マイナーチェンジを受けたボルボのミドルクラスSUVである「XC60」に小川フミオが試乗した。
Googleのサービス
日本でも人気の高いプレミアムSUVのXC60のマイナーチェンジ・モデルが、9月1日に発表され、シャープになったフロントマスクとGoogle(グーグル)搭載で魅力をアップした。
日本法人のボルボ・カー・ジャパンが、とりわけ強調しているのが、「Google搭載の新インフォテイメントシステム」の導入だ。「Googleアプリに、クルマという移動機能がそなわったと見ることも出来ます」との、ボルボ・カー・ジャパンでプロダクトマネージャーを務める畑山真一郎氏の解説が興味ぶかい。
Googleのサービスは、私たちの日常生活に深くかかわってきている。クルマに乗っているときも、クルマから離れているときも、さまざまなアプリでもって、クルマとひととの距離を縮めようというのが、ボルボのコンセプトのようだ。
具体的には、「Google マップ」によるナビゲーション・システム、「Google アシスタント」による音声操作システム 、そして「Google Play」によるアプリケーションを使える。
ごく簡単にいうと、自分のGoogleアカウントを持っていれば、スマートフォンとクルマのインフォテインメントシステムを“シームレス”に接続出来る。
自分のスマートフォンのなかのGoogleが提供するアプリの内容は、クラウド経由でボルボ車のモニターで共用できる。音楽やポッドキャストのコンテンツ再生、メッセージの送信が音声コマンドで可能になる。さらに、 Googleアシスタント対応デバイスの操作もできるという。
他社の製品でもあるように、エアコンの温度設定や、ナビゲーションシステムの目的地の設定なども音声で可能だ。ドライバーは運転に集中したまま、声でさまざまな機能をコントロールできる。それは、ひとつの安全思想だとボルボではする。
11月初頭に、XC60でこのシステムを試したときは、日本語には対応していなかった。対応済みの英語で試したところ、筆者の拙い発音にもきちんと反応した。たとえば、試乗した場所は千葉・舞浜だったので、「Take me to Tokyo Disney Land」と、言ったところ、Google アシスタントは即座に反応して、ナビゲーション・ルートを設定してくれた。
「それだけではありません」と、畑山氏は言う。「いわゆる“IOT(Internet of Things)家電”を使っていれば、車内から音声で、自宅のエアコンのオン・オフや照明の操作も出来ます。山間の別荘にいくときには、たとえば到着前に玄関灯を事前に点灯しておくこともできます」と、述べる。
Google Playに対応しているSpotifyやYouTube Musicで、音楽のストリーミングを楽しむこともできる。2022年第1四半期には日本語対応のシステムをGoogleが開発予定という。
クルマに乗り込んだとたんに「近くの寿司屋に行きたい」と発声すると、Googleアシスタントがリストを提示。店名を指定すると「まだ開店していませんよ」なんていうやりとりが可能になるとか。
世界にさきがけてボルボが採用に踏み切った今回のシステム。このあとドイツをはじめ、各国の自動車メーカーの追随が予想される。日本では、XC60をはじめ、「V90」、「V90クロスカントリー」、それにセダンの「S90」に搭載されるという。
ボルボならではの魅力
ところで、今回乗ったXC60 B5 AWDインスクリプションは、活発に走り、印象がいいクルマだった。2.0リッター直列4気筒ガソリンターボ・エンジンに、小型の電気モーターを組み合わせたマイルド・ハイブリッド・システムを搭載する。
250psの最高出力と350Nmの最大トルクを持つエンジンは、8段オートマチック変速機を介し前後の車輪を駆動する。全長4710mm、全高1660mmのボディには充分すぎるパワーと感じられる。最強モデルには電気式スーパーチャージャーとターボチャージャー2連装の「B6」もあるが、B5でも十分なダッシュ力だ。
ボルボはつねに、スポーティなクルマでなく、安全で、かつ環境負荷の低いクルマづくりを心がけてきているという。それでもB5はハンドリング性能が高く、カーブが連続する道でのボディ制御にすぐれるうえに、つねにフラットな姿勢を保つエア・サスペンションシステムと、全方位的に完成度が高い。
今回は、フロントエアダムの造型が直線とエッジを効かせたシャープなものに変更されるなど、ややアグレッシブな印象を漂わせている。乗り心地は快適で、静粛性も高い。メルセデス・ベンツ「GLC」や、BMW 「X3」や、アウディ「Q5」などと競合しつつ、それらとは異なるイメージをしっかり確立し、ファンの心をつかんでいるように思う。
とくに日本では、インスクリプションという、いわゆる“北欧イメージ”を強めに打ち出したクリーンで、どことなく温かみのある内装を持つ仕様の人気が高いそうだ。これもドイツの競合にはないと評価されているボルボ車ならではの特徴だ。
マイナーチェンジでは、「先行車発進告知機能」と「リア衝突回避・被害軽減ブレーキ・システム」の先進安全装備類も追加されている。価格は「B5 AWDモメンタム」の649万円にはじまり、今回テストした「B5AWDインスクリプション」の749万円、そのうえに「B6 AWD R-DESIGN」(809万円)、そして「リチャージ・プラグインハイブリッドT8インスクリプション」(844万円~)が設定されている。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)
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みんなのコメント
アップデートもされていくし嬉しいね
物理スイッチを探して押さなくても、話すだけで設定できるのは安全だと思う。
使いこなすには少し慣れが必要だろうけど。