■VIP“乗車歴”あり!? 歴史的価値のある「センチュリー」とは
石川県加賀平野の中央に位置する小松市には、日本最大級の自動車博物館である「日本自動車博物館」があります。
現存する国内外さまざまなメーカーの自動車はもちろん、消滅したメーカーが手掛けたマイナー車両や、幻のスポーツカーなど、さまざまなクルマが収蔵されています。
それらのなかでもトヨタ「センチュリー」は、一般では見られない“防弾仕様”という特殊なモデルです。
【画像】「えっ…」 これが「最強のトヨタセダン」です!(79枚)
センチュリーは、最高級乗用車「トヨタ クラウンエイト」の後継モデルとして1967年に登場したフラッグシップセダンです。持ち主が自分で運転する一般的な車両と異なり、お付きの運転手がいるVIPに向けたショーファーカーとして設計されました。
1997年に登場した2代目では、国産車乗用車としてほかにないV型12気筒エンジンを搭載。現行モデルは2018年に登場した3代目で、低燃費なV型8気筒ハイブリッドへとダウンサイジングされています。
4ドアセダンが基本形となりますが、2023年9月には5ドアSUVタイプが新しいラインナップとして加わっています。
そんなセンチュリーの中でも、まさしくVIPのクルマだといえるのが「防弾仕様」モデルでしょう。今回紹介する収蔵車は、1967年から1997年まで製造された初代のうち、1972年に製造された防弾仕様です。
ボディサイズは全長4980mm×全幅1890mm×全高1450mmで、乗車定員は5人。
現行の「アルファード」が全長4995mm×全幅1850mm×全高1935mmであることを考えると、当時のクルマとしては極めて大きな車体をもち、かなり広々とした室内になっていると分かります。
エクステリアは、いかにも高級感と特別感がある箱形の重厚なデザインになっています。正面には細かい格子状のフロントグリルとヘッドライトおよび特徴的な青ランプ、それに匠によって仕上げられたセンチュリーの鳳凰のエンブレムを配置。
収蔵車ではその上に日本国旗が掲げられています。
窓ガラスはもちろん分厚い防弾仕様。これにボディの防弾加工なども施され、車体重量はベースより300キロ以上重い2200キロにまで増加しています。さらに、携帯専用無線なども備えており、VIPの移動を想定した専用品が多数装着されています。
パワートレインは、最大170馬力、最大トルク25.0kgf-mを出力する4リッターV型8気筒エンジンと3速ATコラムシフトの組み合わせ。駆動方式はFRです。
ちなみに、初代センチュリーには4種類のグレードが設定されていましたが、一般の販売カタログに掲載されない特別なオプションとして、この防弾仕様があったそうです。
実はこの博物館が保有するセンチュリー、当時の内閣総理大臣だった佐藤栄作氏が私用車として購入した車両そのものとのこと。そのため、当時を再現した「品川33」ナンバーや、総理大臣専用車にのみ装着される青ランプが備わっています。
総理大臣車として活躍したときは、やはり国内外さまざまな要人を乗せたようで、まさしく歴史的価値のあるクルマと言えます。
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みんなのコメント
国産乗用車で唯一のV型12気筒エンジンを搭載し、派生車種として御料車のセンチュリーロイヤルが誕生する訳ですから、開発費は旧型レクサスLSを改良しただけの現行センチュリーとは比較にならない程費やした筈です。
カーボンニュートラルの時代に向けて、2度と造れない車だと思います。