現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > 日産・カルカモ氏インタビュー…「フォーミュラE参戦を通じ未来のEVユーザーに我々の先進性をアピールしていきます」

ここから本文です

日産・カルカモ氏インタビュー…「フォーミュラE参戦を通じ未来のEVユーザーに我々の先進性をアピールしていきます」

掲載 更新
日産・カルカモ氏インタビュー…「フォーミュラE参戦を通じ未来のEVユーザーに我々の先進性をアピールしていきます」

日産がe.damsと手を組み、日本の自動車メーカーとして初めて参戦する、電気自動車のフォーミュラカーレース「フォーミュラE」。その第5シーズンがいよいよ、開幕の時を迎えた。それに先駆け、日産のフォーミュラE参戦プロジェクトとモータスポーツのマーケティングを統括する、日産自動車グローバル・モータースポーツ・ダイレクターのマイケル・カルカモ氏に、参戦の狙いと意気込みを聞いた。REPORT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu) PHOTO●鈴木慎一(SUZUKI Shin-ichi)、遠藤正賢、日産自動車

--このタイミングでフォーミュラEに参戦するマーケティング上のメリットは?

日産フォーミュラE・高星明誠選手インタビュー…「ドライバーに要求されることはガソリン車のレースとは全く別物です」

カルカモ 今回このタイミングで参戦するのは、新型2代目リーフを投入したのにマッチするということがあります。そのため、フォーミュラEとリーフの両方を介して「日産インテリジェントモビリティ」を訴求できます。

--ルノーから日産に参戦ブランドが切り替わったという捉え方もできると思いますが、フォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェがそれぞれ独自に参戦するように、日産とルノーが両方とも参戦するという可能性はなかったのでしょうか?

カルカモ 可能かもしれませんが、ルノー側にその意向があったかどうかは推し量ることができません。ですが、ルノーが持っている知見を活用させてもらっているので、非常に強いアライアンスに基づいた取り組みと言えるでしょう。

--フォーミュラEへの参戦コンストラクターはプレミアムブランドや新興メーカーが多いですが、日産は大衆車ブランドです。その中で「日産インテリジェントモビリティ」を訴求するというのは、具体的にどういうことなのでしょうか?

カルカモ 「日産インテリジェントモビリティ」にはドライブ、統合、パワーという3つの柱があります。フォーミュラEを通じて、この3つの柱をベースにして我々の先進性をアピールしていきたいと考えています。そしてEVと、EVが持つパワーというのは、「日産インテリジェントモビリティ」の中核にあると思っています。

--今シーズン、各チームが独自に設計できるのはどういった部分ですか?

カルカモ 今回新しいレギュレーションで設定されたのは、最高出力が250kWになったことです。ということは、今までとは全く違うマシンになるということです。開発できるのはモーター、インバーター、トランスミッション、そしてすべてのソフトウェアですね。

--シャシーは共通ということですが、空力は自由に変更できるのですか?

カルカモ いいえ。空力はお客様の目には見えませんので…。

--そこはF1などとは違うのですね。空力は各チームの個性を構成する要素だと思うのですが…。

カルカモ 仰る通りですが、EVのメリットを説明するうえで、空力の部分はカーオーナーになかなか理解してもらえないのです。

--フォーミュラEに参戦することで、比較的若い層にアピールできるとお考えですか?

カルカモ はい、フォーミュラEを観戦する人は従来のモータースポーツファンとは違い、特に市街地で開催されるので、家族連れや子供が多いと思います。若い人たち、子供たちというのはまさに未来のEVユーザーになるので、そういう方たちとフォーミュラEを通じて共有できる部分は多いと思います。

--5年後のフォーミュラEとF1はどうなっていると思いますか?

カルカモ それは重要な質問ですね。両方とも存在し続けてほしいと思いますが、フォーミュラEは市街地で開催するEVレースであり、また未来に向けてコミュニケーションを発信するようなものであっていてほしいと思います。F1はよりエンジニアリング面、空力やモーター、バッテリーに注力するレースになってほしいですね。フォーミュラEのマシンはずっとEVであり続けるでしょうが、F1はガソリン車ではなくなるかもしれませんね。

--今回の参戦にあたり提携したテクニカルパートナーは?

カルカモ ニスモやルノースポールレーシングですね。2年前から取り組みは始めています。

--他のチームはボッシュやシェフラーなどの大きな部品サプライヤーと提携していますが、日産さんはインハウスで取り組むということですね。

カルカモ 技術は非常に早く変化しますので、常に社内も社外もどういう状況かを探り、検討しています。ただ、フォーミュラEのレギュレーションは非常に安定していますので、まずはシーズン5~7に注力します。その先のシーズンについては、ボッシュなどとの提携も考えるかもしれません。

--カルカモさん自身はモータースポーツのファンですか?

カルカモ 12歳の時にラジコンカーに出会ったのが、最初のレース経験でした。日産に入社する前は5年間、メルセデス・ベンツ・レーシングでインディカーのエンジニアをしていました。

--今シーズンの目標は? チャンピオンを取ることですか?

カルカモ レースの結果を予測するのは非常に難しいですね。ただ、お約束できるのは、最大限の努力をし、万全の準備をして、戦うのをやめないことですね。

--フォーミュラEは中国など新興市場でどのように受け止められていますか? また、そうした場所で開催されることに対するメリットはどのようにお考えですか?

カルカモ 素晴らしい質問ですね! フォーミュラEは新興市場に対しても大変エキサイティングなものだと捉えています。現在中国など様々な国について、フォーミュラEに参戦した場合の効果を議論しています。またチリやメキシコでもレースをしていますが、フォーミュラEに参戦することで、一足飛びに未来を現実のものにすることができます、EVを導入するとメリットが大きい市場ですので。

--我々は日本でもフォーミュラEを開催してほしいと願っていますが、マーケティング上は新興国の方がメリットがある?

カルカモ 私としては、横浜でフォーミュラEのレースができたら最高だと思っています。日本でレースをするのは非常に重要で、日産のものだけではなくEV技術そのものが日本に非常に多くありますので、フォーミュラEにとっても素晴らしいことだと思います。

--これまでのテスト走行の手応えは?

カルカモ これまでの進捗には非常に満足しています。テストできる日数は15日間しかありませんので、きちんと評価できるか心配でしたが、シミュレーションもテストも終えることができて良かったと思います。ですから初戦に向けて準備はできています。

--期待しています。頑張って下さい!

こんな記事も読まれています

マツダ「すごいロードスター」実車公開! 国内初の「2リッターエンジン」搭載した“最強ソフトトップ仕様”! 市販前提「スピリットRS」登場!
マツダ「すごいロードスター」実車公開! 国内初の「2リッターエンジン」搭載した“最強ソフトトップ仕様”! 市販前提「スピリットRS」登場!
くるまのニュース
着脱できるバッテリーが便利! ポータブル電源「Honda Power Pod e:」が発売
着脱できるバッテリーが便利! ポータブル電源「Honda Power Pod e:」が発売
月刊自家用車WEB
「下手くそ棒」なんて悪口も!? もはや絶滅危惧種の「コーナーポール」の有効度ってどんなもんだった?
「下手くそ棒」なんて悪口も!? もはや絶滅危惧種の「コーナーポール」の有効度ってどんなもんだった?
ベストカーWeb
N-BOX首位陥落の原因は、間違っても「シンプル路線の失敗」ではない
N-BOX首位陥落の原因は、間違っても「シンプル路線の失敗」ではない
Merkmal
ついに800万円超え!? マジか……スバルWRX S4にSTIモデルの[S210]がついに登場へ! エンジンパワーアップでパフォーマンス爆上げ!!
ついに800万円超え!? マジか……スバルWRX S4にSTIモデルの[S210]がついに登場へ! エンジンパワーアップでパフォーマンス爆上げ!!
ベストカーWeb
ベスパ「プリマベーラ125」【1分で読める 原付二種紹介 2024年現行モデル】
ベスパ「プリマベーラ125」【1分で読める 原付二種紹介 2024年現行モデル】
webオートバイ
これで充分じゃん。アウトドアを感じさせないホンダN-VANがベースの軽キャンパー
これで充分じゃん。アウトドアを感じさせないホンダN-VANがベースの軽キャンパー
月刊自家用車WEB
もしやヴェゼル窮地!? お、値段以上に立派なバカ売れWR-Vってコスパ最強じゃない!?
もしやヴェゼル窮地!? お、値段以上に立派なバカ売れWR-Vってコスパ最強じゃない!?
ベストカーWeb
マークIIにチェイサー、クレスタ3兄弟バカ売れたよなぁ…… てかどんな違いがあったん!?!?
マークIIにチェイサー、クレスタ3兄弟バカ売れたよなぁ…… てかどんな違いがあったん!?!?
ベストカーWeb
ヤマハ、プラマック・レーシングと複数年契約。2025年からファクトリー仕様のYZR-M1は4台に/MotoGP
ヤマハ、プラマック・レーシングと複数年契約。2025年からファクトリー仕様のYZR-M1は4台に/MotoGP
AUTOSPORT web
バニャイアがレコード更新でプラクティスのトップ。0.065秒差でビニャーレスが2番手に続く/第8戦オランダGP
バニャイアがレコード更新でプラクティスのトップ。0.065秒差でビニャーレスが2番手に続く/第8戦オランダGP
AUTOSPORT web
角田裕毅が”暴言”を発した疑いが浮上。FIAが調査へ……ファンによるSNSへの投稿がきっかけに
角田裕毅が”暴言”を発した疑いが浮上。FIAが調査へ……ファンによるSNSへの投稿がきっかけに
motorsport.com 日本版
[スープラ80]の発売当時はあまり評価されなかった!? 過去を20代の若者に伝えたい【リバイバルBESTCAR】
[スープラ80]の発売当時はあまり評価されなかった!? 過去を20代の若者に伝えたい【リバイバルBESTCAR】
ベストカーWeb
おいおいまじかよ! 新東名にて行われている実証実験が最先端すぎる件
おいおいまじかよ! 新東名にて行われている実証実験が最先端すぎる件
ベストカーWeb
ハウガーが今季2度目のPP獲得。FP最速のハジャルを不運が襲う/FIA F2第7戦シュピールベルク予選
ハウガーが今季2度目のPP獲得。FP最速のハジャルを不運が襲う/FIA F2第7戦シュピールベルク予選
AUTOSPORT web
GTワールドチャレンジ・ヨーロッパの2025年カレンダー発表。バレンシアとザントフォールトが復活
GTワールドチャレンジ・ヨーロッパの2025年カレンダー発表。バレンシアとザントフォールトが復活
AUTOSPORT web
GTワールドチャレンジ・アジアの2025年カレンダー発表。日本は2戦、インドネシアで初開催へ
GTワールドチャレンジ・アジアの2025年カレンダー発表。日本は2戦、インドネシアで初開催へ
AUTOSPORT web
鈴鹿1000kmが2025年に復活! インターコンチネンタルGTチャレンジの一戦として9月に開催へ
鈴鹿1000kmが2025年に復活! インターコンチネンタルGTチャレンジの一戦として9月に開催へ
AUTOSPORT web

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

408.1583.4万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

12.0484.0万円

中古車を検索
リーフの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

408.1583.4万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

12.0484.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村