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ジャパン・クラシック・ツアー 2017に潜入 脅威の吸引力の源を探る

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ジャパン・クラシック・ツアー 2017に潜入 脅威の吸引力の源を探る

何度参加しても、また参加したくなる

終わってみればクタクタに。受け取るものは溢れるほどに。だから原稿を書くのもたいへんだ。けれどまた「ぜひわたしに取材させてください」と編集長に打診した。

わたしももう、主催者の天野さんのイベントに参加するのは4度目である。にもかかわらず、わからないのだ。

「ここでこんな演出を挟みこんでくるのか!」

「なんだこの見たことのないパフォーマンスは!」

おなじ主催者のイベントならば、数回参加すると「タネ」や「仕掛け」が見えてくる場合が多い。けれど、天野さんのイベントだけは何度参加しても驚きに満ちている。入り口こそ「ラリー」だけれど、中身(主体)はエンターテインメント。今回も魔法にかかってみたいと思った。

だからこそ、迷わずに手を挙げたのだ。

「極論、クルマがなくてもいいんです」

1日目は、彦根城のふもと、琵琶湖のほとりの「彦根港」からラリーがスタートした。といっても、たんに競技からスタートするわけではない。

ブリーフィングは船上で湖畔を眺めながら。最初の「線踏み(指定時間に正確にラインを超え、誤差が小さいほうがポイントは高い)」も、クルマの前輪ではなく、ドライバーがみずからの足で踏む。

今回のジャパン・クラシック・ツアーも「一筋縄ではいかせんからよ」。天野さんの前置きのような気がした。

そこから一行は190km離れた石川県金沢市の竪町(たてまち)商店街へと進んだ。新幹線が通ったことでブレイク。この街全体の「勢い」を感じてほしいという思いがあったそうだ。

若年層が目立ち、格好や遊び方、そのためのお店もファッショナブルに感じる。商店街には、端から端まで参加車両が並び、ドライバーと街のひとの交流が盛んにおこなわれた。ちょうど1カ月前に、プレイベントを開催したことも功を奏したのだろう。



夜のパーティーにも新たな驚きがあった。なかでもエントラントが新鮮に感じていたのは金沢の和のイメージの衣装を身にまとった女性のポールダンスとファイヤーパフォーマンス/ダンスのコラボレーションだ。まるで重力など存在しないかのようなダンスと、自在に炎を操るパフォーマンスは一気に会場の視線をほしいままにした。

天野さんは、自身のイベントのコンバージョンは「楽しんでもらうこと」だと言い切る。「クルマはあくまでその『入り口』。極論、クルマがなくてもいいんです」とも。少しだけ、おっしゃる意味がわかった気がしたが、サプライズはまだまだ序の口であった。(2ページ目へ続く)

イベント1日目を写真で振りかえる

「フットCO競技」と名付けられた、本イベント最初の競技。

地元からも「彦根鉄砲隊」が応援に駆けつけてくれた。

平成22年誕生のゆるキャラ「ひこどん」。彦根一色のスタート。

琵琶湖クルーズから戻ってきた一行。満足の声が聞こえてきた。

スタートは雨。ベテランのDタイプもカバーの下でスタートを待つ。

「フットCO競技」を外から見た図。皆、結果に興味津津。

最初のPC競技は20m×3。それぞれを7秒/8秒/9秒で走る。

スペシャルランチの会場になった「彦根キャッスルリゾート」

大河ドラマ「おんな城主 直虎」にかけた「うなとら」をいただく。

雨の中を疾駆するシトロエンSM。浮いたように高速道を。

琵琶湖の周囲をひた走る。その地域にしかないものと密接になる。

こちらは1952年式のMG TD。優雅に見えるものの車内は戦い?

和装とジャガーE-タイプ。ギャップのなかに不思議な相性のよさが。

ストリートでも演奏が。ひとつひとつのレベルが極めて高いのが特長。

金沢文化服装学院の生徒とユニオンジャックがモチーフのアストン。

エントラントと商店街の交流も盛んにおこなわれた。

音楽にあわせて、出展者自身も楽しんでいた印象。

その場でSNSにアップする見学者も多く見られた。

いよいよ夜のパフォーマンス。「バハラ」の皆さん。

照明が落ち、ファイヤーパフォーマンスが惹きつける。

こちらはポールダンス。女性も楽しんでいた。

火を食べた! 子どもは目が点に。誰もが息を呑んで演出を見守った。

重力、ほんとうにあるの? と思うほどの自在な動き。

竪町商店街コラボ企画、クリエイティブアワード受賞者。

主催する天野さんご本人みずから楽しんでいた。

バルーンアーティスト山下郁子さんが手掛けた風船の衣装。

「珍しさ」「共感」がそろうとコンテンツはおもしろくなる。

山下郁子と本大会コンシェルジュのふたり。山下さんは、フロリダで行われた世界大会のバルーンドレス部門で1位を受賞した。

ふたりは本大会から「コンシェルジュ」という立ち位置になった。

演奏は常連の「リバーサウンズジャズオーケストラ」

ちなみにこの日から3日間は、台風とともに移動するといっても過言ではないくらいに雨が続くという予報だった。果たして、ラリーは無事に終わるのだろうか? と不安になるくらいのスタートだったが、「主催者が不安がってちゃ、エントラントも不安になりますからね。『大丈夫! ついてこい!』と言っちゃうんです。そうしたら、だいたいのことは乗り切れますよ」というのは天野さんの弁。結果、乗り切れているのだから驚くほかない。エントラントと主催側の信頼関係の厚さもあるのだろう。

2日目:主催側が楽しめるコンテンツでなければ…

2日目。心配していた雨は、ぱらぱらと降る程度。

まず最初に向かったのは「千里浜なぎさドライブウェイ」だ。約8kmに及ぶ砂浜をひた走る。日本海が大きく広がる。

思えばこの海辺のドライブだけでもロマンティックなものだが、そのあとに訪れた「ひみ番屋街」でもサプライズが待っていた。

氷見市のなかでは比較的新しい人気のスポットとなった「ひみ番屋街」の目の前の芝生にエントラントのクルマをディスプレイし、地元の方々と交流していたところ、どこからともなく獅子舞が。

じつは氷見市は、多くの獅子舞が伝承される地域なのだ。エントラントはもちろん、地元のひとも迫力ある生の獅子舞に見入る(複数の演目を、代わる代わるおこなう)。主催者の天野さんもこの表情だ。

「まずは自分が楽しいと思えないと、お客さんにも楽しいと思ってもらえないですよ」というのは天野さんの言葉である。

海鮮丼をいただいたあとに向かった、150km離れた糸魚川のそばに位置するフォッサマグナミュージアムでもドラマはあった。これについては表彰式の天野さんの言葉をそのまま引用するほうがいいだろう。4ページ目を楽しみにしていただきたい。

イベント2日目を写真で振りかえる

「千里浜なぎさドライブウェイ」のスタンプポイント。

「ひみ番屋街」のふかふかの芝生に並ぶクラシックス。

エントラントが用意した自車の説明。心あたたまる。

休憩中に配線の修理。これだけでも絵になる光景。

大迫力の「池田町青年団」の獅子舞。観光客も釘付けに。

子どもも大人も見入る。百聞は一見にしかず。

スタッフのお兄さんのクルマ。愛が伝わってくる。

そうそう! エントラントの気さくさも本イベントの特長。

フォッサマグナミュージアムのひとこま。3連続PCに備える。

あたらしいクルマも健闘。こちらは458スペチアーレ。

年代を超えたモデルが一堂に会するのも見どころである。

こちらはベテランの磯部/鶴巻ペア。余裕の表情?

73年式カレラRSは本国でレストアを済ませた。その際のアルバム。

競技の合間の「井戸端会議」も楽しいもの。テーマは雨対策。

ラリーコンピューターはこれを被せればOK。何かわかりますか?

この日の難関。5連続のPCの競技。

すぐとなりには川のせせらぎが。

先ほどのお兄さん。計測のプロでした!

夜はアンビエント安曇野で。プラネットラブの音楽でスタート。

おふたりは名古屋のシンガーソングライター。本イベントの公式ミュージシャンでもある。

こちらは「トーメ」さん。沖縄出身でオリジナルソングも披露した。

3日目:楽しむための「変化球」を散りばめる

3日目は、まず安曇野アートヒルズミュージアムに向かう。ガラスを使った作品づくりを体験する。サンドブラストを用いた彫刻で浮かびあがるのは、参加者それぞれのゼッケンと本イベントのタイトル。もちろん子どもは大喜びであるうえ、実際に手を動かすのは大人になっても楽しい体験である。

さらに一行は唐沢そばの集落、清水高原へ。と、その前に、シークレットPC競技が待っていた。

本来ならば、決められた区間(距離)を、指定タイムで走るPC競技が本イベントの競技の大部分を占めるが、シークレットPCは、「指定時刻にスタートした後、平均速度37km/hで走る」という指示しか与えられない。

これだけ聞くと簡単そうだが、道路専有しているとはいえ、タイトなコーナーがつづくヒルクライム。たとえば「1kmを◯◯秒で走る」といった細かい割り方をして走るしかない。そんな厳しくも楽しい、(そして結果を左右しやすい)競技が、旅の終盤に用意されているというのもおもしろい。

競技のあと、山の頂上から見える景色を見れば、達成感もひとしお。そしていよいよ、ジャパン・クラシック・ツアー 2017はクライマックスを迎える。

イベント3日目を写真で振りかえる

3日目。打って変わって青空に。

ホテルのそばには虹も出ていた。

最初に向かった安曇野アートヒルズミュージアム。ガラスの作品作り。

目に鮮やかな作品が並ぶ。

手を使うのは楽しい。

完成品。自分のオリジナルだ。

作品づくりの場所でもお土産が。

ここでも地元のひとと交流。

走る→驚く→走る→驚く。

再スタートを前にコーヒーブレイク。細かな心づかいが嬉しい。

主催者、天野さんの先導車。この大会のシンボルでもある。

そうしていよいよシークレット競技へ。緊張感が漂う。

このように手計算で挑むひとも。静かだが激しい戦い。

ハンドルに貼る工夫もなされる。Sクラス優勝者。

台風の影響で、別のクルマでの参加もすべて認められた。安全第一。

スカイランドきよみずでランチタイム。腹ペコだ!

そばを中心とした豪勢なメニューであった。

山形村役場では地元でとれた長芋が配られた。

ドラマがべつのドラマを引き寄せる

じつは今回のイベント、スタート地点の滋賀県彦根市、中継地点の石川県金沢市、そしてゴール地点の長野県松本市には、それぞれ彦根城/金沢城/松本城がある。イベントで回る場所のチョイスにもこだわりが溢れている。

そうして、いよいよゴール。振り返ってみると、スタート以外、雨はほとんど降らなかった。あとから聞いた話だが、どこで中止になってもいいように、おみやげのワイン5ケースをはじめ、バッジやおみやげなど、すべてを運びながらラリーを運営していたのだという。

「そういった備えがあるからこそ、運は味方をしてくれるのですね」というわたしの一言に対し、天野さんは「どんな方法であっても、エントラントの皆様をタダで帰らせないのが、われわれの使命です」と力強く答えてくれた。

表彰式が執り行われたのは「あがたの森」。ヒマラヤスギの並木道にも、地域のひとびとが多く集まった。各カテゴリーの入賞者は下のギャラリーで振りかえるとして、本イベントでは、MG TDで参戦した山本正文さんに「特別賞」が送られたことを、ここで記しておこう。

山本さんは、様々な競技で素晴らしい成績をおさめている実力者だが、途中で調子が悪くなったほかのエントラントのクルマの整備を、みずからの競技を棄権して手伝ったというのが受賞の理由だ。

「われわれのイベントの象徴のような行動」だと主催者の天野さんはコメント。われわれも、並木道に駐車する際、ポルシェ911カレラRSがリップを擦らぬよう、ドライバーに声掛けしている山本さんの姿を見逃していない。

細かいことかもしれないけれど、こういった行動がイベントの気風をつくり、じわりと回りに伝染する。これがカラーになり、文化になるのだろう。

最後に天野さんはこう言った。「次回も来てくださいね! 来てくれさえしたら、絶対楽しませるんで! 任せてください!」

どうやらヒストリックカーミーティングは、国境を越えたイベントの企みもあるらしい。1列に並んだスタッフの目にはうっすらと涙が浮かび、同時に次のイベントを力強く見据えていた。

なお、12月9日にはクリスマスをテーマにした1DAYイベントも予定している。



表彰式を写真で振りかえる

戦国おもてなし姫とともに閉会式。

祖父は徳川家康・織田信長とのこと。

名は「登久姫(とくひめ)」

お父さんをフォローした若きナビゲーターたちが表彰された。

特別賞。「ベストコンビ賞」と初参加ながら大健闘の「敢闘賞」、そして雨の中オープンで走り抜いた「ベストパフォーマンス賞」

清水高原のシークレット競技トップ3。花束ならぬ山形村ならではの「ねぎ束」が。(後日配送してくれるそうだ)

Aクラス6~4位。

Bクラス4位。

Sクラス6~4位。

Aクラス3~1位。

Bクラス3~1位。

Sクラス3~1位。

総合優勝。ジャガーXK120で戦ったご夫婦だった。

天野さんのスピーチで〆。台風直撃という事態だったが、天野さんを信じて集まってくれたエントラントに感謝の言葉を伝えた。

別れを惜しむ。今からもう、つぎの約束をするひとも多かった。

悪天候だが、多くのクルマが参加した(車名は申請時のもの)

#Official ローバー・ミニ(改) コンシェルジュ専用車

#Official ジャガーE-タイプ Sr.1 天野さん自身が運転するペースカー

ジャガーXK120 FHC

ジャガーD-タイプ

ディノ246GT

ポルシェ911S

ポルシェ・カレラRS 2.7

ポルシェ・カレラGTS

ポルシェ・カレラRS

MG TD

MG TD

メルセデス・ベンツ230SLK

ジャガーXK120 FHC

シトロエンSM

ポルシェ911 GT3 RS

ポルシェ911S

ポルシェ356Bカブリオレ

メルセデス・ベンツ280SL

ポルシェ356Cクーペ

アルファ・ロメオGT 1300 ジュニア

オースチン・ヒーレー100

アストン マーティンV8ヴァンテージ

アストン マーティンN430

ポルシェ964カレラ2

アルファ・ロメオ・ジュリエッタ・スパイダー

フェラーリ・テスタロッサ

MG A

MG 1100 ADO16

オースチン・ヒーレー・スプライトMk-I

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