現行の主力はホンダ「CB1300P」とヤマハ「FJR1300P」
交通違反をしているクルマやバイクを見つけると瞬時に追跡し、あっという間に違反車両を捉えてしまう白バイは、見つけると何だか嬉しい、子どもにとってはヒーローのような存在と言えるかもしれません。
元祖ナナハン白バイ!! ホンダ「ドリームCB750P」は特別装備が盛りだくさん!! ワイルドなリーダーも乗っていた!?
もちろん、違反車両の取り締まりだけが白バイの仕事ではありません。マラソンや駅伝の先導、皇族や外国の要人の警衛警備などでもその活躍を目にすることができます。そんな白バイには、どのような車種が採用されているのでしょうか。
現行の主力モデルは、2009年から導入されているホンダ「CB1300P」と、2014年から導入されているヤマハ「FJR1300P」の2車種です。
CB1300Pはホンダ「CB1300 SUPER BOL D’OR」が、そしてFJR1300Pはヤマハ「FJR1300A」がそれぞれベースになっています。共に名前の末尾に“P”が付いていますが、これは“Police”の頭文字をとったもので、警察専用車両であることを表しています。
では、ベースとなった市販車と警察専用車両には、どのような違いがあるのでしょうか。
エンジンの出力特性などを白バイ仕様に変えているのではと考える人もいるかもしれませんが、エンジンなどは市販車と違いはありません。ただし白バイの用途を考慮し、変更されている点もいくつか存在します。
たとえば、アップハンドルを採用している点。白バイ隊員は朝から1日中パトロールをおこなうこともあるので、身体への負担を減らし快適性を上げるためには、アップハンドルの方が適しているというわけです。さらに操作性も向上し、視界もよくなるといったメリットもあります。
その他、特殊セッティングのサスペンションやクルーズコントロールシステムの設定速度の変更など、任務に特化した仕様にするための多少の変更もあります。
さらに、市販車にはなく白バイにだけ備わっている装備も少なくありません。
まずは、赤色灯やサイレン、スピーカーなど。スピーカーはサイレン用と、取り締まりの際の指示や注意喚起などをする音声用の2種類が、それぞれ車体の左右に取り付けられています。
また、速度違反を取り締まるための測定機器や違反速度の記録をプリントアウトするための専用のプリンターなども、白バイ特有の装備と言えるでしょう。白バイの測定機器は非常に精密ですが、さらにその正確さを保つため、定期的に検査を受けています。
そして、トップボックスと車体の左右に取り付けるサイドボックスも白バイの大きな特徴です。ベースとなる市販車は二人乗りができるシートですが、白バイのシートは一人乗り用で後部座席はありません。
なお、トップボックスの中にはデジタル無線機が入っており、鍵で厳重に管理されています。また、外側には赤色回転灯が付いています。 左右に取り付けられたサイドボックスには、誘導棒や笛、違反キップ、地図、マーキング用の白墨、メジャー、後続車や周囲に停車していることを知らせるパープルセーバーなど、業務に必要なアイテムが収納されています。その他、カッパやペン、熱中症対策の水分などの私物が入っている場合も少なくありません。
これらの装備が全て市販車にプラスされているため、当然白バイは市販車よりも総重量が重くなり、その差はおよそ30kgほどとされています。
※ ※ ※
ちなみに2020年3月に開催された東京マラソン2020では、BMW Motorradの電動スクーター「C evolution」をベースにした「E-WING」が先導車として初お目見えしました。
交通違反の取り締まりをおこなわないため、厳密に言えば白バイには分類されないといいますが、白バイ初の輸入車、そして白バイ初の電動スクーターだと話題になったモデルでもあります。
環境規制が厳しくなる中で、排気ガスを出さない電動スクーターの白バイが、今後街で見られるようになるのかという点も注目したいところです。
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