プロサングエに施された「マジック」
プロサングエを覆っていたベールが取り除かれた瞬間、わたしは「ああ、よかった」と胸をなで下ろした。
【画像】プロサングエが仲間入り【フェラーリの現行ラインナップ10モデルを紹介】 全234枚
それくらい、プロサングエのデザインは美しく、スタイリッシュだ。
なるほど、GTC4ルッソに比べれば全高は高い。けれども、ボディ全体に凝縮感がみなぎっていて、間延びした印象を与えない。ましてや、腰高感は皆無といっていい。
そして何よりもプロポーションがよく、フェラーリらしい魅力に溢れている。
SUVかどうかという議論は脇に置いて、素直に「格好いい」といいたくなるデザインである。
「プロサングエのデザインに際しては、リアルフェラーリであり、スポーツカーらしさを表現することに注力しました」 チーフデザイン・オフィサーのフラヴィオ・マンゾーニはそう切り出した。
「特別なアーキテクチャーを用いることで、力強いデザインのボディに仕上がりました。オーセンティック(「真正の」「本物の」を意味する)でオリジナリティ性の高い美しさが表現できたと自負しています」
ここで大きな役割を果たしているのが、4973mmの全長に対して3018mmと極端に長いホイールベースにある。
これは、エンジンやギアボックスなどの重量物をホイールベース内に収めるための措置でもあったが、結果的に1589mmの全高が実際よりも低く見える効果を生み出している。
「弓なり」なサイドステップをとりつけて、フロントドア付近を「くびれ」ているように見せる手法も軽快感を強調している。
フェラーリのチェントロスティーレがプロサングエに施した数々のマジックを、順に紹介していくことにしよう。
エアロダイナミクスと連携したデザイン
真横から見ると、プロサングエは強いウェッジシェイプとされていることに気づく。
これはクラムシェル形状をしたボンネットの切り欠きがボディ前端から徐々に上昇し、これを受ける格好でリアエンドまで一直線に伸びるキャラクターラインによってもたらされる効果だ。
これと、前述したサイドステップの形状が連動して強い躍動感を生み出している。
いっぽうで、傾斜の強いAピラーから流れるように続くルーフラインはリアエンドに向けて無理なく下降し、キャビンをコンパクトに見せる効果をもたらしている。
もう1つ、ボディサイドで興味深いデザインとして、フロントフェンダー上に設けられたエアアウトレットが挙げられる。
296GTB/GTS、さらにいえば250LMのリアフェンダーに置かれたエアインテークを前後逆さまにレイアウトしたようにも見えるこのエアアウトレットは、エンジンルーム内の熱気を抜くだけでなく、ボンネット上のエアインテークから吸い込んだ気流を排出する役割も果たし、リフトの低減に役立つという。
フェラーリのデザインはいつもそうだが、デザイン性とエアロダイナミクスが常に連携しているのが特徴なのである。
いっぽうでフロントのヘッドライトまわりは296GTB/GTS、リアのコンビネーションライトまわりはローマに似ていなくもないが、マンゾーニは「フェラーリ・ファミリーであることを強調したつもりはありません。あくまでも各モデルのデザインを最適化した結果です」と説明する。
ちなみに、ヘッドライトのよう見えるデザインの一部はエアイントレットで、冷却やエアロダイナミクスに用いられている。
後席でも「スポーツドライビング」を
フェラーリにとってプロサングエは「史上初の4ドアモデル」である。
つまり、プロサングエのリアドアは「フェラーリが初めてデザインしたリアドア」でもあるわけだが、これを彼らは一般的な前ヒンジではなく、ドア後方にヒンジを設けた「観音開き」としている。
これを開けるには、リアドアのボディパネルとウィンドウの境目付近に設けられたスイッチを手前に引く。そしてスイッチを短く「ちょん」を引けばロックが解除され、長く引き続ければドア自体が電動で開く。
こうすることで一般的なドアハンドルをリアドアから排除し、すっきりしたエクステリアデザインを実現したのである。
前後のドアを開くと、4つのシートが配置されたキャビン全体が一望できる。
ただし、さほど目立たないものの、Bピラーが残されているのが目障りといえば目障り。
観音開きでありながら敢えてBピラーを残したのは、そのほうが剛性を高くするのに有利で、もしもBピラーを省略すればボディ全体をよりコンパクトにしなければならなかったとの説明があった。
同じくキャビンで注目されるのは、4つのシートが同じデザインで仕上げられているように見受けられること。
その理由は「後席乗員も前席乗員と同じようにスポーツドライビングを楽しめるようにする」ことにあるという。
4座で実現 フェラーリ流ホスピタリティ
美しいレザーやアルカンターラなどで覆われたインテリアが、スポーティでありながらも洗練されている点はフェラーリの文法どおり。
続いてダッシュボードを眺めると、あたかも左右の前席にそれぞれメーターパネルが設けられているようにも見える。
これをフェラーリは「ダブルコクピット・コンセプト」と呼んでいる。
リアシートのつくり同様、助手席の乗員もドライバーと同じようにもてなす、プロサングエならではのホスピタリティといえるだろう。
なお、助手席側のディスプレイには、近年の他のフェラーリ・モデル同様、エンターテイメントやナビゲーションに関する情報が映し出せる仕組みとなっている。
いっぽう、ドライバー側ディスプレイのデザインは基本的にSF90以降のフェラーリに共通のもの。
ステアリング上のスイッチなどもほぼ同じだが、従来の表面が完全にフラットな形状ではなく、スイッチとスイッチの境目に凹凸をつけることでブラインドタッチを容易にしている。
リアに473Lの「大容量」ラゲッジルームを用意したのも、フェラーリとしては初のことだろう。
ちなみに、ラゲッジルームとキャビンは取り外し可能なパーティションで仕切られているのみ。
しかも、リアシートは折り畳み可能なので、後席を倒せば本格的なワゴンのようにも使える。
この辺のスペースユーティリティもまた、フェラーリ初の試みといえる。
フェラーリ・プロサングエのスペック
全長:4973mm
全幅:2028mm
全高:1589mm
ホイールベース:3018mm
車両重量:2033kg
パワートレイン:V型12気筒6496cc
最高出力:722ps/7750rpm
最大トルク:73.0kg-m/6250rpm
ギアボックス:8速F1 DCT
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