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Hyundaiの水素を考える ヒョンデの知らない一面を覗いてみた

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Hyundaiの水素を考える ヒョンデの知らない一面を覗いてみた

2024年10月下旬に、韓国で次期燃料電池車の発表会が行なわれた。そこで発表された乗用車は「INITIUM」(インシウム)という名前で、現在市販されているNEXO(ネッソ)の後継モデルに位置付けられているモデルだ。

発表会では、車両の詳細は紹介されず2025年の早い段階で公開する、としていたがおそらく、1月初旬ラスベガスで開催されるCES2025で公開されるだろう。

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このインシウムはファーストムーバーとしてのプライドをもったSUVとし、モノの本質からスタートして開発。それはスチールを使うことで鉄の特性を活かしたデザインとした「Art of design」と位置付け、剛性の最大化とするアーチ構造で設計されている。エクステリアは戦車をイメージせるバンパーや21インチホイールなど無骨なスタイルが特徴だ。

ヒョンデは1998年にマーキュリーIIというモデルで最初に燃料電池車を開発し、その後2004年ポラリス1というモデルに搭載。2013年ツーソンというヒョンデの燃料電池車として発売し、そして2018年にNEXOを発売している。

このNEXOは日本でも発売されているものの、ほとんど街中で見かけることはない。しかし、Hyundaiでは水素事業に力を入れており、こうした燃料電池車を継続的に開発しているのだ。

しかし注目すべきは乗用車を開発していることではなく、燃料電池を使ったビジネスにも幅広く取り組んでいることだ。例えば、水素の充填スタンド数は、日本は約170箇所ほど整備しているが、韓国でも似たような数で200基程度の充填ステーションがある。国土の大きさや地方都市にも整備していることを踏まえると、日本よりは、利用しやすい環境にありそうだ。

そして燃料となる水素は製造することはもちろんなのだが、注力しているのは使うことと運ぶことで水素に置き換えての保存などの事業がある。保存した水素は燃料電池によって発電できるので、さまざまな場所で利用することが可能になる。

つまり燃料電池は小さな発電所であり、並列に接続すれば大電力の発電も可能になる。また現在ディーゼルエンジンで動いているものを燃料電池に置き換えることでEVとして利用できることも考慮している。例えば、港湾エリアのフォークリフトや、工事現場でのショベルカーなど。また船舶も運ぶことと利用することも可能になるなどだ。さらにはドローン型のいわゆるEVTOLにも利用できるとしているのだ。そして住宅への電力供給も視野にあるようで、燃料電池を数十基繋げて団地の電力とする構想もある。

また風力発電や太陽光発電、牛糞を使ったバイオ燃料の領域まで次世代燃料への取り組み構想があり、単に自動車を作るだけでなく、インフラを含めた全体でのエネルギー事業に取り組んでいることがわかる。このようにヒョンデは他産業へ燃料電池を供給することで、カーボンニュートラル社会へのアプローチをしていることがわかる。

水素タンクを縦に搭載ラダーフレームは燃料電池システムで埋め尽くされているこの発表会が行なわれたGOYANG(ゴヤン・高陽市)のモータースタジオには、大型トラックの燃料電池車も展示されている。長距離の大型トラックではトラックターミナルに水素充填ステーションを設置すれば、十分実用性が高いというわけだ。

実際、韓国の高速道路にあるサービスエリアで見かけた観光バスは燃料電池車で、普通に走っていることを目撃している。聞けば、450万台の燃料電池車がすでに走行しており、NEXOは1万台/年のペースで販売されているというのだ。

つまり、日本では燃料電池の存在はトヨタのミライとクラウンセダン、ホンダのクラリティとC-RV eFCEVしかなく、商用はまだ広範囲では実用化されていない。一部路線バスで採用しており、見かけることはあるが、ごく一部に過ぎないのに対して、韓国ではすでに実用的に利用されている現実があるというわけだ。

この韓国取材では商用車のFCV開発兼水素研究所も見学できている。撮影は禁止のため写真材料がないのだが、大型トラックの風洞試験ができる設備など、大型トラックの電費をよくする研究も行われているようだ。

じつは、この発表会の5日ほど前にWRC関連イベントとしてトヨタガズーレーシングとヒョンデワールドラリーチームによるサーキットイベント「ヒョンデN×トヨタガズーレーシングフェスティバル」も行なわれていた。

聞けば、韓国でのモータースポーツ人気は不調で、あれだけWRCでヒョンデが活躍しているにも関わらず、盛り上がっていないという。たしかにF1もかつて韓国GPが3年間開催されているが、不採算を理由にその後開催されていない。

そうしたモータースポーツ不人気を払拭するために豊田章男会長とヒョンデのチョン・ウィソン会長がWRCの現場で顔を合わせるごとに韓国人気の話になり、共同開催の話へと発展したという。

そうしたこともあり、この発表会では韓国地元の記者からの質問でトヨタとの水素における協業や提携はあるのか?という質問が出ていた。

これに対し、現代自動車のチャン・ジェフンCEOは「扉は空いている」と答えており、具体的な言及はないものの、可能性を感じさせる発言をしていた。

こうした燃料電池技術は、まさしく他産業へ供給することでカーボンニュートラル社会へつながるきっかけになることは間違いない。ディーゼル(電)車が走る場所では、駅に充填ステーションをつくり、街の公共車をFCVにする構想もできる。もちろん充填するために免許など不要にする必要もあるが、そうした展開を政府や地方自治体なども積極的に活動していくことで、大きな変化につがっていく未来があるのではないだろうか。

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