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【クルマ好きに不思議と刺さる】フィアット・パンダ・クロス4×4試乗 2気筒に惚れる

掲載 更新 3
【クルマ好きに不思議と刺さる】フィアット・パンダ・クロス4×4試乗 2気筒に惚れる

イタリア車はピンとキリこそ味が濃い

text:Takuo Yoshida(吉田拓生)

【画像】かわいらしさに惹かれて【新旧パンダを比較】 全57枚

editor:Taro Ueno(上野太朗)

仕事柄、「最近なにか凄いクルマに乗りましたか? 」と聞かれることが多い。

そんな時はとりあえずスーパースポーツカーとか、超高額車の名前を挙げると「ヘェー、そーなんだー」と納得してくれたりする。

けれど先日「最近何か面白いクルマ乗った? 」と聞いてきた友達がいた。

エッ、面白い?

ポルシェ・タイカンは面白いというより「凄い」だよなぁ……

とその時、黄色い小粒な1台が思い浮かんだ。北海道で試乗したフィアット・パンダ・クロス4×4(フォーバイフォー)である。

米/仏/日/英/独、色々な国籍のクルマを愛車にしてきたが、不思議とイタリア車には縁がない。

ピンとキリではないけれど、気になるイタ車はいつもスーパーかスモールの2択になる。現行モデルならフェラーリF8トリブートか、フィアット500ツインエアか。

車両価格がまるで違う2台だが、スピードや場所を選ばず、普通に走らせるだけでご機嫌になれるキャラクターはよく似ていると思う。

初代のフィアット・パンダの4×4は以前から大好きな1台だった。

コンパクトでお洒落、しかもタフな見た目のパンダはずっと一定数の熱烈なファンがいて、今なお中古車市場で高値安定である。

現行のパンダはボディが丸っこく、しかも5ドアになってしまっているが、実用性や車格を考えればパンダ4×4の末裔と呼んで間違いないだろう。

限定150台、決め打ちの潔さ

フィアット500の圧倒的な人気に押されがちなフィアット・パンダだが、小粒なボディに機能を詰め込んだ5ドアのミニマム実用車として根強い人気を誇っている。

3代目となる現行型のデビューが2011年なので、現在販売されている輸入車としては最古参の部類に入るはずだ。

とはいえベースとなっているパンダ自体にちゃんとアップデートが施されているので「古い」という感じは皆無である。

パンダ・クロス4×4は昨年10月に発表された限定モデルだ。パンダ・クロス自体は2014年に発表されているし、パンダ4×4はこれまでも何度か限定販売されている。

だがパンダ・クロスが正規輸入されるのは今回が初めてとなる。

パンダ・クロスの最大の特徴は、グンッと持ち上げられた車高にある、というのは目の錯覚で、実際はタイヤ・サイズも含めてパンダ4×4と一緒。

バンパー下の銀色のアンダーガードやサイドシル上のフィニッシャーのおかげでクロスオーバーらしさがアップしているのだ。

黒い樹脂パーツがヘッドランプまわりからホイールアーチを伝ってボディをグルリと一周しているデザインも、クロカン的タフさとお洒落を両立していて見事だと思う。

限定車のボディカラーはパステルイエローのみ、パワートレーンはツインエア+6速MTという決め打ち感が潔い。

150台のみの個性派なのだから細かい選択肢はいらないと思う。

美人ではないがかわいらしい

北海道、トマムで開催されたFCAの雪上試乗会の主役はいわずもがなジープである。

ワイルドなジープ兄弟の車列の端っこに、赤いステルヴィオと黄色いパンダ・クロス4×4がちょこっと添えられている感じ。

だが個人的には、今回が初対面となるパンダ・クロスに胸がときめいていた。

苦労して登った雪山の頂上で、黄色いウェアの山ガールに「写真撮ってもらってもいいですか? 」と声を掛けられた感じ?

美人じゃないが、満面の笑みと全体の雰囲気がカワイイ。こういう子がオッサン受けするのだ。

室内はスイッチ類も少なくシンプルで、シートは少し平板だが布なのでホールド性が高い。ダッシュパネルの中段から生えるシフトレバーと左手の位置関係もちょうどいい。

エンジンをかけると、ドカドカッというツインエア=2気筒の粗っぽい鼓動が勇ましい。

レシオの低い1速が素早くターボを覚醒させるのはイタ車の常套。3000rpmから上は振動も落ち着きはじめ滑らかに回るようになる。

この感じはヒストリックカーでいうところの「カムに乗る」感覚に似ている。

イタリアの小型車はエンジンを回すほど活力が漲るという公式は今なお健在なのである。

スーパーカーをゆっくり走らせるより、僅か85psでもエンジンを目いっぱい回して走る方がよっぽど運転欲が満たされる。

こういう肩ひじ張らない楽しさはMTのルノー・カングーあたりと似ているが、こちらは四駆。

というわけで、雪解けしたアスファルトの道を外れ、圧雪が残る脇道に飛び込んでみた。

クルマ好きに不思議と刺さる

パンダ・クロス4×4の四駆はオンデマンド式で、普段はほぼFFのような状態で走っている。

シフトレバーの後ろにはダイヤル式のドライブモード・セレクターが付いているが、その区分もシンプルなもの。

「オート」と「オフロード」、そして滑りやすい坂道を下る「ヒルディセント」の3段切り替えになっている。

雪道でも「オート」で充分そうだが、それでは芸がないので「オフロード」を選んでみた。

ミシュランのスタッドレスとの相性も良く、滑らそうとしなければ雪の上でも容易に滑らない。

でもいざ滑り出すとき、アンダーステアなしにオーバーステアに移行するのは、クルマ好きには堪らないアクションといえる。

パンダ・クロス4×4のリアシートは最低限の大きさだし、ラゲッジスペースも広くはない。

でも普段使いではコンパクトなボディによる取り回しやすさの方がメリットが大きいと思う。実用性に優れ、飛ばすとスポーツカー顔負けに楽しく、500ツインエアの経験から予測すると長距離ドライブでもストレスがないはず。

しかも見た目のインパクト大で、価格も現実的(?)、所有欲も満たされる。

1台しかクルマを所有できない、でも煩悩が多いというクルマ好きにこそお薦めしたい。

それでも限定150台で、ほぼほぼ完売しているという事実が焦りを誘う。

根気よく中古を探すか、フィアットのことだから次の限定もあるはずと信じて待つか。

クルマ好きを自認する人が黄色いイタリア娘に触れたら、恋せずにはいられないはずだ。

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みんなのコメント

3件
  • 走適破性ではジムニーには敵いませんが何だかほのぼのした感じがユルくて個人的に大好きです。
    妻がMT乗れたら間違いなくセカンドカーに選んでいるでしょう。
  • 何もわざわざ2気筒車に乗ることも。。。
    バイクじゃないし。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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