライバー中心のクルマです。トナーレはデザイナーの情熱を感じ取れるような、高い個性と時代を超越したデザインが与えられます」
トナーレの特徴は、ステルヴィオとのつながりを強く感じさせるデザインにある。過去のアルファ・ロメオのモデルから引用したディティールも含まれているという。21インチホイールはティーポ33ストラダーレを彷彿とさせ、細長いLEDヘッドライトはSZやブレラをイメージさせる。
果たして、正式発表が楽しみだ。
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