カングー2に最後の400台限定モデル
text:Takahiro Kudo(工藤貴宏)
【画像】フランスでは発表済み 新型カングーと現行モデルを比較【ディテール】 全82枚
photo:Keigo Yamamoto(山本佳吾)
editor:Taro Ueno(上野太朗)
ルノー・カングーは日本でも多く見かける輸入車の1台だ。
初代モデルの日本デビューは2002年。いわゆる「カングー1」である。
2007年には「カングー2」と呼ばれるフルモデルチェンジした2世代目が公開され、2009年からは日本でも販売をスタート。車体はひとまわり大きくなっている。
そんなカングーは、もうすぐフルモデルチェンジで「カングー3」へと世代交代する予定。
すでに欧州では新型の姿がお披露目され、日本上陸へのカウントダウンが始まっている。
そんななか、ルノー・ジャポンはカングー2の日本向け最終モデル(日本向けの最終ロットなのだという)であり、わずか400台の限定車「カングー・リミテッド・ディーゼルMT」を発売した。
いわゆるファイナルエディション的な仕様だが、そのメニューを聞いて驚かずにはいられない。
専用のボディカラー程度(といっても専用ボディカラーをまとったカングーの限定車は抽選販売になるほど人気が高いのだが)で済ますのかと思ったら、そんなレベルでは済まなかった。
パワートレインが専用なのだという。なんと、カングー2における最初で最後の、わずか400台だけのディーゼルエンジンなのだ。
ルノー・ジャポンによると「カングーは本国ではディーゼル+MTが一般的。いわば本場のカングーらしい組み合わせ。カングー2の最後として、日本のファンにも本国らしい仕様を楽しんでほしい」という意味が込められているのだという。
フランス人も驚きのカングー日本市場
ところでカングーと日本の関係は深い
カングーは商用バンを基本とするモデルだが、フランス本国をはじめ日本以外の国ではあくまで商用車として使われるのが一般的だ。
フランスでは走っている数こそ多いものの、「好き」とか「嫌い」といった興味の対象ではない。単なる「仕事道具」だからである。
しかし日本では乗用車として乗る人がほとんどで、しかも愛着を持って所有している人が大多数。
ライフスタイルのパートナーとなっているし、「カングー・ジャンボリー」という毎年の恒例イベントではカングーを接点に多くのユーザーが集まる。
カングーライフとでもいうべき生活スタイルが、盛り上がっているのだ。
この状況にもっとも驚いているのは、本国のカングー担当チーム。日本を訪れ、イベントに参加、日本での熱狂的な状況を知り驚いたたことで、彼らにとっても日本は特別な国になっているという。
だからカングーは日本市場にとても力を入れている。2016年には「EDC」と呼ばれるデュアルクラッチ式トランスミッションを組み合わせた仕様が登場したが、これは実質的にAT比率が高い日本市場に向けて開発したもの(本国でATはおまけ的存在)。
なんと、本国よりも早いタイミングで日本デビューを果たすという、輸入車の常識では考えられないことが起きたのだ。
今回の「カングー・リミテッド・ディーゼルMT」も、わずか400台だけ専用のパワートレインを積むことがどれだけ異例が、クルマに詳しい人なら想像できるだろう。
ディーゼル×MT「ちょっとした驚き」
そんな特別なカングーの乗り味は、ちょっとした衝撃だった。乗る前のイメージとは大きく違ったからだ。
カングーの神髄は商用モデルだから、ディーゼルエンジンは雑然としたフィーリングだとイメージしていた。音はガラガラと煩めで、フィーリングはザラザラとしたガサツな感じ。良くも悪くもディーゼル的で「力はあるけどなんか事務的だよね」といった乗り味だと想像していたのだ。
しかし、実際はまったくもってそうではなかった。エンジンを掛けるとまず、音をしっかりと抑え込んでいることに気が付く。耳障りな感覚は微塵もない。
もちろんこれは今どきのディーゼル乗用車としては当然のことなのだが、カングーの基本は商用車である。
だから音が煩いかもと考えていたのだが、それは相手を見くびり過ぎていたようだ。
ディーゼルエンジンは一般的にアイドリング中がエンジンからの騒音をもっとも感じやすいから、この時点で音が静かと言うことは、走行中の状態は言うまでもないだろう。
振動だって上手に吸収されていて、ガソリン車との違いが分からないほどだ。
発進してみる。太いトルクのおかげで、クラッチミートにデリケートさは微塵もない。ちょっとルーズにクラッチを離してもグッとボディが押し出されて走り出すから、ストールの兆候など一切ないのだ。
トルクの太さゆえにギアチェンジをサボれる(ガソリン車ならシフトダウンすべき状況でもそのまま走れてしまう)ことも含め、MTとしてはきわめて運転が楽だ。
もっと早く導入すればよかったのに……
加速は、さすがディーゼルである。効いているのは最大トルクだ。26.5kg‐mとガソリン1.2Lターボに対して約1.4倍の力強さがあり、それをわずか2000rpmで発生するから停止状態からの発進加速でグイグイとクルマを押し出してくれる。
回転数を上げなくても湧き出してくる太いトルクのおかげで、アクセルを踏み込まなくても加速が力強いのがディーゼルの魅力。そんなエンジンを、6速MTを駆使して走れるのだから、楽しくないわけがない。
エンジンが滑らかなのも予想外だった。乗る前は「粗さを感じるエンジンでも道具的なカングーには似合っているかな」……なんて考えていたのだが、まったくもってそんなエンジンではなかった。
最高回転数が低く、高回転の爽快感がないことを除けば、ディーゼルとではなくトルクの太いガソリンエンジンかと錯覚してしまうほどだ。
ちなみにディーゼルエンジンは排ガス処理システムとして尿素SCRとDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルター)を組み合わせている。また、日本向けに制御などは煮詰められているという。
それにしても、こんなに印象のいいディーゼルエンジンなら、もっと早く導入すればよかったのにと悔やまれるばかりである。
このパワートレインは、荷物をたっぷり積んでお出かけするカングーのキャラクターにはとてもマッチングがいい。
ハッキリ言おう、マニュアルシフトさえ気にならないのであれば、カングー2のベストバイだ。
ところでこの限定車は見た目もちょっと特別で、ブラックバンパー(人気の特別仕様車「クルール」タイプ)に、ホイールはキャップすらないスチール。
でも、カングーにとってはその質素な感じがまたいいのだ。
バンパーのデイタイムランプは、日本においてはこのモデルだけの専用アイテムだ。
買えたラッキーな人は、所有中だけでなく手放すときにも笑顔になれることだろう。
ルノー・カングー・リミテッド・ディーゼルMTのスペック
価格:282万円
全長:4280mm
全幅:1830mm
全高:1810mm
ホイールベース:2700mm
車両重量:1520kg
パワートレイン:直列4気筒1460ccディーゼル・ターボ
最高出力:116ps/3750rpm
最大トルク:26.5kg-m/2000rpm
ギアボックス:6速マニュアル
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みんなのコメント
奥さん説得しないと
惹かれる人も多いでしょうが
増してカングーならね
魅力的なプライスでもあるし
わざわざ新しく日本導入なので形式認定したのですね
衝突予防が入ってないのが残念