杏里さんに、360モデナのJBLのオーディオ・システムを体感してもらうべく、東京・港区は麻布のスタジオを出た。
「想像していたより、エンジン音がずいぶん静かですね!」と、杏里さんはまず述べた。以前、よく乗っていたというフェラーリは、いつも“爆音”を轟かせていたそうだ。
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【前回のおさらい】杏里とフェラーリ(前編)
杏里(ANRI)。神奈川県出身。1978年「オリビアを聴きながら」でデビュー。活動初期から楽曲制作では気鋭の作家陣とタッグを組み、海外レコーディングを積極的におこない、フィリップ・ベイリー、ピーボ・ブライソン、リー・リトナー、ジョニー・ギルなど、海外アーティストとのコラボレーションにも取り組んできた。また1980年代には松田聖子、中山美穂、仙道敦子、1990年代には観月ありさ、近年ではリュ・シウォン、加賀美セイラなど、多くの女性アイドルに楽曲を提供するメロディー・メーカーでもある。「エンジン・サウンドがこのぐらいの大きさなら、オーディオをカスタマイズしたくなる気持ちもわかります。エアコンも寒いぐらいの冷風がすぐに出るし、ミッションはオートマだし、いまのフェラーリってこんなに快適なんですね!」
すいません。「いまのフェラーリ」というほど新しくないんです。もうほぼ20年選手ですから、と杏里さんに言う。
360モデナが搭載するエンジンは、3.6リッターのV型8気筒DOHCエンジン。最高出力は400ps/8500rpm、最大トルクは372Nm/4750rpm。「そうでした。でも、私がよく乗せてもらっていたフェラーリはマニュアルでしたし、エアコンの効きもイマイチでしたよ」という。フェラーリは、1990年代に大きく、文明的に「進化」したのである。
杏里さんは、ボディのコンパクトさにも感心していた。「幅は広いですが、(麻布の)細い道もスイスイ進んでいきますから、日本でもフツーに運転出来そうですね」。もしかしたら、フェラーリに乗ってみようか、と思ったのかもしれない、とボクは感じたのであった。
【前回のおさらい】杏里とフェラーリ(前編)
オーディオもエンジンも楽しめる稀有な360モデナ今回は杏里さんのリクエストで、「U2」および「イーグルス」などの楽曲を準備した。麻布から首都高速道路・天現寺インターチェンジに向かう道中、U2の『Beautiful Day』が流れる。
「エンジン音が静かだから、音楽がしっかり楽しめますね。とくに低音がしっかりしている点が、個人的には好印象です。私自身、普段の移動時には低音をしっかり効かせ、かつそれなりの音量で聴いていますので」と、杏里さんは話す。
おそらく、「BassPro SL」の効果だろう。じつは当初、BassPro SLの搭載は考えていなかった。が、JBLブランドを所有するハーマン・インターナショナルのエラい人から「絶対に装着してください!」と言われたので設置したが、その効果は相当大きかったようだ。
「BassPro SL」は薄型のサブウーファーだ。高さは71mmに抑えられている。それでいて、低歪みで豊かな低域を再生する200mm径ウーファドライバーを採用しているとのこと。なかなか難しい用語であるが、迫力ある音が聞けるのは体験済みだ。価格は4万円+税。首都高速道路に乗り、まずは台場インターチェンジに向かう。スピードが上がるにつれ、エンジン音も高まるが、杏里さんいわく「JBLのオーディオ・システムからながれる音を邪魔していません」とのこと。
フェラーリのエンジン音と、イーグルスの『Victim of Love』が流れる車内を、杏里さんは「心地よい空間ですね」と評した。
【前回のおさらい】杏里とフェラーリ(前編)
筆者の360モデナは2000年製だ。今から19年前のクルマではあるものの、想像以上に快適だったことに杏里さんも驚いていた。とはいえ、フェラーリのエンジン・サウンドも聴いてもらいたかったので、レインボーブリッヂではグッとアクセルを踏み込んだ。オーディオの主電源をオフにして。
すると、杏里さんは、「すごい! さすがはフェラーリですね。JBLのオーディオ・システムも素晴らしいですが、このエンジン・サウンドも素晴らしいです」と、述べた。
先日、約100万円かけて整備したゆえ、機関系は絶好調だ。杏里さんの評価を手前味噌にまとめると、ボクの360モデナは、エンジン・サウンドとオーディオ・サウンド、どちらも楽しめる稀有な1台に仕上がったようだ。
また、「サブウーファーやアンプが綺麗に並べられていますね。特注のボードも、完成度が高いですね」とも言ってくれた。カスタマイズを担当したボンドプラス(埼玉県)のみなさん、ありがとうございました!
MDF(Medium Density Fiberboard)を加工し、製作したオーディオ・システム搭載用のマルチボード。配線を通すため、複数の穴があけられている。加工したMDFは、インテリア・カラーと調和するよう、東レが開発した人工皮革「ウルトラスウェード」で覆っている。低音と高音のバランスがいい台場インターチェンジから麻布に戻るべく、再度、首都高速道路に乗り、杏里さんに、カーオディオの思い出について訊いた。
首都高で試聴中の杏里さん。今回は、助手席で「U2」および「イーグルス」などの楽曲を聴いていただいだ。「私の父はよく、毎週末のドライブ時にポール・モーリアの曲を車内で流していました。その曲と、外の風景がマッチしている場面が幾度となくあったことを今でも覚えています。あのときの経験が、今、曲作りにも活かされていると思います」
なるほど、杏里さんが俗に言う“ドライブ・ミュージック”(ドライブ時にぴったりな曲)を多く手がけてきた背景には、幼少期の経験が大きいのかもしれない。
「それに、当時のカーオーディオは8トラックでした。いまはBluetoothを介してスマートフォン内の音楽を聴いていますが、8トラックで聴く音楽は今なお魅力的ですね」
【前回のおさらい】杏里とフェラーリ(前編)
換装したヘッドユニットは、パイオニアの「MVH-7500SC」。操作のほとんどは、自身のスマートフォンにダウンロードした専用アプリでおこなう。操作性は良好だ。レインボーブリッヂを走りながら、ボビー・コールドウェルの『Heart of Mine』を聴く。
「低音と高音のバランスがいいので、聴き心地がいいですね。JBLは、高音が強いイメージを持っていましたが、バランスのよさに驚きました。AORのような“あたたかい音”にはぴったりなオーディオ・システムかもしれません」
ボクも同感である。とにかく、驚くほどバランスがいいので、長く聴いても耳が疲れないのだ。
「“音”にこだわっていた時代の楽曲に適したオーディオ・システムかもしれません。個人的には、1970~1990年代前半ぐらいまでの楽曲がオススメです。当時の懐かしい音が、しっかりと耳に入ってくるはずです」
以前より、ボクもなんとなく「古い曲と相性がいいのでは?」と思っていたが、どうやらそれは正しかったようだ。
【前回のおさらい】杏里とフェラーリ(前編)
オーディオ・カスタマイズはキリがないちなみに、杏里さんはJBLに対しどんなイメージを抱いているのだろうか?
「JBLは憧れのブランドでしたね。実は1990年代、日本でプライベート・スタジオをつくったとき、JBLのオーディオ・システムを導入したんです。他ブランドの商品も検討しましたが、JBLの聴き心地がよかったので」
杏里さんが“憧れのブランド”といったので、JBLのオーディオ・システムを搭載しているのがちょっと誇らしくなってきた。費用はそれなりに要したものの、JBLを選んだのに間違いはなかったようだ。
「クルマと音楽の相性って、相当いいのでは? と、思います。車内で音楽を聴くことでリラックスしたり気分転換したりするのはもちろんのこと、歌詞や曲のテーマとして、車内で繰り広げられる人間模様が盛り込まれるケースも多々ありますし。これほど、クルマと音楽は密接にかかわっているのですから、オーディオに凝るのも十分理解出来ます。でも、きっと、キリがないんでしょうね(笑)」
杏里さんの言うように、ホントにキリがない。いまも、バッテリーを新調して音質を高めたい、と模索しているところだ。フェラーリのオーディオ・カスタマイズに終わりはなさそうだ。今後アップデートをしたら、そのときまた、あらためて杏里さんに聴いてもらいたい! と、思うのであった。
文・稲垣邦康(GQ) 写真・安井宏充(Weekend.) スタイリスト・束原倫世 ヘアメイク・miyu
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<杏里さん最新情報>
️・ライブ情報
ANRI LIVE 2019~さあはじまるよ!~ANRI CITY POP TOUR ~
2019年9月1日(日) 神奈川県民ホール 大ホール(神奈川県) 開場16:30 開演17:00
2019年9月7日(土) 南相馬市民文化会館 大ホール(福島県) 開場16:00 開演16:30
~Special Symphonic Live~
2019年9月15日(日) 軽井沢大賀ホール(長野県) 開場16:00 開演16:30
️・リリース情報
40周年イヤー記念プロジェクトとして、世界的な名ドラマーであるスティーヴ・ガッド率いるSTEVE GADD BANDとLAレコーディングした「Duke’s Anthem~星空のどこかで~」など新曲3曲が収録されたCDを、ライブ会場&アマゾン限定で販売中。
シングル『Duke's Anthem ~星空のどこかで~』1,500円(税抜)[QAIR-10169]
booklet_anri_6.21アルバム『ANRI -Deluxe Edition-』3,600円(税抜)[QAIR-10170/1]
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