現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > どこまでも空走する「鬼コースティング」に驚愕! 「日産アリア」のスムースさが圧倒的だった

ここから本文です

どこまでも空走する「鬼コースティング」に驚愕! 「日産アリア」のスムースさが圧倒的だった

掲載 3
どこまでも空走する「鬼コースティング」に驚愕! 「日産アリア」のスムースさが圧倒的だった

BEVの先駆者、日産入魂のフラッグシップBEV

 じわじわとEVの時代が近づいてきていると感じるのは、最近、試乗するクルマがBEV(バッテリーEV)である比率がめっきり増えてきていること。「アリア」もそんななかの一台である、と言ってしまうと、日産が満を持して投入してきたのに元も子もない、と怒られそうだが、早々とティザーを開始し、じつは2021年6月に限定車「リミテッド」の先行受注を行ったものの、世界中の自動車メーカーが影響を受けている半導体不足などから、その納車予定も遅れに遅れてつい最近はじまったばかり。そうこうしているうちに正式発売になったという、最近の世界の自動車生産における混乱状況を彷佛させる存在でもある。

アウトドア派がEV買うなら「bZ4X&ソルテラ」で決まり! プロが試乗して「使える度」に驚いた

パワートレーンは66kWh/91kWhと2WD/4WDで計4種類

 ちなみに、発売となったのはアリアのベーシックモデルと位置づけられ「B6」というグレード名を冠する、66kWhのバッテリー容量を持ち最高出力160kWのモーターで前輪を駆動する2WDの仕様から。新開発の「e-4ORCE」を採用したB6の4WD仕様(250kW)や、さらにバッテリー容量が大きい91kWhの「B9」の2WD(178kW)および4WD(290kW)は遅れての発売となる。

 じつはこの試乗会に向かった足も、BEVの「プジョーe-2008」だったので、クラスは違うにしても、BEVからBEVへの乗り換えということで、モーターの出力制御や音の面など、いろいろと参考になることも多かった。

シンプルでいて質感の高いデザイン

 実際にアリアを目の前にすると、全長4595mmという「エクストレイル」よりも95mm短いボディながらも、なかなかのボリューム感がある。フォルムとしては最近流行のクーペSUVとでもいうべきものだが、新しい日産のデザイン表現となりそうなシンプルな面構成で、日産が言う新時代のフラッグシップとしての品格はそれなりに感じさせる。

 なによりも、室内が広々している。インパネ周りも日産らしからぬ、と言うと失礼かもしれないが、シンプルでいて高い質感をもたらしている。ただ、電動で前後にスライドするセンターコンソール上に配されたエコ/ノーマル/スポーツが選べるドライブモードスイッチは、そこにさらに「eペダル」のオン/オフの操作も加わることもあって、コンソールのスライド位置を一番前に出しても、結局のところブラインドタッチは難しかった。

 というのも、それが気になったのはアリアの走りにおいて、このドライブモード選択が、走りの特性を大きく変える、あるいは変えられることになるからだ。日産といえばeペダルであるが、アリアのアクセルオフの際の減速度は、eペダル「オン」では、どのモードでも変わらない。一方でeペダルを「オフ」にすると、各モードでアクセルオフの際の減速度は変わるため、パドルシフトのようにモードを変えて減速度を意図的に変化させたいと思ったのだが、このスイッチ配置・形状では、どうにも正確かつ即座には操作できなかった。

ひたすら空走し続ける圧倒的コースティング性能

 特徴的なのは、「エコモード」でかつeペダルを「オフ」にした際の「コースティング」(空走・滑走)。減速回生をいわばゼロにしているということだが、この際の速度の落ちの少ないこと少ないこと。平坦路なら、アクセルペダルを戻しても、スーとなめらかに、ひたすらに惰行を続ける感覚で、いかにも空気抵抗もタイヤや駆動系の抵抗も少なさそうだと感じさせるほど。

 とくに高速巡航域の流れのなかでは、減速回生をするよりも、アクセルを少し戻しながらも速度を維持できたほうが効率がよいことは往々にしてあるもので、そこはこれまでのeペダル採用車の気になるところでもあったのだが、アリアでは気持ちよいくらいに速度落ちが小さいままに維持されるのだった。

 こうした際に、必要に応じて瞬時にモードの切り替えをしたかったりしたのだが、そこはDレンジからBレンジに変速することで、エンジンブレーキ的に必要な減速度を得てくださいということのようだ。たしかに、これで事足りることも多いが、ドライブモードスイッチが使いやすいにこしたことはない。

欧州プレミアムBEVにも勝る「スムースさ」

 この「コースティング」が強調されるのは、走行時の室内音が徹底的に抑え込まれていることにもよる。EVのパワートレーン系の音が静かなのは当たり前として、最終的に抑えるのが一番難しくなるロードノイズや周りの車両の走行音といった車外騒音の侵入も小さい。ちょっと大げさに言えば、静寂な空間のままに空走していく感覚となるくらいに、静かな室内を実現しているのはスゴい。

 そしてもうひとつ、EVで先行してきた日産の強みを感じさせたのが、日常での発進域や微妙な加減速といった際のなめらかさ。EVというと、うたい文句として必ずやスムース、そして瞬時の加速をもたらすみたいな文言が与えられているものだが、じつは、このスムースさにも質があり、その差もある。この領域においてアリアは、ごく微妙な前後Gの変化まで抑え込まれており、欧州プレミアムブランドのBEVにも勝る高品質なスムースな動きをもたらしているように感じた。

「バッテリー温調」で充電性能にも期待大

 ここで唯一惜しいのは乗り心地で、車重が重いがゆえにバネを硬くせざるを得ないBEVにはありがちな、上下に揺すられるようなバウンシング感覚をもたらしてしまっている点。この日乗ってきたプジョーのe-2008も、同じボディの2008のICE(内燃エンジン)仕様と比べてしまうと、どっしり感こそ増すものの、上下の揺れは大きめに感じさせるものだった。ここは、金属バネのサスペンションにおいては、なかなかバランス取りが難しいところなのかもしれない。

 気になる一充電走行距離は470km(WLTCモード)と発表されている。BEVに乗って遠方に出かけてみるとわかるのは、満充電からの走行可能距離も重要だが、バッテリーを消費したあとの急速充電時の効率が肝となること。アリアは、バッテリーの温調システムを充実させたことで、高速走行直後の急速充電や寒冷地での急速充電でも安定した充電量を得られるとのこと。加えて、コースティングからも感じとれる走行抵抗の低さや高効率空調などと合わせ、実電費の良さも期待したいところだ。

 欧州プレミアムブランドのBEVがイッキに投入されてきている今こそ、BEVで先行した日産の技術を見せつけるときである。アリアが一目置かれる存在になることを願っている。

日産アリアのスペック

■日産アリア B6(2WD)主要諸元

〇全長×全幅×全高:4595mm×1850mm×1655mm〇ホイールベース:2775mm〇車両重量:1920kg〇乗車定員:5名〇最小回転半径:5.4m〇駆動用バッテリー総電力量:66kWh〇モーター最高出力:160kW(218ps)/5950-13000rpm〇モーター最大トルク:300N・m(30.6kg-m)/0-4392rpm〇交流電力量消費率(WLTCモード):166Wh/km〇一充電走行距離(WLTCモード):470km〇サスペンション 前/後:ストラット/マルチリンク〇ブレーキ 前・後:ベンチレーテッドディスク〇タイヤ 前・後:235/55R19〇車両本体価格(税込):539万円

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

プジョーがまたも最速。トヨタ、ポルシェは虎視眈々、50号車フェラーリは7周のみ/WECバーレーンFP3
プジョーがまたも最速。トヨタ、ポルシェは虎視眈々、50号車フェラーリは7周のみ/WECバーレーンFP3
AUTOSPORT web
予選ヒートからペナルティ続発の波乱。勝者失格により南米王者モンテネグロが金メダル獲得/FIA MSG
予選ヒートからペナルティ続発の波乱。勝者失格により南米王者モンテネグロが金メダル獲得/FIA MSG
AUTOSPORT web
S4改め、アウディS5 アバントへ試乗 3.0L V6ターボのHVで367ps! 新デザインテーマの車内
S4改め、アウディS5 アバントへ試乗 3.0L V6ターボのHVで367ps! 新デザインテーマの車内
AUTOCAR JAPAN
24歳で手に入れ31年…「ミニ モーク」から「ミニ マーコスGT」に乗り換えた理由は…「増車するならまたクラシックミニですね」
24歳で手に入れ31年…「ミニ モーク」から「ミニ マーコスGT」に乗り換えた理由は…「増車するならまたクラシックミニですね」
Auto Messe Web
アストンマーティン、F1サンパウロGPスプリントは2台揃ってピットスタート選択。決勝へ向けた準備時間に当てる
アストンマーティン、F1サンパウロGPスプリントは2台揃ってピットスタート選択。決勝へ向けた準備時間に当てる
motorsport.com 日本版
日産、欧州向け小型EV開発へ 10年以上ぶり「Aセグメント」参入 ルノー子会社と協業
日産、欧州向け小型EV開発へ 10年以上ぶり「Aセグメント」参入 ルノー子会社と協業
AUTOCAR JAPAN
自身を批判する一部の人間に腹を立てるフェルスタッペン「僕はただパフォーマンスを発揮し続けるだけ」と気に留めず
自身を批判する一部の人間に腹を立てるフェルスタッペン「僕はただパフォーマンスを発揮し続けるだけ」と気に留めず
AUTOSPORT web
初PPのapr LC500h、先輩・小高からの“愛のあるLINE”で新人・中村も気が引き締まった?「明日は普通に走ることが目標です(汗)」
初PPのapr LC500h、先輩・小高からの“愛のあるLINE”で新人・中村も気が引き締まった?「明日は普通に走ることが目標です(汗)」
motorsport.com 日本版
誰が高速道路を「逆走」しちゃうの? 矢印読めないの? 事故件数“危険レベル” 対策どうなってるのか
誰が高速道路を「逆走」しちゃうの? 矢印読めないの? 事故件数“危険レベル” 対策どうなってるのか
乗りものニュース
水平対向エンジン搭載! 新型「2ドア“クーペ”」公開! ド迫力ワイドボディ&ツインターボでめちゃ楽しそう! 900馬力超えの「P39 40SE」英国に登場
水平対向エンジン搭載! 新型「2ドア“クーペ”」公開! ド迫力ワイドボディ&ツインターボでめちゃ楽しそう! 900馬力超えの「P39 40SE」英国に登場
くるまのニュース
ハミルトン、セナの戴冠マシン『MP4/5B』でデモランへ「ここでドライブできるなんて思いもしなかった」
ハミルトン、セナの戴冠マシン『MP4/5B』でデモランへ「ここでドライブできるなんて思いもしなかった」
AUTOSPORT web
BMW、大型ハイパーネイキッド『M1000R』の最新モデルを公開。同時発表の『S1000R』は5馬力アップ
BMW、大型ハイパーネイキッド『M1000R』の最新モデルを公開。同時発表の『S1000R』は5馬力アップ
AUTOSPORT web
1960年代風の「レトロなスポーツカー」発売へ 500馬力V6に "リトラ" 採用! ベルトーネ新型「ランナバウト」公開
1960年代風の「レトロなスポーツカー」発売へ 500馬力V6に "リトラ" 採用! ベルトーネ新型「ランナバウト」公開
AUTOCAR JAPAN
ブガッティ「W16ミストラル」は巨大台風並みの強い風力を活用! オープンエアで最高速420キロの世界を楽しめるハイパーカーの空力はどうなっている?
ブガッティ「W16ミストラル」は巨大台風並みの強い風力を活用! オープンエアで最高速420キロの世界を楽しめるハイパーカーの空力はどうなっている?
Auto Messe Web
3年ぶりポールの64号車Modulo、ドライの決勝にも期待する声。「今年はテストの調子のままで来れている」とHRC
3年ぶりポールの64号車Modulo、ドライの決勝にも期待する声。「今年はテストの調子のままで来れている」とHRC
motorsport.com 日本版
F1コラム:標高2240メートルでの過酷なレース。高地のコンディションがドライバーとチームメンバーにもたらす困難
F1コラム:標高2240メートルでの過酷なレース。高地のコンディションがドライバーとチームメンバーにもたらす困難
AUTOSPORT web
新型『イプシロン・ラリー4』投入の名門ランチア、イタリア王者の賞典で2026年からのERC参戦を表明
新型『イプシロン・ラリー4』投入の名門ランチア、イタリア王者の賞典で2026年からのERC参戦を表明
AUTOSPORT web
マツダのコンパクトSUV「MX-30」が進化! 遊び心ある「おしゃれな特別仕様車」を新設定 “大きなディスプレイ”が鎮座する新コックピットも注目です
マツダのコンパクトSUV「MX-30」が進化! 遊び心ある「おしゃれな特別仕様車」を新設定 “大きなディスプレイ”が鎮座する新コックピットも注目です
VAGUE

みんなのコメント

3件
  •  スムースなのは、走行性能だけにして欲しい。バッテリーの劣化はスムースにならないように…。
     色々対策していると書いているが、「他の理由で劣化してます」なんて言いそうだよ、日産は。
  • そりゃ空走すれば省エネだからね。
    他社は当たり前にやっている、いまさらコースティングか。10年遅れてる。
    やっとでアクセル離したら減速じゃない制御できるようになったのね。

※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

659.0944.1万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

345.01140.0万円

中古車を検索
アリアの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

659.0944.1万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

345.01140.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村