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ピカピカだったホイールが気づけば真っ黒に!??? 欧州では規制も開始!! ブレーキダストの原因と大事な対策

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ピカピカだったホイールが気づけば真っ黒に!??? 欧州では規制も開始!! ブレーキダストの原因と大事な対策

 きれいに洗車をした数日後、幸い雨も降らずボディはまだピカピカなのに、ホイールはもう真っ黒…。「ブレーキダスト」と呼ばれるこの汚れは、厄介なことに頑固で落ちにくく、特にBMWやメルセデスベンツなど欧州車で酷いことがよく知られていますね。

 「おしゃれは足元から」の大敵である、ブレーキダストの発生要因とその対策についてご紹介するとともに、今後、ブレーキダストが減っていく可能性についても触れていきます。

ピカピカだったホイールが気づけば真っ黒に!??? 欧州では規制も開始!! ブレーキダストの原因と大事な対策

文:Mr.ソラン、エムスリープロダクション
アイキャッチ写真:Adobe Stock_naka
写真:写真AC、BMW

欧州車だけでなく、ディスクブレーキの採用車で発生

 ブレーキには、ディスクブレーキとドラムブレーキの2種類があります。現在主流となっているのはディスクブレーキで、ドラムブレーキは軽自動車やコンパクトカーなどの一部のリアブレーキの採用にとどまっています。

 ディスクブレーキは、ホイールと一緒に回転するディスクローターを、両側から摩擦材のブレーキパッドで挟む構造で、ドラムブレーキは、回転するドラムの内側に摩擦材のブレーキシューを押し付ける構造。いずれも車輪とともに回転するディスクローターやドラムに摩擦材を押し付け、摩擦力によってクルマを減速、停止させます。

 ブレーキダストは、この摩擦によって削られた粉塵(ダスト)がホイールに付着したもの。ただ、摩擦を生み出す部分がドラムの中となるドラムブレーキでは、基本的に摩擦によって生じた粉塵はドラム内にいったん留まるため、(ディスクブレーキほどは)ホイールが汚れることはありません。

ほとんどの乗用車で使われているディスクブレーキ。ホイールと一緒に回転するディスクローターを両側から摩擦材のブレーキパッドで挟む構造(PHOTO:写真AC_たけたまご)

ブレーキダストの正体は、ローターの摩耗による微細な鉄粉

 ではなぜブレーキダストは、黒く、汚れが落ちづらいのか。それはブレーキダストが、パッドの削りカスではなく、ローターの摩耗によって飛散する微細な鉄粉だからです。

 前述したように、ブレーキダストは、パッドとローターが摩耗したことで発生する粉塵ですが、ローターが鋳鉄製であるのに対し、ローターを挟み込むパッドは、スチール繊維や樹脂繊維などを耐熱性や耐久性に優れたフェノール樹脂で固めたセミメタル樹脂でつくられています。クルマの性能や用途などに応じて、様々な材料が調合されてはいますが、摩耗してダストが発生しても、その成分の多くは樹脂なので、ほぼ気体として大気に放出されます。

 一方のローターは、摩耗することで鉄粉が飛散します。鉄粉は重く尖っているので、ホイールに付着しやすく、さらに突き刺さってしまうため、除去するのが大変なのです。

国産車と欧州車で汚れ具合が違うのは、パッドに含まれるスチール繊維含有量が違うから

 パッドは、スチール繊維の含有量が多いほど、ローターへの攻撃性が強まり、その結果ブレーキダストは多くなりますが、日本車は、(高速で使われることの多い欧米に比べて)それほど高いブレーキ力が要求されないため、ノンスチールの樹脂系パッドが使用されます。ブレーキの利きが素直でローターの攻撃性が小さく、ブレーキダストの発生も比較的抑えることができます。もちろん、多少のブレーキダストが発生しますが、少量なので比較的簡単に落とせます。

 ただ、高性能車や欧州車では、ブレーキの利きが(日本車よりも)求められるため、耐熱性に優れる、スチール繊維の含有量を10%~30%程度まで増やしたロースチールの樹脂パッドが使われており、摩耗が激しく、ローターへの攻撃性が強いため、ブレーキダストの発生が多くなります。ブレーキダストが付きやすいことで知られているBMWやメルセデスベンツなど欧州車は、このロースチールタイプを採用しているのです。

 また、最近増えているハイブリッド車やプラグインハイブリッド、バッテリーEVでも、ブレーキダストは減少します。電動車では、モーター/発電機の回転抵抗をブレーキ力として利用する減速回生ブレーキを使うので、フットブレーキの使用頻度が低下するためです。ちなみに、新型プリウスのフロントブレーキのディスクが小さいのは、回生ブレーキを増やしたため、ディスク径をコンパクトにすることができたからです。

BMW M3 Touringのホイール。BMWは、伝統的にスチール繊維含有量の多いロースチール樹脂パッドを使用し、ブレーキダストが付着しやすいことで知られている

現実的な対策は、コーティングとパッドの交換

 尖った鉄粉が突き刺さったブレーキダストを落とすのは、至難の業。除去をするのはかなりの苦労を伴うため、ブレーキダストの発生そのものを抑えることが大切で、現実的な方法としては、次の2つが上げられます。

 ひとつ目は、コーティング剤です。フッ素コーティングやガラスコーティングで、ブレーキダストなどの汚が付着しないようにする方法で、比較的容易に落とすことができます。カーショップなどで1万~2万円程度で施工することができます。

 ふたつ目は、ブレーキパッドの交換です。樹脂系でもスチール成分の少ないものに交換することでブレーキダストの発生を抑えることが可能です。ただし、ローターとパッドの摩耗量(摩擦力)を減らしてブレーキダストを減らすことは、ブレーキ力やブレーキフィールの悪化を招きやすいことを留意しなければいけません。

現実的な対策としては、こまめな洗浄や、コーティング、ブレーキパッドの交換。ただ、パッドの交換は、ブレーキ力が低下しやすいので、安全のため専門家に相談してからするようにしてほしい(PHOTO:写真AC_おいものにもの)

ユーロ7で、ブレーキダストが規制対象に!??

 2022年11月、欧州委員会が2025年施行予定の「ユーロ7」規制案を発表しました。その中で、新たにタイヤとブレーキから放出される粉塵規制が提案され、話題となっています。

 今後、電動車が増えれば、ブレーキダストは減る可能性があると前述しましたが、一方で電動化によって車重が増えると、タイヤやブレーキからの粉塵が増えることも予想されます。このことから、ユーロ7で粉塵規制が提案され、もし規制対象となれば、ホイールが汚れるという問題とは別に、ブレーキシステムや材料など、抜本的な見直しが必要となるため、ホイールの汚れに悩まされることも減っていくかもしれません。

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みんなのコメント

32件
  • 環境環境うるさい欧州がブレーキの粉塵にダンマリだったのは違和感を感じてたところだが、やっと規制が入るのか。
  • 宇宙一のブレーキも環境を汚していたのか。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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