7年ぶりの販売再開、知らない若年層も…?
ホンダが国内での「シビック」の販売を2017年9月29日より再開しました。日本での「シビック」の販売が終了したのは2010(平成22)年ですから、7年ぶりの新型「シビック」となります。
「カー・オブ・ザ・イヤー」上位10台決定 「カムリ」「スイフト」「N-BOX」など
その試乗会に参加したところ、若々しいルックスに相応しい軽快な走りを楽しむことができました。昔の「シビック」を知る人間としては「ああ、元気なころの『シビック』が帰ってきた」という印象です。
また、試乗会でホンダの開発陣に話を聞くこともできましたが、みなさん非常に「シビック」に対する熱い思いがあるようです。よく考えてみれば、日本での販売がなくなった時期でも、世界市場において「シビック」はホンダの顔的な存在のまま。「『シビック』がアメリカで売れなくなったら、ホンダは相当にまずいことになります」と開発スタッフが真顔で説明するほどです。
しかし、販売のない時期が7年もありましたから、実際のところ「シビック」のことをあまり知らないという若い方も多いようです。そこで今回は「シビック」の歴史を振り返ってみたいと思います。
オイルショックを追い風に クラス最速への道
まずは、「シビック」の前史から。
1950年代から60年代にかけてホンダはオートバイメーカーとして世界的な存在に成長しました。そして1963(昭和38)年に軽トラック「T360/T500」で自動車市場に参入。「N360」などのヒットもあり、軽自動車メーカーとして認められることに成功します。
そうなれば、次に狙うは軽自動車の上の普通車。まずは1969(昭和44)年に空冷エンジンを搭載する「ホンダ1300」を販売します。しかし、セールスはいまひとつ。そこでホンダは、さらなる魅力的なモデルを投入するのです。
それが1972(昭和47)年にデビューした初代「シビック」です。エンジンは1.2リッター。のちに排気ガス浄化装置であるCVCCを搭載。CVCCは、「誰もクリアできないだろう」と噂されたほど厳しいアメリカの排気ガス規制「マスキー法」を、世界で初めてクリアする画期的なものです。また、時代は第一次オイルショックのさなかでしたが、小さくて燃費のよい「シビック」には追い風になり、大ヒットモデルとなります。ここでホンダの乗用車メーカーとしての基礎ができあがるのです。
1983(昭和58)年には3代目となる通称「ワンダー・シビック」が登場。シャープな台形デザインが採用され、レースでも大活躍。スポーティで若々しいという「シビック」のイメージは、この頃から定着していきます。
続く4代目の「グランドシビック」(1987〈昭和62〉年~)もスポーツ路線をまっしぐら。最強モデルである「SiR」にはVTECエンジンを搭載。「『シビック』=クラス最速」というイメージが決定的になります。
人気は「タイプR」のみ? 国内販売終了から復活へ
そして1991(平成3)年発売の5代目「スポーツシビック」に続いて、1995(平成7)年発売の6代目「ミラクルシビック」の時代には、ついに「シビック タイプR」(1997〈平成9〉年~)が誕生します。
ところが2000(平成12)年の7代目「スマートシビック」では、スポーティ路線をちょっと逸れて、実用性に優れた背の高いボディに。残念ながら、このモデルの国内販売は不振。2005(平成17)年の8代目ではセダンのみの販売となってしまいます。
ちなみに7代目にも8代目にも「タイプR」が用意されていて、そちらの人気はそれなりに維持されていました。しかし、日本国内での「シビック」の販売は取り返せないほど悪化。結果、2010(平成22)年をもって「シビック」の国内販売は終了してしまいます。
ただし、世界市場での「シビック」の販売は堅調。アメリカでも欧州でもアセアンでも「シビック」は人気モデルであり続けていたのです。そのためホンダの人には、「ホンダの顔=『シビック』」が日本で売っていないという現実に忸怩(じくじ)たる思いがあったのでしょう。
「セダンが売れない」と言われる日本市場に再び「シビック」を投入するという英断の陰には、そうしたホンダの思いがあったに違いありません。
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