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【ガソリン車に並ぶ選択肢】フォルクスワーゲンID.3へ試乗 58kWhで420km 前編

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【ガソリン車に並ぶ選択肢】フォルクスワーゲンID.3へ試乗 58kWhで420km 前編

全世界で年間100万台の販売を目指す

text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)

【画像】ID.3 8代目ゴルフと比較 リーフも 全105枚

translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)


ガソリン車などに並ぶ、主力の選択肢としてフォルクスワーゲンが開発したID.3。純EVのサブブランド、IDを立ち上げ、初代ビートルやゴルフに並ぶ偉業の達成を狙っている。

フォルクスワーゲンの新CEO、ラルフ・ブランドシュテッターによれば、将来的には全世界で年間100万台の販売を目指している。この実現には、多くのガソリンエンジン車やディーゼルエンジン車を超える魅力で、ユーザーを振り向かせなければならない。

フォルクスワーゲンは、純EVが主力になる時代が来ることを見据え、ID.モデル拡充のために80億ポンド(1兆560億円)に達する投資を進めている。変革は始まっている。目標は、2025年までに300万台の純EVを生み出すことだ。

現在、世界の純EVの販売台数でトップを走るのは、日産リーフ。純EVの民主化を進めるには、その順位を入れ替える必要もある。そんなフォルクスワーゲンID.3をAUTOCARが試乗するのは、今回で2回目だ。

といっても、前回はカモフラージュされたプロトタイプ。量産できるほどの洗練度は得ていなかった。

今回は一般道での試乗に加えて、ヴォルフスブルクにあるフォルクスワーゲンの開発センターでの走行も許された。バンク角のきつい高速コーナーのほか、スキルが求められるハンドリングコース、荒れた路面などが組み合わされた試験場は、どんなクルマにとってもタフな環境だといえる。

8代目ゴルフに勝る空力特性

ソフトウエアの問題によって、当初の予定よりID.3の発売は遅れている。そこでフォルクスワーゲンは、アップル・カープレイやアンドロイド・オートなど、コネクト機能を省いてのリリースを決定した。

ごく初期のオーナーは、拡張現実ヘッドアップ・ディスプレイの機能の一部も利用できない。エンジニアの改変作業が完了次第、ソフトウエアはアップデートされる。

英国でのフォルクスワーゲンID.3の発売は、2020年9月下旬へと迫っている。先代までの純EV版、e-ゴルフも置き換えることになる。

新しい8代目ゴルフとボディサイズを比較すると、全長は23mm短く、全幅は20mm広く、全高は96mm高い。ホイールベースは129mmも長く、車内空間もそれだけ広い。

ホイールサイズはベースグレードで18インチ。最大20インチまで用意される。

全高は高いものの、空力特性は素晴らしい。最適化されたホイールデザインに、余計なエアインテークなどのない滑らかなフロント周り。ボンネット上端の黒いパネルは、フロントガラスの気流を効率的に整える。

ボディ下面は全面がカバーで覆われ、リアウインドウには大きなスポイラーが取り付けられた。これらが組み合わさり、空気抵抗を示すCd値は0.267と、全高の低いゴルフより良い。

ID.3は、MEBプラットフォームを基礎とする。フォルクスワーゲンをはじめとする複数ブランドが提供する、純EVへ利用されるものだ。アウディやセアトに加え、ジョイントベンチャーとしてフォード製の純EVも採用する。

広々とした車内に最長550kmの航続距離

ID.3はプラットフォームを効率的に利用し、電気モーターはリアに搭載。まるでフォルクスワーゲン・ビートルのようだ。

発売当初に提供されるファースト・プラスと呼ばれるグレードの場合、最高出力は203psとなるが、追って150ps版も選べるようになる。どちらの馬力を選んでも、固定レシオのトランスミッションを介して、後輪を駆動する。

バッテリー容量は3段階から選べる。航続距離が330kmとなる48kWhと、420km走れる58kWh、550kmにまで伸びる77kWhの、3種類だ。

駆動系統のパッケージングの自由度とコンパクトさを活かし、ID.3は小さなボディながら広々とした車内を得ている。開放的ではあるが、車中泊もできるパサートレベルとまでは、いえないだろう。

シートに座ると、バッテリーが収まる都合でフロアは高く、クルマの上に乗っている感じ。シートの表皮は薄いクロス張りで、運転姿勢はややアップライト気味だ。

電気モーターが収まるため、リアの荷室は見た目より小さい。最新のゴルフより35L広い385Lの容量はあるものの、開口部の位置は高め。

シンプルで整然としたデザインのダッシュボードは、機能的で使いやすさに配慮されている。モニター式のメーターパネルが、ドライバーの正面に自立して据えられる。

ダッシュボード中央には、10.0インチのインフォテインメント・システム用モニターが収まる。マルチファンクション・ステアリングホイールにもタッチセンサーが用意され、多くの機能の操作が可能だ。

コストを意識させられるインテリア素材

スライダーと呼ばれる、独立したタッチセンサーが、エアコンの温度とオーディオのボリューム用に用意されている。これは最新のゴルフと同じ仕掛け。

車内の品質は、フォルクスワーゲンの水準にある。だが素材は安っぽい。ダッシュボード上部の質感はいいものの、車内のあちこちに硬質なプラスティック素材がそのまま使われている。コストのかさむバッテリーが、インテリアに影響しているようだ。

欧州の左ハンドル市場では3グレードでの発売となるが、英国へ当初入ってくるのは、中級グレードに当たるファース・トプラス。19インチのアルミホイールと、プライバシーガラス、リアカメラ、ダイナミックLEDライトが標準装備される。

ステアリングコラム上のスターターボタンを押して、始動。電子機器特有の唸るような音を聞きながら、スイッチレバーを動かす。前方へ回せばドライブ・モードに入り、減速時のエネルギー回生を調整できるバッテリー・モードが選べる。手前側に回せば、バックとニュートラルだ。

メーター用モニターの右端の高い位置に付いており、デザインや機能面でいうと、BMW i3と同等。センタコンソールには、充分な容量の小物入れとドリンクホルダーが設けられている。

欧州では、低速域でクルマの接近を歩行者へ知らせるサウンドを義務付けている。19km/hを超えると、自動的に音は消える。

シートベルトを締めて、準備は整った。走り出してみよう。この続きは後編にて。

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みんなのコメント

1件
  • いろいろと良いことが書かれているが我が家の狭い駐車場ではドアが開けられない。スライドドアか軽自動車しか選べない。EVも私が買えるような自動車が販売されると嬉しいな。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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