■案内標識は地道な改善を受けて日々見やすくなっている
高速道路を走行していると、必ず目にするのが案内標識です。カーナビゲーションシステムが普及した現代でもドライバーにとって必要不可欠な案内標識ですが、視認性向上のために日々進化していることはご存知でしょうか。
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高速道路に設置してある案内標識は、高速で移動するクルマの中から短い時間で確認できる必要があります。
案内標識の平均判読可能距離は243m手前からといわれており、時速100km/hで走行するクルマが、9秒間程で通過してしまう距離です。実際に高速道路を走行中であれば、目まぐるしく変わる道路状況の中で、ずっと看板を見ていることは不可能ですし、天候や路面状況によっては確認できる時間はもっと短くなります。
高速道路が開通したのは1963年のことです。最初の案内標識が設置されたのもこの年ですから、2018年現在で55年の歴史があります。この歴史の中で案内標識はどのような変化があったのでしょうか。
NEXCO各社では、2010年から標識の字体及びレイアウトを「公団標準文字」から市販のフォントに変更しています。
それまで、案内標識の和文用に採用されていた「公団標準文字」いわゆる『公団ゴシック』は、各標識メーカーによって一字ずつ手作業でデザインされていました。遠方からの視認性を向上させるために、字の画を直線的にデザインし、さらに画やハネが省略され、文字によっては誤字であるなど、独特なものとなり統一感に欠けていました。
しかし、現在では多様なフォントが普及したため、視認性に優れ、かつ汎用フォントとして評価の高い「ヒラギノ」フォントを採用。同時に英文用フォントと数字用フォントも、より視認性の高いフォントに変更しています。
また、今後増える高齢者や外国人ドライバーの視認性向上のため、文字サイズを拡大したことにより、「公団標準文字」を使用した標識に比べ、判読可能距離が116%伸びた結果が出ています。
■逆光や夜間の視認性も向上している
夜間や、薄暮時などの視認性のために、標識自体にも大きな改良がされています。夕方の西日などが正面からドライバーに直接あたる時間帯になると、案内標識の視認性は著しく低下。とくに逆光の状態になってしまうと、太陽を背にした看板では真っ黒に見えてしまいます。
また、夜間であれば標識内に蛍光灯などを入れて標識自体を光らせる「内照方式」から、大きなライトで照らされているものや、近年ではヘッドライトで照らされることにより反射するタイプのものなどが主流となっています。
案内標識の視認性について、NEXCO中日本に話をうかがいました。
──逆光の対策は、どのようなことがされていますか。
朝日や西日に向かって走行すると、いわゆる「逆光」で標識に表示されている文字が見えづらくなる場合があります。そこで、逆光対策として標識の文字部分に細かな穴を開け、太陽光を透過させることで逆光時の視認性向上を図っています。
──夜間における案内標識の視認性について、新たな施策はされているでしょうか。
紫外線発光方式の採用をしています。これは、近紫外線を標識の前方から照射することにより、標識板面を発光させるものです。この方式は、可視光線(目に見える光)を用いていないので灯具が発する光の眩しさも小さく、標識の紫外線発光シート自体が発光するので、視認位置の違いによる明るさの変化もないという利点があります。
また、反射シートを製造するメーカーの取り組みとなりますが、標識反射シート自体の性能も向上しておりまして、当社としてもより視認性のよりよいシートを採用しているところです。
※ ※ ※
反射シートも進化しており「封入プリズム型」や「カプセルプリズム型」などから「広角プリズム型」へと変わってきています。超高輝度の反射シートを使用することで、従来と比べて10倍から12倍ほど視認性が向上しているようです。
また「再帰性反射」という特性を利用して、標識に当たった光をドライバーだけに返す工夫も施しています。近紫外線を照射する「紫外線発光方式」は、従来の可視光を照射する「投光式照明」にあった、対向車線のドライバーへの障害光や、それによる灯具の設置位置及び、照射角度などへの配慮をする必要がなくなったといいます。
さらに、昼間と夜間での見た目のイメージが均一であることがメリットとされています。標識内に蛍光灯などを入れて、標識自体を光らせるタイプの「内照方式」に比べて低コストであることから、今後ますます増えていくと予想されます。
現在、「紫外線発光方式」は、中央自動車道 駒ヶ根IC(下り)出口分岐部や、中央自動車道 駒ヶ岳SA(上り)入口分岐部などに設置されています。
日々進化する案内標識ですが、ひと昔前に比べると、より見やすくなっていることに気が付きます。2020年に向けて訪日外国人などへの配慮も進められていくなかで、案内標識の『わかりやすさの追求』は、これからも進化していくでしょう。
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