7月2日、2023年FIA F2第8戦シュピールベルクのフィーチャーレース(決勝レース2)が行われ、16番手からスタートした岩佐歩夢(ダムス/レッドブル&ホンダ育成)は、上位勢の多くとは異なるタイヤ戦略が功を奏したほか、運も味方につけ14ポジションアップとなる2位表彰台を獲得した。
レース後、岩佐は「(VSCやSCなど)かなりラッキーな部分はありましたが、2位という結果はよかったと思います」と振り返った。
【ポイントランキング】FIA F2第8戦シュピールベルク終了時点
岩佐にとって、第8戦シュピールベルクの週末は決して順風満帆ではなかった。予選で6番手タイムをマークも、トラックリミット違反によりベストタイム抹消に。決勝は2レースとも16番手からのスタートとなった。
7月1日に行われたスプリントレース(決勝レース1)はウエット絡みとなり、スタート前のタイヤ選択が戦局を分けた。ウエットタイヤでのスタートを選択した岩佐は乾きゆく路面やピットタイミングの悪さも影響し、苦戦を強いられ結果は11位。ポイント獲得には届かなかった。
ただ、そんなスプリントレースで得たポジティブ要素が翌日のフィーチャーレースで活かされたようだ。
「スプリントレースで得たポジティブなところや自分たちの持っているパフォーマンスを活かしたストラテジーがうまくいきました。タイヤ交換の前、前のクルマのダーティエアで離れましたが、タイムを落とすことなくタイヤを保たすことができたのがよかったです」と岩佐。
タイヤ交換義務を有するフィーチャーレースでは上位勢の多くがオプションタイヤ(柔らかめのタイヤ/スーパーソフト)を装着してスタート。一方、岩佐は少数派のプライムタイヤ(固めのタイヤ/ソフト)を装着する戦略を選んだ。
16番手と後方スタートとなった岩佐だが、ターン1で2台をかわすと、その後も3台を立て続けに攻略。オープニングラップで5つポジションを上げて、ポイント圏内目前の11番手で2周目を迎えた。
レース中盤の28周目、岩佐のピットストップの前周にタイヤ交換を済ませたチームメイトのアーサー・ルクレール(ダムス/フェラーリ育成)の右リヤタイヤがホイールごと外れコースサイドにマシンを止めたことで、岩佐のコース復帰直後にバーチャル・セーフティカー(VSC)導入された。
なお、ダムスのチームオーナー、シャルル・ピックはルクレールのタイヤホイール脱落について「我々のミスでレースを終えてしまった。彼には大変申し訳ないことをした」とコメントしている。
VSCはセーフティカーSCに切り替えられ、レースは33周目に再開。ここから6番手岩佐、SC中にピットを終え5番手につけるリチャード・フェルシュフォー(ファン・アメルスフォールト・レーシング)の2台はフレッシュかつ、タイムの出るオプションタイヤのポテンシャルを最大限に引き出す。
33周目にポールスタートのビクトール・マルタンス(ARTグランプリ/アルピーヌ育成)、34周目にランキング2位のテオ・プルシェール(ARTグランプリ/メルセデス育成)、2度目のVSCを挟み38周目にジャック・ドゥーハン(インビクタ・ビルトゥジ・レーシング/アルピーヌ育成)をパス。
そして残り2周となった39周目にランキングトップのフレデリック・ベスティ(プレマ・レーシング/メルセデス育成)をかわし、岩佐の前にはフェルシュフォーのみという状況に。
ファイナルラップは先行するフェルシュフォーと岩佐の一騎打ちとなった。岩佐はDRSを使いつつ、フェルシュフォーを最後まで攻め立てるもオーバーテイクには至らず、0.415秒差の2位でチェッカーを受けた。
「ファイナルラップ、これから映像で確認しますが、トップに立てるチャンスがあったように思います。ターン6がポイントだったと思うので、詳しく見直します」と岩佐。14ポジションアップといえど、0.415秒差で逃した勝利は悔しいに違いない。
なお、岩佐は37周目このレースのファステストラップとなる1分17秒575をマークし、ファステストラップポイントの1点も獲得。2位獲得での18点と合わせ19点を手にした。
これで今季の獲得ポイントは101点に達し、ランキング順位は3位から変わらずも、ランキング2位のプルシェールとのギャップを17点差から4点差まで縮めることが叶った。
「7月の4戦の始めとして、いいスタートが切れたと思います。今回のレースで、改めて攻めていかなければいけないということを実感しました。ドライビングもマシンのセッティングもチャレンジしなければ、いい結果は得られないということです。その積み重ねがシリーズランキングなので、攻めの姿勢でこれからも臨みたいと思います」
2023年FIA F2、次戦となる第9戦は7月7日~7月9日にイギリスのシルバーストン・サーキットで開催される。
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