昨年から日本を騒がせているダイハツ工業の不正認証問題。この問題に対する処分を下すにあたり、国土交通省は聴聞を実施すると発表した。不利益処分は、型式指定の取り消しという極めて重いものである。この処分は、ダイハツにどのような影響を及ぼすのか。
文:ジョー城ヶ崎/写真:ダイハツ、トヨタ、マツダ
型式指定取消マジか……どうなるのよダイハツ!! 最悪の結末なるか!?
■エアバックタイマー作動の不正が処分の対象になる
画像はダイハツ グランマックス
処分内容は「自動車の型式指定の取消し」であり、対象車種はダイハツ・グランマックストラック(S403P・S413P型)、トヨタ・タウンエーストラック(S403U・S413U型)、マツダ・ボンゴトラック(S403F・S413F型)の3車種。
いずれも、昨年12月20日に発表された不正認証行為で、エアバックのタイマー作動を行った車種とみられる。
聴聞は2024年1月23日に実施される。今後、この3車種以外にも処分が科される可能性は大いにあるだろう。
ダイハツが潜り込んだ深い闇の中には、まだ一筋の光も見つけられない状況だ。
■型式指定が取り消されると何が起こるのか
型式指定とは、量産されるクルマが保安基準を満たしていることを証明するもの。
細かな車両検査を、国土交通省直轄の各地域にある陸運局で受けなくてもナンバー取得ができるという特例であり、メーカーやディーラーに与えられる重要な権利の一つである。
この制度は、多くのクルマがペーパー申請だけでナンバー取得できる今の自動車社会を作り出し、日本の自動車生産と販売を支える、超重要な仕組みなのだ。
型式指定が無い車両を登録するためには、車両を1台ずつ陸運局へ持ち込み、検査しなければならない。
つまり、型式指定の取消しは、自動車の量産と量販を不可能にする重篤な処分である。
ただし今回の処分には、一つ条件がついている。
それは、「取り消しの日までに製作された自動車については、型式指定の取消しの効力は及ばないものとする」というもの。
つまり、現在公道を走っているナンバー取得済みのクルマに、型式指定取り消しは行われないということだ。
しかし、こうした発表が行われるほど、ユーザーは不安が募るばかりだろう。注釈があっても、現在当該車両を保有するユーザーが「はい、そうですか」と安心して乗り続けられるわけではない。
車両を販売し、現在もユーザーと接し続けるディーラーでは、処分内容を大きく越えたユーザーへの対応が求められている。
ディーラーでの再点検は言わずもがな。場合によってはナンバー取得済みのクルマを、もう一度陸運局へ持ち込んで検査して、
問題が無いということを提示しなければ、ユーザーが納得してくれないことも想定されるだろう。
特にタウンエースは流通量が多く、全国各地でトヨタディーラーの苦しい対応が続きそうだ。
突然の発表に定休日返上で、対応を模索する販社もあった。
また、今回よりも重い、登録済みのクルマも対象に含めた型式指定取り消しという、最悪のシナリオを覚悟する販売現場も多くある。
仮に、メーカーに対する大きな処分が、今回のものだけだったとしても、最も重要なのは販売現場では厳しい対応が続けられているということと、ユーザーは不安を覚えながらクルマを使っているという事実だ。
ここまでメーカーとしてのダイハツからは、ユーザーを第一に考えた対応が出てこないのが、非常に残念である。
今回の処分を機に、クルマを使うユーザーの不安に寄り添った、具体的で納得できる対応を、メーカー自らが現場へ足を運んで行って欲しい。
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みんなのコメント
不祥事抜きでも出来が悪すぎる。何ならマツダからボンゴの設計図譲ってもらったら?ってレベル。
他のクルマも早急に手を入れて払拭しないと安心して買えない。