近年、世界的に売れ筋となっているクルマといえばSUVだ。そのため、コンパクトクラスから大型のラグジュアリークラスまで、SUVは続々と新型車が登場している。
さらにそのバリエーションも拡大しているが、その波に乗って同様に増えているのがフツーのコンパクトカーや軽自動車などをベースに、ひと回り大きなタイヤや黒のホイールアーチプロテクターなどを装着してSUVテイストに仕上げたSUV風モデル。
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さらに、ボディ形状はほぼSUVだが、あくまでもスタイル重視といったようなクロスオーバーSUVなどもあり、いずれも人気モデルとなっている。
これらSUVブームの勢いに乗って登場したSUV風のモデルたちの人気は、今後いつまで続きそうか? モータージャーナリストの島崎七生人氏は次のように考察する。
文/島崎七生人 写真/TOYOTA、ベストカー編集部
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■手軽なアウトドアと同じように“それとなくSUV”なモデルが人気
トヨタ アクアクロスオーバーグラム。SUVでありながら土や砂埃が似合いそうもないおしゃれさだ
チェアリングが静かなブームらしい。近所の公園、河原、あるいは自宅のベランダなど特別な場所でなくてもまったくOK。
ともかく家の外に椅子ひとつを持ち出して、読書でも音楽鑑賞でもコーヒーブレイクでも思いのまま自由に時間を過ごす……。そんな気持ちよさそうな体験のことらしい。
今どき不要不急の外出を慎むのは基本だが、控えめに、人に迷惑をかけず、密にならないよう1人か2人であれば許されるはず。筆者も自宅にあるコールマンの折り畳み椅子をクルマに載せて、手軽にアウトドア気分が楽しめそうなチェアリングをそのうちに試したいと思っている。
ところでそんなチェアリングに通じるのでは? と思えるのが、“それとなくSUV”なモデルたちだ。車種でいうとアクアのクロスオーバーグラム、フィットやフリードのクロスター、軽カーなら三菱eKクロス、スペースアギアなど。
ホンダ フリードクロスター
もう少し範囲を広げて、本格SUVに比べ親近感のあるボディサイズ、価格の“カジュアルなSUV”でいうと、軽カーのハスラー、タフトはその筆頭だし、コンパクト系のライズ/ロッキー、キックス、クロスビー、イグニスなどもその範疇に入る。
くだけで言うと“なんちゃってSUV”というか“準SUV”というか、“SUV仕立て”というか。本格SUVではなくとも、眺めて、乗ってSUV気分を味わわせてくれるクルマである。
もちろん“準SUV”などと書いたからには“本SUV”があり、その“本”のほうの人気は今やすっかり定着したのはご存知のとおり。
2000年にBMWが最初のX5を登場させた時には「ええっ!?」と驚かされたものだが、あれよあれよと増殖し、気がつけば今ではランボルギーニもマセラティもアストンマーティンでさえもSUVをラインアップに加えている。
市場ニーズがあるからこその現象だが、ひと昔前にこの様相をいったい誰が予想しただろう。そのSUV人気に連動して、SUV仕立てのそれっぽいクルマたちも増えたという訳だ。
■昔の“なんちゃって”はかなり本格的だった
1994年登場の三菱 ギャランスポーツ。ルーフレールやバンパーガードが装着されたSUVのような5ドアも登場した
そういえば1980~1990年代のRV/クロカンブームの頃にも、“なんちゃってRV”の流れがあった。あの時は“ネタ元”が本気のクロカン4WDで今のSUVよりもイカつかったから、勢い、なんちゃってといいながらも、かなりゴツく仕上げるのが“作風”だった。
フロントのカンガルーバーや大型フォグランプ、アンダーカバー、ルーフレールの装着はお約束、本流に寄せて、わざわざスペアタイヤを背負うモデルまで。ワンボックス系にもその流れが波及した。
しかも記憶が正しければ、たいていは4WDでもあり、その意味ではなんちゃってといっては失礼か。
余談だがそうしたクルマを連れ出し、雑誌の撮影で河原や富士山麓あたりへ繰り出した。
ゴツい石の上を歩くようなスピードで乗り越えるワイルドな試乗をしたり、渓流釣りやキャンプ、BBQをしている格好の絵撮りを、お約束だった折り畳み椅子に座りマグカップを手にしたポーズをカメラにむかってさせられたのを思い出す。
余談の余談になるが、ステンレスのマグカップに入った沸かしたてのコーヒーなんて、唇には熱いし、ブラックは濃いし(←気を利かせたクリームの用意などなかった)、飲めたものではなかったけれど……。
翻って現代のなんちゃってSUVは、ベース車次第で4WDが設定される場合もあるが、大半はFF。何が言いたいかというと、かつてのなんちゃってRVの頃に較べ、よりなんちゃって度が高いというか、よりカジュアルになっているといえる。
ただし現代のなんちゃってSUV各車の名誉のために書いておけば、今のクルマのダイナミック性能は昔に較べ格段に向上しているし、駆動系の制御技術も進化し、必ずしも4WDでなくても実用上充分な走行性能を備える。なのでユーザーは、どのクルマでも安心して選んでいい……。そんな状況にある。
■“実用車”に“本格派”も“なんちゃって”もないのだ
スズキ スペーシアギア。街乗りでの便利さとSUVの特徴が合致しているのも人気の理由だろうか
では、果たして“なんちゃってSUV”の流れはこれからも続くのかどうか?
続くだろうし、SUVが廃れない限り、連動して人気は続く、と思う。
なぜなら、基本“実用車”だからだ。人が乗った時の室内の広さや快適性、ラゲッジスペースの使い勝手のよさや、運転のしやすさ、燃費性能と経済性と、今のクルマはオーバーオールで見て、およそすべての要件のバランスポイントが高い。
三菱 ek クロススペース
なので多くのユーザーが、問題なく受け入れられる。また、運転のしやすさ、あつかいやすさ、乗り降りのしやすさも、ビギナーや年配のドライバーにとって心強い見方になる。クルマが必需品の地方では、昔からちょっと背の高いSUVを愛用する年配ドライバーをしばしば見かける。
これは楽な姿勢で運転席に乗り降りできること、視界がいいこと、(都市部で乗っても)有料駐車場の発券機に手が伸ばしやすい……。そんな理由からだ。
それともうひとつ、チャーミングであることもなんちゃってSUVの魅力のポイントだ。ベース車に対して+αの個性と演出が、日常的にクルマに乗る際の“気分”を楽しげにしてくれる。
日本人はどちらかといえばシャイで横並び気質だから、飛び抜けているよりも、人並であることの安心感を求める。そんなメンタリティに、ちょこっと色気のある、なんちゃってSUVはハマるのではないだろうか。
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みんなのコメント
SUVの定義をはっきり決めない限り“なんちゃって”はなくならない。
クロカンと(クロスオーバー)SUVを区別している人が多いと思うが、「https://www.suv-freaks.jp/17857」のようにクロカンSUVとクロスオーバーSUVとしている記事も少数だが存在している。