みなさん、「ご当地走り」って知っていますか? ご当地グルメのように聞こえはいいが、その実態は危険極まりない交通違反ばかり! 茨城県の「茨城ダッシュ」、長野県の「松本走り」、愛知県の「名古屋走り」といったさまざまな「ご当地走り」がある。はたしてどんなご当地走りがあるのか、今回は東日本、中部地方篇をお届けしよう!
文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部、Adobe Stock(トビラ写真:Adobe Stock@metamorworks、写真AC)
いまどき信じられない! 超危険なローカルルール[ご当地走り]がなくならない理由とは【東日本、中部地方篇】
【画像ギャラリー】東日本、中部地方特有のご当地走り、なぜなくならないのか?(7枚)
■対向車がいるのに少しでも車間が開いていると強引に右折する「なまら車間泥棒」/北海道
道路が広く直線路が長い北海道なのになぜ? 写真は札幌市すすき野(Adobe Stock@tkyszk)
直線路も多く、信号も少ない北海道の道路。どんなご当地走りをするのだろうか?
交差点手前で、対向車が来ているのにもかかわらず、少しでも間が開いていると、強引に右折するのが「なまら車間泥棒」。なまらとは北海道弁で「とても」、「凄く」という意味。
松本走り、山梨ルールと同じだが、あちらは城下町という状況で、道幅が狭く、右折がなかなかできないという事情があるが、北海道は車線数も多く、渋滞があまりない。大らかな人が多いというイメージだが、逆に見通しがいいので、逆にチャンスを見つけると強引に右折するのでないか。
また右折、左折時、車線変更時にウインカーを出さない「蝦夷ノーウインカー」というご当地走りもある。これは誰も見ていないから、という心理でウインカーを出さないのだろう。
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■信号が青になった瞬間に「茨城ダッシュ」/茨城県
茨城県警のチラシ(出典:茨城県警)
交差点手前、赤信号で停車中、信号機が赤から青に変わった瞬間に急発進する。もしくはその直前に対向車線の先頭車よりも先に右折するのが茨城ダッシュ。これも全国のご当地走りと同じだが、茨城県警は茨城ダッシュの根絶を目指している。
茨城県警では「茨城ダッシュ」を公式ホームページで紹介。「茨城県警では信号交差点において、白バイや覆面パトカーでの取締りを強化しています。ドライバーひとりひとりが正しい右折方法を習慣化することが、茨城ダッシュを根絶することに繫がります。安全運転へのご協力をお願いします」と茨城ダッシュの根絶を目指している。
茨城県警は次のような場合には違反となると解説している。対向直進車より先に交差点をショートカットして右折するため、進行先の横断歩道を横断する歩行者の接近に気付くのが遅れたり、フロントガラス右側の車両のピラーによる死角等が増えるので大変危険(出典:茨城県警)
■交差点ですばやく右折する「鶴ヶ島ルール」/(埼玉県)
埼玉県鶴ヶ島市発祥の、埼玉県中部に根づく運転ルール。「要領よく運転すること」を指し、交差点ですばやく右折すること。急がば回れなのか。
鶴ヶ島の住人に聞いてみたのだが「たしかに交差点の右折ダッシュは多いが、それはどこでも行われているのでは……」とのことだった。
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■ありとあらゆる右折の方法「山梨ルール」(山梨県)
甲府盆地という地形から来るのか(Adobe Stcok@Raicho)
山梨ルールは、茨城ダッシュと同じように、対向の直進車が交差点に接近しているのにもかかわらず右折するというのは基本。
それ以外にも。対向車が左折する隙を見て右折する、信号が青になる直前赤信号時に信号を無視して右折を行うフライング右折する、右折時に信号が赤に切り替わっても前車に追従して右折を行う、脇道から右折する際、合流しようとする道路の左側車線を走行しているクルマの流れをせきとめて右折待ちをするなどだ。
よくぞここまで、右折方法を考えるなと思ってしまうが、なぜ山梨ルールができたのか? 地元では昔から話題にのぼることが多いらしいが、細い道の交差点が多く、右折車が並んで渋滞してしまい、いつしか地域独自の右折優先ルールが生まれた、ということらしい。
加えて山梨にはサンキューハザードならぬサンキュークラクションがあるとのこと。道に譲った時にお互いのクルマがクラクションを鳴らすとのこと。
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■城下町のため右折がなかなかできないため生まれた「松本走り」/長野県松本市
松本市は城下町のため道が狭いところが多い(写真:写真AC)
松本走りは、松本市の広報紙によれば、対向車がいるのに強引に右折する、左折車にいるのにほぼ同時に被せるように右折、青信号と同時に内回りに右折、前が詰まっていても交差点に進入、前が詰まっていても交差点に進入、ウインカーを出さずに進路変更などが、松本走りの特徴とされている。
城下町のため狭い路地が多く、日常的に渋滞が発生し、右折がなかなかできないので、信号が変わった時に早く右折する、右折の矢印信号がない場合が多いので後ろが詰まっていると慌ててしまう、右折しようとしてもなかなか右折できないため後続に渋滞を作ってしまうため早く右折する。
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■ウインカーなしの車線変更や無理な割り込みをする「名古屋走り」/愛知県
交差点の角に斜めに駐車することをしゃちほこ停めというらしい(Adobe stock@yuphoto)
最後は中部地方で最も事故の多い愛知県。名古屋の道路を走った人ならわかると思うが、道幅が広く交差点も広い。駐車場があるのにもかかわらず、歩道上での駐車や交差点内で駐車しているクルマが多くて驚いたことがある。
交差点の角に斜めに駐車するケースは名古屋城の金のしゃちほこに見立てて「しゃちほこ停め」というそうだ。駐車監視員制度開始以降に路上駐車が減ったものの、車線が多い道路では、いまだに二重駐車・三重駐車も珍しくないらしい。
ちなみに名古屋市で道路面積が占める割合は政令指定都市で最大の約18%、市中心部には幅約100mの道路が2本、片側4車線もあるところもある。道路が広いから停めても大丈夫だろうと思うのだろうか?
名古屋走りと言われているものは、ウインカーを出さずに右左折、車線変更、左折する対向車の前に強引に右折、交差点の右折レーン、前に並んでいるクルマより強引に先に右折、右折レーンから信号が変わった瞬間、直進レーンに割り込むといった、呆れてしまうほどの運転マナーである。
愛知県内の交通事故による死者数は2018年まで16年連続で全国ワースト1が続いた愛知県。2019年以降ワースト1は脱しているものの、2019年2位156名、2020年2位154名、2021年7位117名、2022年2位137名、2023年2位145名とほぼ横ばいが続いている。
2024年1~8月末までの死者数は91名と愛知県は1位と再び増加している。以下2位千葉県90名千葉県、3位東京都89名、4位大阪府77名、5位兵庫県70名。
2024年1~8月末までの交通事故発生件数は1位東京都1万9459名、2位大阪府1万6099名に続き、愛知県は1万5638名で3位と、相変わらず上位3位以内の常連だ。
車線が多く道幅も大きいのに(Adobe Stock@paylessimages
もちろん愛知県警と愛知県は「名古屋走り」を黙って見過ごして来たわけではない。名古屋走りは「信号無視」、「通行区分違反」といった法令違反にあたり、愛知県警は取り締まりを強化するとともに愛知県とともに交通モラル向上の取り組みを進めているが、撲滅にはいたっていない。
名古屋市の住人に名古屋走りついて聞いてみた。
「大きな交差点では赤信号で進入するクルマは相変わらず多いし、ウインカーを出さずに右左折、車線変更は当然のように思っているクルマも多いです。2車線以上の見通しの交差点は特に多いです。昔、右折レーンに並んでいて右折の矢印信号が消えたので停まったら、後ろのいたクルマが対向車線にはみ出して右折していったことがありました。特に交差点では気を付けています」。
名古屋走りはなぜ起きるのか? 前出の名古屋の住人は、「直線的で広い道路が多く、交差点も広い。しかも車線が多いです。車線変更の機会も多く、その煩わしさからウインカーを出さなくなったのでは。そういえば、信号が黄色になった時も当然のように加速していきますし、赤信号でも停まらないクルマもいまだに多いです。まあ名古屋では“黄色はまだまだ、赤勝負”という言い伝え? がまだありますからね」。
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全部妨害運転でいい。