現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > ツインモーターで312ps BMW iX1 xドライブ30へ試乗 内燃エンジン版の印象改善

ここから本文です

ツインモーターで312ps BMW iX1 xドライブ30へ試乗 内燃エンジン版の印象改善

掲載 2
ツインモーターで312ps BMW iX1 xドライブ30へ試乗 内燃エンジン版の印象改善

電動化で内燃エンジン版の印象を改善

ガソリンエンジンを搭載するBMW X1は、今ひとつまとまりが良くない。車内空間にはゆとりがあり、インテリアも使い勝手が良く、燃費も悪くない。だが、エンジンは活気に欠け、トランスミッションも滑らかではなく、操縦性には輝きが乏しい。

【画像】ツインモーターで312ps BMW iX1 xドライブ30 競合するBEVのクロスオーバーと比較 全112枚

ミュンヘンのブランドとして、強みがうまく発揮されていないように感じられた。インフォテインメント・システムの操作性も、従来より向上したとはいえないだろう。

それでは、パワートレインが電動になるiX1の仕上がりはどうだろう。BMWは、内燃エンジン・モデルと並行するカタチで、バッテリーEV(BEV)のモデル戦略を進めている。基本的には、X1の兄弟といっていい。

結果からいってしまうと、66.5kWhの駆動用バッテリーと190psの駆動用モーターを2基搭載することで、内燃エンジン版の印象を改善している。運転していて心地イイ。

システム総合での最高出力は312psを誇り、車重が2010kgあるとしても間違いなく速い。実際のところ、シングルモーターでも不足ないと感じるほど。航続距離でも有効になるはずだが、BMWはそれを計画していないようだ。

アクセルペダルの反応も良く、滑らかに加減速できる。回生ブレーキは3段階の強さを選べ、ブレーキペダルを踏まずに発進から停止までまかなえるワンペダル・モードも備わる。可能な限り惰性走行できる、コースティング・モードはない。

航続距離や操舵感など気になる部分も

ツインモーターによる四輪駆動と、知的なトラクション・コントロールで、パワーは漏れなく路面へ伝えられる。リアアクスルを駆動するモーターを積極的に動かすことで、コーナー出口での意欲的な加速も実現している。

ただし、BEVとしての課題もゼロではない。駆動用バッテリーの66.5kWhという容量は、このクラスでは小さめ。航続距離は418kmがうたわれているが、現実的には夏場で340km、冬場で300kmほどになるだろう。

急速充電能力も際立つ数字ではない。アウディQ4 eトロンと同等の130kWを実現しているとはいえ、ジェネシスGV60やボルボC40 リチャージには及ばない。

実際に試してみたところ、充電量40%までは120kWが保たれていたが、それ以降は徐々に速度が低下していく様子だった。短い航続距離をリカバーするほどではないといえる。

ちなみに、ナビゲーションの目的地で急速充電器を指定すると、駆動用バッテリーが予め最適化される。ドライバーが任意で設定することも可能だ。

それ以外のドライビング体験は、内燃エンジン版のX1に準じる。ステアリングホイールは軽く回せるが、反応はやや一貫性が乏しい。手のひらへの情報量も僅かで、自信を抱かせるものとはいいにくい。

ドライブモードをスポーツにすると、ステアリングホイールは適度に重くなる。しかし、乗り心地は硬くなり、傷んだ路面との相性は低下する。アダプティブダンパーは備わるが、ドライブモードによる設定に固定され、個別に調整できないのが惜しい。

居心地の良いインテリアはX1と同じ

少なくとも、ノーマル・モード時の乗り心地は良好。試乗した iX1 xドライブ30 xラインは19インチ・ホイールを履いていたが、別日に試乗した20インチのX1 sドライブ23i M スポーツより快適に感じられた。ガリ傷の心配も減るはず。

インテリアは、基本的にX1と同じで居心地が良い。試乗車はセンサテックと呼ばれる合皮でシートが仕立てられ、グロスブラックの樹脂製トリムで飾られていた。雰囲気は悪くないものの、上級グレードの本皮とアルミ製トリムが生む高級感には届かない。

シートは座り心地に優れ、ドライビングポジションの調整域は広い。体型を問わず、しっくり来る姿勢を取れると思う。遮音性も優れていると感じた。

荷室容量は内燃エンジン版と変わらない。だが、リアシートはスライドしなくなり、足もとの空間を広げることはできない。

ダッシュボードには、実際に押せるハードボタンが殆どない。エアコンの操作系もタッチモニターへ集約され、高評価だったロータリー・コントローラーやショートカットボタンは省かれた。インフォテインメント・システムのメニューは少々わかりにくい。

英国価格は5万2255ポンド(約841万円)から。このクラスのツインモーター版のライバルと比べれば若干安いが、テスラ・モデルYの方が装備は充実している。シングルモーターで航続距離を伸ばし、価格を抑えた仕様も存在して良いと思う。

BMW iX1 xドライブ30 xライン(英国仕様)のスペック

英国価格:5万2255ポンド(約841万円)
全長:4500mm
全幅:1845mm
全高:1642mm
最高速度:180km/h
0-100km/h加速:5.6秒
航続距離:418km
電費:5.4km/kW
CO2排出量:−
車両重量:2010kg
パワートレイン:ツイン同期モーター
バッテリー:64.7kWhリチウムイオン(実容量)
急速充電能力:130kW
最高出力:312ps/4300-1万5200rpm
最大トルク:50.2kg-m/0-4900rpm
ギアボックス:1速オートマティック

関連タグ

こんな記事も読まれています

首都高つながらない「関越道」どう行く? 渋滞を“まるっと避ける”マル秘ルートとは “練馬から正面突破”は最悪?
首都高つながらない「関越道」どう行く? 渋滞を“まるっと避ける”マル秘ルートとは “練馬から正面突破”は最悪?
乗りものニュース
テインの純正互換ショック「EnduraPro」シリーズに『カローラ』『シエンタハイブリッド』など6車種の適合が追加
テインの純正互換ショック「EnduraPro」シリーズに『カローラ』『シエンタハイブリッド』など6車種の適合が追加
レスポンス
メルセデスF1、トモダチ改造計画でW15を“ドライバーの味方”に「改善のためにマシンをいじめ抜く」
メルセデスF1、トモダチ改造計画でW15を“ドライバーの味方”に「改善のためにマシンをいじめ抜く」
motorsport.com 日本版
最高出力830PS、最高回転数9500rpm!フェラーリから自然吸気V12エンジン搭載モデル「12チリンドリ」が登場
最高出力830PS、最高回転数9500rpm!フェラーリから自然吸気V12エンジン搭載モデル「12チリンドリ」が登場
@DIME
高速道路で「人が旗振ってる!」意味わかりますか? 見かけたらそこは「危険」
高速道路で「人が旗振ってる!」意味わかりますか? 見かけたらそこは「危険」
乗りものニュース
軽自動車の「白っぽく見えるナンバー」なぜ増えた? 軽であること隠したい!? 導入7年「図柄入りナンバー」の現状は?
軽自動車の「白っぽく見えるナンバー」なぜ増えた? 軽であること隠したい!? 導入7年「図柄入りナンバー」の現状は?
くるまのニュース
61年の歴史で初 ハイブリッド化されたポルシェ改良新型「911」に熱視線! SNSでの反響とは?
61年の歴史で初 ハイブリッド化されたポルシェ改良新型「911」に熱視線! SNSでの反響とは?
VAGUE
【試乗】新型シトロエンC3は革命を呼びかけるヤバいクルマ! 日本上陸前に本国でBEVの「ë-C3」に乗った!!
【試乗】新型シトロエンC3は革命を呼びかけるヤバいクルマ! 日本上陸前に本国でBEVの「ë-C3」に乗った!!
WEB CARTOP
モーターマガジンMovie 週間視聴回数BEST5 プラス1(2024年6月9日~6月815日)
モーターマガジンMovie 週間視聴回数BEST5 プラス1(2024年6月9日~6月815日)
Webモーターマガジン
東急バス「バス以外の交通手段」に参入 チャリもクルマもライバルじゃない “相乗効果”狙う
東急バス「バス以外の交通手段」に参入 チャリもクルマもライバルじゃない “相乗効果”狙う
乗りものニュース
アウディがプレミアムミッドサイズSUVの特別仕様車「Q5/Q5スポーツバック Sライン ダイナミックエディション」を発売
アウディがプレミアムミッドサイズSUVの特別仕様車「Q5/Q5スポーツバック Sライン ダイナミックエディション」を発売
@DIME
新型プリウス、クラウン、シエンタ、日産サクラで便利に使えるライティングアイテム【特選カーアクセサリー名鑑】
新型プリウス、クラウン、シエンタ、日産サクラで便利に使えるライティングアイテム【特選カーアクセサリー名鑑】
レスポンス
400馬力! スバルの美しすぎる「スポーツクーペ」が凄い! パワフルな「ツインターボ×四輪駆動」搭載! ガバっと開く「斬新ドア」採用した「B11S」とは
400馬力! スバルの美しすぎる「スポーツクーペ」が凄い! パワフルな「ツインターボ×四輪駆動」搭載! ガバっと開く「斬新ドア」採用した「B11S」とは
くるまのニュース
ヨス・フェルスタッペンがオーストリアGPでレッドブルRB8をデモランへ。息子マックスとの”共演”が実現?
ヨス・フェルスタッペンがオーストリアGPでレッドブルRB8をデモランへ。息子マックスとの”共演”が実現?
motorsport.com 日本版
大学への通学2時間でドラテク磨き!「若者のクルマ離れ」がウソのような「軽自動車レース」に青春を捧げた20代男子の英才教育とは
大学への通学2時間でドラテク磨き!「若者のクルマ離れ」がウソのような「軽自動車レース」に青春を捧げた20代男子の英才教育とは
Auto Messe Web
日産ローレルHT2000SGX(昭和47/1972年4月発売・KHC130型)【昭和の名車・完全版ダイジェスト069】
日産ローレルHT2000SGX(昭和47/1972年4月発売・KHC130型)【昭和の名車・完全版ダイジェスト069】
Webモーターマガジン
トヨタ『カローラFX』が米国で登場…現代的でスポーティ
トヨタ『カローラFX』が米国で登場…現代的でスポーティ
レスポンス
日産はレクサスLMよりずっと早く「超VIPミニバン」を作っていた! 「エルグランド・ロイヤルライン」の中身がスゴイぞ!!
日産はレクサスLMよりずっと早く「超VIPミニバン」を作っていた! 「エルグランド・ロイヤルライン」の中身がスゴイぞ!!
WEB CARTOP

みんなのコメント

2件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

540.0786.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

7.9798.0万円

中古車を検索
X1の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

540.0786.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

7.9798.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村