ガソリン車の多くがリアフェンダーの左右どちらかに給油口があるのに対し、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)の充電口の位置は車両によって前後左右バラバラだ。日産自動車「リーフ」は初代と二代目ともにフロントにあるが、マツダのEV「MX-30」はリアフェンダー、メルセデス・ベンツ「EQC」の普通充電口はリアバンパーと、まさに“十車十色”。電動化の波に乗り各社が相次ぎEVを新規投入する中、充電口の位置はメーカーごとに異なる設計思想が見て取れる。
フロントエンジンの乗用車はリアシートの下に燃料タンクを配置するケースが多く、ほとんどの給油口はタンクに近いリアフェンダーあたりに位置する。
これに対し、EVやPHVでは充電口が統一されていない。ある自動車メーカーの技術者によると「充電口は給油口よりどうしてもサイズが大きくなる」といい、急速と普通充電の2口が必要となるEVの充電口は給油口よりも設置場所を選ぶのだという。「世界初の量産EV」を謳い10年前に登場した日産のリーフは、ガソリン車では見られない車体前方の鼻先に充電口を設けた。10月末に日本でも販売を開始したホンダの「ホンダe」も前方中央に位置するが、いずれも充電口の大きさを逆手にとって巧みにデザインに採り入れ、EVであることを強調している。他方、テスラはテールランプに一体化することであえて目立たせないようにしている。
ガソリン車をベースとするEVやPHVはリアフェンダーに位置する場合が多い。マツダのMX-30をはじめ、プジョーのEV「e-208」などがそうだ。トヨタ自動車のPHV「RAV4 PHV」は左リアフェンダーに給油口、右リアフェンダーに充電口を配置する。
前出の技術者は「ガソリン車だとフィラーパイプだけだが、EVだと充電口から高電圧ハーネスがつながり、配線の取り回しによる内装への影響や安全性の確保など、各社それぞれの考え方でやっている」と明かす。EVの充電時間はガソリン車の給油に比べて長く、駐車中に充電することが想定される。それだけに駐車状況を想定して充電口を配置する必要があるが、日本のような後ろ向き駐車か、米国のような前向き駐車、路上の並列駐車では道路の左右通行の違いで、ベストな充電口の位置が変わってくる。
日産がEV専用モデルとして開発した「アリア」は、フロントフェンダーの左右にそれぞれ急速充電口と普通充電口を配置した。充電口の位置や形はまだまだ進化しそうだ。
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