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ロシア/ウクライナ情勢 日本の自動車メーカーに与える影響は?

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ロシア/ウクライナ情勢 日本の自動車メーカーに与える影響は?

対岸の火事ではない

ロシアのウクライナへの軍事侵攻に対して、世界全体が大きな不安を抱いている。

【画像】露向けカムリとRAV4は生産を一時中止に【2モデルを見る】 全73枚

戦争という悲劇のなかで、必死に生きようとしている人々の姿が連日、メディアを通じて報じられている。

日本にとっても、対岸の火事として捉えるのではなく、人道的な対応に誠心誠意つとめるべきだと思う。

一方で、経済の分野でも、日本という国として、また個別企業としてロシア、ウクライナ、そしてその周辺国への対応策を真剣に検討するべき時期である。

そうした中、自動車産業界でも3月に入ってから新たな動きが出てきた。
 

ロシアでの販売台数が少ないホンダ

まず、ホンダについて、テレビや通信社などが「ロシア向け四輪や二輪車の輸出を一時停止することが明らかになった」と報じた。

理由については、経済制裁という直接的な面ではなく、ロシアの金融市場の混乱によりロシア現地での決済や資金の回収が難しくなったからなど、としている。

そもそも、ホンダのロシア市場での事業規模は限定的で、コロナ禍の2020年販売実績は約1500台とかなり少ない。

一部報道では、ホンダは販売台数が限定的であることから、ロシア市場からの撤退を含めた対応策を、今回のウクライナ軍事侵攻の前から検討していたとも伝えられている。

では、トヨタはどうか?

ロシアに工場をもつトヨタの決断

トヨタは2022年3月3日、「ロシア事業(現地生産・車両輸入)について」というプレスリリースを出した。

それによると、現地法人ロシア・トヨタは、部品の供給不足などの問題によって、3月4日から当面の間、ロシア第二の都市であるサンクトペテルブルグにある最終組立て工場での稼働を停止するという。

同工場では、ロシア市場向けとしてカムリとRAV4を生産している。

そのほか、日本などからのロシアへの完成車輸入についても当面の間、停止する。

現在、ロシア・トヨタは同国内に、168の販売/サービス拠点を持つが、ロシアの消費者に直接的な影響が及ぶことになる。

また、ウクライナではロシアの軍事侵攻の影響で、2月24日から同国内のサービスと販売拠点のすべてである37拠点で事業を停止している。

他のメーカーでは、三菱やマツダについても、日本からのロシアへの部品輸出などを一時停止する動きがあるとの報道がある。

こうした一連の動きは、あくまでも現地での部品調達が難しくなることや、金融市場の混乱などが根拠とされている。

今後は、ロシアに対する経済制裁という観点から、日本の自動車メーカー各社でつくる業界団体の日本自動車工業会としては国と連携して、自動車メーカーが共同歩調をとるかどうかの方向性を示すことが必要になるだろう。

欧州メーカーにも影響が

欧州メーカーでも、ロシアのウクライナ軍事侵攻に関係する影響が生産面で出てきた。

フォルクスワーゲンとBMWはそれぞれ、ウクライナからの部品供給に問題が生じたことで、最終組立て工場の稼働を一時停止すると発表した。

各種報道によると、原因はドイツのケーブル(配線)メーカーにあるという。

近年の自動車には多数のECU(制御装置)が組み込まれており、その数は高級車の場合100近くに及ぶ。

これらECUやライト類など、クルマの中にはさまざまなケーブルが配線されている。

先端開発分野では、ボディの一部やボディペイントの一部にケーブルの機能を埋め込むなどの技術があるが、現状ではケーブルが電気とデータを送るクルマにとっての血管として重要な役割を果たしている。

ケーブルの製造工程ではコスト削減のため、一部の作業を人件費の安い国や地域でおこなう場合がある。

筆者は以前、東南アジアでタイの部品メーカーがケーブル製造の一部を、近隣のカンボジアでおこなっている様子を取材したことがある。

あくまでも予想だが、今回の事例ではポーランドなどでの主要部品工場から、一部の作業がウクライナでおこなわれていたのかもしれない。

もし、そうだとすると、部品メーカーとして早急に対策を打つにしても、コスト上昇は避けられないだろう。

世界戦略の見直し時期か?

話をロシアに戻そう。

トヨタが一時操業停止を決めた、サンクトペテルブルク工場はいま(2022年)から15年前の2007年に操業を開始した。

その頃は、BRICs(ブリックス:ブラジル、ロシア、インド、中国など)と呼ばれる経済新興国での経済成長が目覚ましく、その象徴が自動車産業だった。

BRICsでの市場規模が大きくなる中で、各メーカーが現地生産に乗り出していった。

ロシアの場合、日産はロシア国営企業との連携での進出となったが、トヨタは独自工場の建設を決断した。

工場が稼働開始からしばらくして、筆者はトヨタ本社関係者から「ロシアの工場従業員の手が大きくて、組立工程で時間がかかる場合がある」として、カムリの一部設計を見直したという話を聞いたことがある。

こうした小さな「カイゼン」により、トヨタはロシアでの現地化を着実に進め、生産能力で年間10万台、また2021年実績で8万台を生産するまでの拠点に育て上げた。

だが、ロシアのウクライナ軍事侵攻によって、一時的な工場停止という事態に陥った。

カントリーリスクという言葉があるが、経済危機のみならず、今回のような大規模な軍事的な出来事も想定することが重要であることを、あらためて実感した。

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みんなのコメント

6件
  • 中国だって遅かれ早かれ、同様のリスクがある事を認識するべきだろう。
  • ロシア向けのランクルを日本に流してほしい。それだけ 笑
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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