旧車事業に力を入れていくトヨタ
自動車文化を形成するさまざまなエレメントを取り込み、単なる自動車ショーの枠を超えている「オートモビルカウンシル2024」には、いまや自動車メーカーやインポーターも多数エントリーしています。なかでもトヨタブースでは懐かしい3台の名車が来場者を出迎えてくれました。
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クルマ文化を根付かせるための種まき活動を実施
日本最大手自動車メーカーのトヨタは、今回、架空のラボである「トヨタ クルマ文化研究所」を展開。トヨタ内でのさまざまなヘリテージ活動およびクルマ文化活動に関する取り組みと、そこにかける熱き想いを展示ブースにて表現した。ちなみに、熱き想いを別の言葉で説明すると、クルマ文化を掘り下げて研究することでその本質を日本各地に広めたい、とのことで、クルマ文化の成熟につながる活動を通じて心豊かなモビリティ社会の実現を目指す、という情感も含んでいた。
そのようなスキームを根付かせることを目的として展開されたトヨタブースでは3台の車両が披露され、大まかに分けると3つの具体例が提示された。
ひとつ目はブースの中央に飾られた1958年式トヨペット「クラウン RS」を通じて提示されたオリジネートレストレーションだ。これはトヨタの生産工場の技能を活かし、旧車を新車当時のオリジナルな状態に再生する作業のプレゼンテーションで、来場者はトヨタの匠の技が遺憾なく発揮されたオリジネート レストレーション(トヨタのヘリテージを未来に活かす本気のレストア)の実力を実車およびパーツの展示にて確認することができた。
ふたつ目はTOYOTA GAZOO Racingが「思い出の詰まった愛車に乗り続けてほしい」との想いで取り組んでいるGRヘリテージパーツプロジェクトで、こちらではクルマを一途に愛するオーナーの笑顔のためにサプライヤーの協力の下で多くの部品の復刻を目指している。
トヨタ「2000GT」、A70「スープラ」、A80「スープラ」、AE86「カローラレビン/スプリンタートレノ」、「ランドクルーザー」40系/60系/70系/80系を対象車種にしており、これまでに復刻した部品がすでに180品番に達しているという。公式サイトでパーツを検索すると2024年5月7日の時点で262件(復刻部品、代替部品に加え、現在供給中の純正部品の一部を含む)をチェックすることができる。
実店舗のみならずオンラインでの購入を可能としつつ、復刻リクエストを常時受け付けており、会場に展示したバッテリーEVの「AE86 BEV Concept」は、電動技術を活かした旧車の新しい楽しみ方の提案が主な役割だったが、GRヘリテージパーツプロジェクトの象徴的な存在でもあった。
ちなみに、AE86 BEV Conceptはレクサスで培ってきた電動化ノウハウを活用しながら、AE86のボディで軽い車重と前後の重量バランスを維持。BEVの特徴である高い駆動力やマニュアルトランスミッションの採用により、従来以上に走りの楽しさを感じてもらえる車両を目指して開発されている。また、「タンドラHEV」用のモーターやレクサス「NX PHEV」用のバッテリーなどを使用し、既販車の電動化技術を最大限活用。初出展となった2023年の東京オートサロン以降も開発を続け、出力、トルクともに向上しているのであった。
Vintage Club by KINTOにも注目
3つ目は1988年式「MR2 G-Limited スーパーチャージャー」を通じて提案された、旧車のレンタカーサービス「Vintage Club by KINTO」の取り組みだ。トヨタと新明工業のレストアで蘇った名車(特選旧車レンタカー)を見るだけでなく、触れて乗ることができるVintage Club by KINTOは、トヨタのヘリテージ活動とユーザーをつなげ、一緒に旧車を楽しむためのコミュニティで、SNSフォロワー限定の試乗会やイベントの他、YouTubeなどオリジナルコンテンツも用意している。
現在用意されている特選旧車レンタカーは、セリカ1600GT、セリカLB、セリカXX、セリカGT-FOUR、70スープラ、80スープラ、GRスープラ、27レビン、MR2、10ソアラ、アルテッツァ、初代セルシオ(期間限定)といったラインアップだ。旧車をもっと気軽に、もっと身近に、という想いでVintage Club by KINTOに携わっているスタッフにインタビューすると次のようなコメントが返ってきた。
「いま、レンタカーとして使っている特選旧車の販売も考えていて、今回のオートモビルカウンシルにて、レンタルしている状態のまま売ってほしいか、各部をリセットもしくは直してから売ってほしいか、ということを皆さんに伺おうと思っています。ベース車のままだと安価で、車検を通している状態だと高価ということなので、どちらがいいのか? という生の声を聞きたいわけです。クルマを直す、貸す、使ってもらう、新しいベース車を仕上げる、展示する、というサイクルが循環モデルになると人材の育成になるので、それも目指しています」
クルマ文化を根付かせるためにさまざまな種をまき、萌芽を大切に育てようとしているトヨタの活動から今後も目が離せない。
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