ホンダ シビックタイプR越えの最速ホットハッチが日本上陸!!
ルノーにおいてスポーツモデルやモータースポーツを手掛ける「ルノースポール」(R.S.)は、日産の「NISMO」、スバルの「STI」に相当するブランドだ。
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そのなかでミドルクラスとなるメガーヌ R.S.は、ここ10年近く盛んになっているFF車世界最速車争いの火付け役となったモデルである。
そして、メガーヌ R.S.には2019年、サーキットのラップタイムだけを追い掛けただけではない、速さに特化した世界限定500台となる「トロフィーR」が加わった。
トロフィーRは、高性能車にとっては聖地であるドイツのニュルブルクリンク北コース、F1も行われるベルギーのスパ・フランコルシャンでタイムアタックを行っており、ニュルでは、シビックタイプRの7分43秒80を上回る7分40秒100を記録。FF車世界最速の座に返り咲いた。
そのトロフィーRが、11月26日の日本発売を前に鈴鹿サーキットでタイムアタックを敢行! もしかすると、これほどまでに高性能なホットハッチはもう出ないかもしれない理由とは?
文:永田恵一
写真:RENAULT
【画像ギャラリー】内装も超スパルタン!! FF最速のメガーヌ R.S.「トロフィーR」
最強のメガーヌ R.S.は鈴鹿で楽々先代越えのタイムを記録!!
鈴鹿サーキットをアタックしたルノー メガーヌ R.S. トロフィーR。シビックタイプRを上回るFF最速の称号を引っさげ、堂々日本へと上陸
タイムアタックは曇り空、気温は12度前後というまずまずのコンディションで行われた。
開発ドライバーのロラン・ウルゴン氏と完成後のトロフィーRの日本での確認作業、車高やアライメントといった微調整の範囲となるセットアップをアドバイスした谷口信輝選手が担当した。ターゲットタイムは先代メガーヌ R.S.「トロフィーR」が記録した2分28秒465だ。
まず、ウルゴン氏が中古タイヤでアタックすると、左ハンドルに慣れた外国人ドライバーがMTかつ右ハンドルの日本仕様に乗ったこともあり、シフトミスがありながらも2分25秒961を記録し、あっさり目標をクリア。
その後、谷口選手がアタックし2分25秒656まで縮めた。これでタイムアタックは終わりかと思いきや、終了目前にウルゴン氏がニュータイヤを履きコースイン。最後のアタックで2分25秒454を記録し、鈴鹿サーキットでのタイムアタックは大成功に終わった。
トロフィーRの特長は軽量化!! 来春日本にも限定導入
メガーヌ R.S.「トロフィーR」。1.8Lターボエンジンを搭載し、最高出力は300ps/6000rpm、最大トルクは40.8kgm/3200rpmを発揮する
さて、ニュルブルクリンク北コース、鈴鹿サーキットでのタイムアタックでメガーヌ R.S.トロフィーRがFF車世界最速ということが分かっていただけたところで、車の概要を紹介しよう。
トロフィーRが、速さに特化するためにベースとなる「トロフィー」に対して行った最大のモディファイは軽量化である。目標としてはマイナス130kgが掲げられ、具体的には以下のようなことが行われた。
・トランスミッションはDCTではなく、トロフィーにもある6速MTを選択(-35kg)
・4コントロール(四輪操舵)のレス化(-38kg)
・カーボンボンネットの採用(-8kg)
・アクラポヴィッチのチタン製マフラーの装着(-6kg)
・トロフィーR専用アルミホイールの採用(1本あたり2kg軽いので合計-8kg)
・リアシートのレス化(-25kg、リアシートは単に外すのではなくタイヤがキッチリ積めるよう新たに成型されている)
・前席はサベルトのカーボン製フルバケットシートに変更(一脚7kg軽いため合計-14kg)
・後席ウインドウの昇降機能廃止
・ダッシュボードに配置されるモニターの小型化
といった具合だ。
また、サスペンションはオーリンズの減衰調整機能付きの車高調、タイヤはトロフィーR専用となるブリヂストンのポテンザS007に変更されている。ここまでの仕様でトロフィーRは世界限定500台、フランスでの価格は5万5000ユーロ(日本円で約660万円)となる。
トロフィーRは2020年の東京オートサロンの出展後、日本へは50数台、そのうち片手程度が200万円前後と予想されるパッケージオプション装着車で導入される見込みだ。
とにかく素性が良い!! プロが語るメガーヌR.S.の魅力とは?
谷口氏もアタックを終えて「とにかく素性のいい楽しい車」と太鼓判を押すメガーヌ R.S.トロフィーR。
タイムアタック後にはウルゴン氏、谷口選手を交えたグループインタビューも行われた。そなかで二人が語ったメガーヌRSの魅力などをお伝えしよう。
――メガーヌRSの魅力は?
谷口:FFなのによく曲がる点など、とにかく素性のいい楽しい車です。もちろん、メガーヌ R.S.より速い車はたくさんあるが、電子制御をそれほど使わずにこれだけ楽しい車は少ないと思う。
トロフィーRは、絶対的な速さに加え、軽量化や4コントロールを外しているぶん、リアが流れやすいところもあるので、よりマニアックなエキスパート向けの速くて楽しい車といえるでしょう。
また、ウルゴン氏は、
「今回は鈴鹿サーキットでのタイムアタックということで、車高やダンパーの減衰力といったセットアップも行いました。
ベストなセットアップはサーキットによって変わりますから、ユーザー向けにセットアップのチャートやビデオも作っています」
と語った。この種の車を楽しむにはそれなりのスキルや車の知識も必要となるが、そういったサポートがあるのは、トロフィーRを買ってくれたユーザーに対する嬉しいサービスと言えるのではないだろうか。
メガーヌ R.S.のようなホットハッチを買えるのはこれが最後?
普通のハッチバックをいとも簡単に本格スポーツハッチに替えてしまうのがルノー・スポールマジック。だが、“従来的な手法”でのスポーツモデルは難しい時期に差し掛かっている
日本ではR.S.やカングーといったマニアックな車が主役となっているルノーのラインナップを見てちょっと気になったことがある。
それは「本国では5代目にフルモデルチェンジされたルーテシアに、現在R.S.がない点」である。
この点について担当者に聞くと「現行ルーテシアにR.S.が追加される予定は、フランスでハイパワー車やスポーツモデルに対する課税が厳しくなりそうな方向となっていることもあり、今のところないようです」とのこと。
日産GT-Rのようなスーパーカーで最近話題となっているが、どうやらスポーツモデルの存続は、燃費や車外騒音といった規制の強化により、ホットハッチでも厳しい部分があるようだ。
このことを踏まえると、トロフィーRを含むメガーヌ R.S.のようなホットハッチも、そう遠くないうちに新車では買えなくなることも充分考えられる。
それだけに、欲しいなら今のうちに自分のものにしておくのが得策と言えそうだ。
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