フェラーリが値上がりしている
クルマ好きにとって最終目的といえる存在がフェラーリだろう。圧倒的なパフォーマンスと流麗な姿が織りなす甘美な世界は、昔も今も憧れの存在であり続けている。
【画像】夢を現実に 今ならまだ買える? フェラーリ348バイヤーズガイド 全26枚
最近では世界的な電動化の流れが強まり、いつまでエンジン車に乗れるのか不透明になってきた。ならば今のうちにフェラーリに乗っておきたい、と考えるのは間違いではない。その影響からか近年になってフェラーリのユーズドカーは値を上げており、クラシック・モデルや希少モデルはもちろん、通常のモデルまでもが上昇する事態になってしまった。
数年前までは700~800万円で買え、才色兼備なエントリー・モデルとして人気を集めていたのがF355だった。だが、突如として注目を浴びて高騰、今やマニュアル仕様だと1500~2500万円という雲上の世界に行ってしまった。また一昔前は500万円程度で買えた308や328系も値上がりを続けており、現在では1500~2000万円という値段になり、気軽に手を出せる存在ではなくなった。
そこで、まだ手が届く価格で買えるフェラーリを探してみると、いまもなお存在感を放つ2座ミッドシップの「348系」が浮上してくる。本稿ではフェラーリ348の中古車市況と、メンテナンス費用について紹介しよう。
フェラーリ348とは
V8エンジンを搭載した328系の後継モデルとしてスーパーカーらしい新時代のスタイリングで1989年に登場したのが348系だ。308系に始まるリトラクタブル・ヘッドランプ、トンネルバック・スタイルが受け継がれた。ベルリネッタ(クーペ)のtbと、タルガトップのtsがまず用意された。
機構的に注目したいのは伝統のバックボーンフレームを捨て、モノコック構造のボディを採用したことだろう。また、縦置きに搭載されたエンジンに対しギアボックスが横置きとされたことから、モデル名には横置きを意味するTrasversaleの頭文字の「t」が与えられた。
デザインは80年代の12気筒モデルであるテスタロッサのモチーフを進化させ、フィンを配したサイドインテーク、リアエンドは水平基調のグリル奥には丸型4灯ではなく角型のテールランプが採用され、今も古さを感じさせない。
F119D型 V型8気筒DOHC4バルブ・エンジンはミドに縦置きで搭載され、3404.7ccの排気量から300psを発揮。最高速度はライバルだったポルシェ964カレラ2の260km/hを上回る275km/hをマークした。1993年になると320psを発揮するF119H型エンジンを積むフルオープン版のスパイダーを追加。tb/tsも同エンジンでアップグレードしたGTB/GTSへ進化する。
バリエーションとしてはイタリアスーパーカーGT選手権参戦の車両公認取得用に50台限定で作られた348GTコンペティツィオーネがある。このほかアメリア向けの限定車として、セリエ・スペチアーレが100台製作された。そして現在に続くフェラーリ・チャレンジ初の専用マシンとして348チャレンジが1993年に登場している。
348は今いくら
フェラーリがクルマを総合的に演出する考えが生まれる以前に送り出され、きまじめに作られた最後のモデルが348だった。そのため後継モデルのF355のような扱いやすさや、スポーツカーらしい排気音が無いため乗る者への訴求力が弱く、本来より低い評価が与えられてしまった。
日本でもF355の高騰が始まる前なら、348は400万円台から存在していた。安い車両は多走行で値段相応の状態だったが、とりあえず現実的な額でフェラーリを手にできた。現在はフェラーリ全般の高騰の影響から、中古車情報サイトで見ると800万円をボトムに、上は1300万円(ASKを除く)だった。しかし荒れた状態の348もまだ存在するので注意したい。
最終型で人気のあるGTB/GTSは生産台数が少ないため、流通数は少ない。値段は当然ながらtb/tsの極上車より高くなる。348は年次改良箇所が多いため、年式の新しいものを選ぶのが正解。予算が許せば、各部に改良が施された完成形といえるGTB/GTSがベストチョイスだ。
スパイダーは、8気筒ミドシップ初のフルオープンモデルのため、新車時から大事に扱われてきた個体が多い。エレガントなスタイルから現在も人気が高く、タマ数が少ないため1300万円からとなる。
348に限らずフェラーリを購入する際は、定期的なメンテナンスが必要なため、様々なノウハウを持つ専門店に任せるのが正解。整備工場に力を入れているショップなら、車両のクオリティは間違いないといえる。
整備はそれなりの費用が必要
フェラーリ 348を購入し、実際に維持していく上で気になるのがメンテナンス費用だ。特にヨーロッパ車は安心して乗るためには定期的な整備と部品交換が必要になる。それはフェラーリも同様で、コンディションを保つためには348でも相応の維持費が必要なことを認識しておきたい。348は基本的には丈夫なクルマといえるが、生産から30年以上が経過しているため、各部に相応の痛みは出てくる。定期的に整備されていれば心配はいらないが、乗りっぱなしや長年眠っていたような個体は、購入後に多額の費用が嵩むことが考えられるので、購入時は整備記録簿の有無を確認したい。
お約束のタイミングベルトの推奨交換時期は3年または5万kmと指定されている。タイミングベルトがエンジンの前側にあるため、交換にはエンジンを下ろす必要がある。正規ディーラーで作業するとテンショナー・ベアリング交換も含めて約100万円が必要だ。フェラーリを得意とする整備工場なら、ディーラーより数割安く作業できるケースもある。エンジンを降さないと作業ができないカムシャフトのエンドシールやウォーターポンプ、ホース類は、予防整備として同時に交換すれば個別に作業するより費用を節約できるだろう。
定期的に交換が必要なエンジン・オイルは、ドライサンプということもあり11リッターも入る。純正指定オイルのシェル・ヒリックスと、オイルフィルター、ドレンガスケットと工賃を合わせて正規ディーラーでは7万円弱が必要になる。
フェラーリを所有するということ
普通の感覚からすると、フェラーリの維持費は法外に思えるだろう。しかし、新車当時で1840万円(現在の約4000万円に相当)した高額なクルマであることを考えれば、致しかたない額といえる。それよりもフェラーリを所有する喜びと、ドライビングの楽しみ、オーナー同士の交流など新たな世界に入ることができる。特別なクルマなので維持費はかかるが、それ以上の満足感を得られるはずだ。
電動化が進むにつれ、内燃車は将来的に様々な制限が出てくることも予想される。エンジンが命のフェラーリだけに、348に限らず乗れるうちに楽しんでおくのがクルマ好きとしては正解といえるだろう。この先348といえど値上がりしないという保証はない。348の購入を考えているのであれば、まだ程度の良い個体が存在する今が狙い目だ。フェラーリの歴代2座モデルは、一時的に値を下げても最終的に値上りするのが通例だからだ。
あとになって『あの時買っておけばよかった』と悔しがらないためにも、348に限らずフェラーリは欲しい時に買うのが正解なのである。
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みんなのコメント
キャバ嬢に手を出すみたいなもんだ。
色々とねだられて、乗らせて欲しい時に乗らせてくれないぞ(笑)
そのメンテナンスを含めた維持費が問題なのでは?
所有してガレージの置物にする訳ではありません。