1970年~1990年代に販売された“ちょっと、古い、クルマ”に焦点を合わせ、クルマをこよなく愛する俳優・永山絢斗が当時の車両の正体を暴く“探偵”に扮します。永山探偵をサポートする“物知り少年”は、自動車評論家の小川フミオ(少年O)と『GQ JAPAN』編集部のイナガキ(少年I)のふたり。今回は日産の初代「ステージア」に設定された超希少なモンスターマシン「オーテックバージョン260RS」に迫る。
個性的なクルマを多く手掛けてきたオーテック
少年O:今回、ヤングタイマー探偵団がとりあげるのは、日産のステージア・オーテックバージョン260RSです。1997年に発売されたこのモデル、「スカイラインGT-R」の4ドアステーションワゴン版ともいうべきモデルです。
少年I:初代ステージアは日本製ステーションワゴンにそれまでなかった高級感が魅力でした。イメージカラーだったグリーンのボディにダブルサンルーフが装着されたモデルは、子どもながらに「いつか欲しいなぁ」と、思ったものです。中西圭三さんが唄っていたCMソング「次の夢」もいい曲だったなぁ~。
探偵:ステージアといっても今回の取材車はオーテックバージョン260RSですから、標準車とは雰囲気がかなり異なります。大きなエアダムに、巨大なルーフスポイラー。見た目の迫力もかなりのものですね!
少年O:オーテックは、日産の日産自動車の特装車部門の開発企画・製造を担当するべく1986年に設立された株式会社オーテックが送り出したスペシャル・モデルです。
探偵:なるほど。つまり、オーテックバージョン260RSは日産の“お墨付き”モデルというわけですね。とはいえ、こんな手の掛かったモデルをメーカーの関連会社が作ってしまうとは……。
少年I:オーテックは、“ミスター・スカイライン”と呼ばれた桜井眞一郎さんが初代社長を務めた会社ですよね。メルセデス・ベンツにとってのAMGや、BMWのM、アウディのアウディスポーツなど、海外にはスペシャルモデルを手がける会社があって、カッコいいなぁと思っていた私には、日産車のオーテックバージョンも憧れでした。
少年O:2022年にニスモ(ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル株式会社)と合併して、いまは、日産モータースポーツ&カスタマイズ株式会社となっていますね。いまの日産車にも、エアロパーツを足したり、ブルーのステッチをもつスポーツシートを用意したりといったオーテック仕様があります。
少年I:かつては日産「レパード」(2代目)をベースにイタリアのカロッツェリアであるザガートと共同開発した「オーテック・ザガート・ステルビオ」という斬新なモデルも送り出しましたが、近年は、「セレナ」や「エクストレイル」などに設定されているオーテック仕様のような“おだやかな”カスタマイズモデルがほとんどですね。
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俳優・永山絢斗の“ヤングタイマー”探訪記 第2部「少年探偵団編」のVol.35──トヨタ スープラ(70系)1970年~1990年代に販売された“ちょっと、古い、クルマ”に焦点を合わせ、クルマをこよなく愛する俳優・永山絢斗が当時の車両の正体を暴く“探偵”に扮します。永山探偵をサポートする“物知り少年”は、自動車評論家の小川フミオ(少年O)と『GQ JAPAN』編集部のイナガキ(少年I)のふたり。今回はバブル期に登場したトヨタのスポーツカー「スープラ(70系)」だ。俳優・永山絢斗の“ヤングタイマー”探訪記 第2部「少年探偵団編」のVol.34──いすゞ117クーペ1970年~1990年代に販売された“ちょっと、古い、クルマ”に焦点を合わせ、クルマをこよなく愛する俳優・永山絢斗が当時の車両の正体を暴く“探偵”に扮します。永山探偵をサポートする“物知り少年”は、自動車評論家の小川フミオ(少年O)と『GQ JAPAN』編集部のイナガキ(少年I)のふたり。今回はいすゞがかつて手掛けたスペシャルティカー「117クーペ」に迫る。俳優・永山絢斗の“ヤングタイマー”探訪記 第2部「少年探偵団編」のVol.33──BMW 3.0CSi1970年~1990年代に販売された“ちょっと、古い、クルマ”に焦点を合わせ、クルマをこよなく愛する俳優・永山絢斗が当時の車両の正体を暴く“探偵”に扮します。永山探偵をサポートする“物知り少年”は、自動車評論家の小川フミオ(少年O)と『GQ JAPAN』編集部のイナガキ(少年I)のふたり。今回はBMWの美しきクーペ「3.0CSi」だ。初代ステージアを3台乗り継ぐ26歳少年I:今回のステージア・オーテックバージョン260RSのオーナーは佐々木岳(26歳)さんという方で、職業は会社員。2020年夏に購入なさったそうです。「物心ついた時からクルマに興味を持ち、その頃から日産(家のクルマが日産車だった)が好きで、特にスカイラインが好きでした。免許取得後、荷物も積めて、走って楽しいマニュアルのワゴンが欲しくてスカイラインのワゴン版ともいうべきステージアを選びました」とのことです。
少年O:そもそもステージアは、1996年に初代が登場。たしかに、佐々木さんの言葉にあるように、スカイラインワゴンが7代目のR31型を最後とし、1990年に姿を消してから、久々の後輪駆動ベースのステーションワゴンの復活でした。ステージアの魅力は、独自の車名を持ったことからも推察できるように、従来のスカイラインワゴンとは一線を画していて、機能性よりも走りやクオリティにふっていました。セダンに近いRVというふれこみでしたね。
探偵:RVって、当時はやっていた“レクリエーショナル・ビークル”のことですね。いまでいうと、ジャンル横断的なクロスオーバーとなるでしょうか。
少年O:初代は直列6気筒のRBエンジンに後輪駆動を組み合わせたモデルが主力でした。当時としてはやや古くさい感があったRBユニットとはいえ、なんだか勇ましい上に、ハンドリングも良く、好感の持てるモデルでした。
探偵:とはいえGT-R用のRB26DETTエンジンを積んでしまうとは驚きでしかありません。発想が大胆すぎます。ただ、今の目で見ても、ロングルーフでありつつ、キャビンが薄く見えて、スポーティなプロポーションだからGT-R用のエンジンを搭載しても違和感はありません。
少年I:佐々木さんは、2016年からステージアを3台乗り継いでいるとのことです。現在のクルマの前は、2台とも1998年型「RS FOUR S」(4WD)の5段マニュアル変速機仕様を購入して使用していたそうです。
少年O:そういえばステージアは4輪駆動に力を入れていましたね。
少年I:「『アテーサE-TS』と呼ぶ4駆システムのおかげで雨や雪道も安定しているところがいい」と、佐々木さんは評価していらっしゃいます。
少年O:“高速ツアラー”という言葉がぴったりです。2568ccの直列6気筒にインタークーラー付きセラミックタービンのターボチャージャーを装着したRB26DETTは、280psの最高出力を誇ります。当時はメーカーの自主規制で最高出力は280psまでとされていましたが、じっさいに出力を計測したら、もっと出ているクルマもあったはずです。はたして、ステージア・オーテックバージョン260RSはいかに……。
探偵:建前と本音というやつでしょうか。今や280ps越えの日本車はいくつもありますよね。
少年I:そういえば、欧州のクルマって、ウインカーレバーに軽く触れると3回、“カチカチカチ”と点灯しますけど、日本車の場合、「3回で車線変更は出来ませんよね」と管轄官庁の“指導”が入って、もっと多く点灯するという話を聴きました。
とにかく速い!少年O:ステージア・オーテックバージョン260RSの凝りかたは、エンジンだけではありません。4輪駆動システムは先にも触れたとおりアテーサE-TS。足まわりはチューニングされているし、後輪も電子制御で操舵する電動スーパーHICAS(ハイキャス)、ブレンボの高性能ブレーキ、さらにスポーツシートもそなえています。
探偵:乗らせていただくと、とにかく速い! シフトフィールもいいし、シートのホールド性もよくて、すごくいいクルマだなぁとあらためて感心しました。ただ速いだけじゃなくて各所がきちんとチューニングされているのが印象的です。
少年I:「ステージアの中ではこのオーテックバージョン260RSに乗ることが最終目標でした」という佐々木さんの言葉に納得です。
少年O:当時のカタログでは“280馬力を使いきれるワゴン”なんて謳われていました。
探偵:いやいや、サーキットにでもいかないと、このクルマの性能はフルに使いきれないでしょう。ブレーキもよく効きます。スポーツカーではもっとも大切な性能のひとつですね。別の言い方をすると、サーキットで走りたくなるクルマです。
少年O:足まわりもホントよく出来ていると感心しました。当時、スポーツワゴンというと、アウディの「RS4アバント」(1999年~2001年)などがあって、競合関係だなとワクワクさせられました。ただ、アウディの内外装の凝りかたと較べると、日産オーテックはどうしてもフツウのモデルからあまり離れられなくて、そこが限界かあと。当時は440万円もしたんですけどね。
少年I:ちなみに中古車市場では高騰中ですよ。アウディより高いんじゃないでしょうか。調べると400~500万円台で店頭に並んでいました。
探偵:トラブルはどうなんでしょうか。
少年I:いま走行距離は20万km目前だそうですが、自走できなくなったような故障はないとのことです。購入してから手を入れたところは、クラッチの油圧系統、サスペンションのブッシュ類の交換、ブレーキまわりなどということです。
探偵:こういうクルマを長く乗り続ける秘訣について、佐々木さんはどう考えていらっしゃるんでしょうか?
少年I:「25年前のクルマなので、乗っても乗らなくてもゴム類などの消耗部品交換は必須。毎年、純正部品は値上がり&製廃しているので、メンテナンスに優先順位をつける。あとは大切に乗りたいという気持ちと、同じクルマに乗る仲間とのつながりも大事だと思う」とのことです。
探偵:ヤングタイマーに乗る皆さんが言うのは、オーナーのつながりによる情報交換の大切さ、ですね。なにより“愛情”というのも、よくわかります。素晴らしいコメント、ありがとうございます。
俳優・永山絢斗(ながやまけんと)1989年3月7日生まれ。東京都出身。2007年『おじいさん先生』(日本テレビ系列)で俳優デビュー。連続テレビ小説『おひさま』や『べっぴんさん』(NHK総合)、『ドクターX~外科医・大門未知子~ 第5シリーズ』(テレビ朝日系列)、そして2021年には『俺の家の話』(TBS系列)に出演。映画では2010年の『ソフトボーイ』で第34回日本アカデミー賞・新人俳優賞を受賞。出演情報/
出演情報/
・映画『LOVE LIFE』2022年9月9日(金)全国ロードショー
・ドラマ池波正太郎生誕100年BS特集時代劇「まんぞくまんぞく」(BSプレミアム)2022年12月30日(金)20時~21時28分
・ドラマ「リバーサル オーケストラ」(日本テレビ)2023年1月11(水)22時スタート
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メルセデス・ベンツ500E
ランチア・デルタHFインテグラーレ
マセラティ・ギブリ(2代目)
メルセデス・ベンツGクラス(2代目)
アルファロメオ・スパイダー(初代)
日産PAO
スバル・レガシィ・ツーリングワゴン(初代)
ユーノス・ロードスター(初代)
ホンダ・NSX(初代)
シトロエンCX
メルセデス・ベンツSクラス(W126)
ローバー・ミニ
フェラーリ360モデナ
フォードRS200
フォード・エスコート(マーク1)
マツダRX-8
トヨタ・セルシオ(初代)
日産・フェアレディZ(2代目)
フォルクスワーゲン・ビートル(タイプ1)
メルセデス・ベンツ560SEC
フォルクスワーゲン・コラード
アストンマーティンDB5
いすゞ・ピアッツァ(初代)
ポルシェ911(タイプ964)
三菱ランサーエボリューションIX
ホンダ シティ・ターボII
シボレー・タホ(初代)
三菱GTO
シボレー ・コルベット(4代目)
日産フェアレディZ(4代目)
デロリアン
マツダ・ロードスター(2代目)
フォード・フォーカスRS Mk3
トヨタ・ソアラ(2代目)
トヨタ・マークII(5代目)
トヨタ・クラウン(8代目)
日産・レパード(2代目)
BMW 3.0CSi
いすゞ117クーペ
トヨタ スープラ(70系)
まとめ・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.) スタイリスト・Babymix ヘア&メイク・新宮利彦
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みんなのコメント
R33GTRの4ドアオーテック当時めちゃくちゃ欲しかった記憶があります。勿論買えませんでしたが(笑)