10月6日、栃木県・モビリティリゾートもてぎにて2024年MotoGP第16戦日本GPが開催された。Moto3クラスの日本人にはレギュラー参戦の鈴木竜生(Liqui Moly Husqvarna Intact GP)、山中琉聖(MT Helmets-MSI)、古里太陽(Honda Team Asia)のほかに、欠場するライダーの代役として急遽若松怜(FleetSafe Honda – MLav Racing)が参戦し、初Moto3レースで20位完走を果たした。
若松怜は、過去にイデミツ・アジア・タレント・カップへのフル参戦経験を持ち、現在は全日本ロードレース選手権J-GP3クラスに参戦するライダーだ。今シーズンは5戦全てで表彰台を獲得しており、開幕戦もてぎと第7戦岡山では優勝している。
2024MotoGP第16戦日本GPは3日間で合計8万131人を動員。コロナ禍以降の最多を記録
そんな若松の代役参戦はウイークに入ってから決定し、現地入りした木曜日に発表された。そのため準備に時間をかけられないまま迎えたGP初参戦となったが、金曜日、土曜日の練習走行ではレギュラー組にとっても難しいような、微妙な天気が続いた。
「やっぱりみんなGPライダーなだけあって、速いし、どこまで行けるか全然分かりませんでした。1本目からウエットでしたが、周りのレベルが高すぎてびっくりしました。バイクのフィーリングも全日本ロードで乗っているものと違いすぎて、戸惑いながら乗っていました」
「2本目はドライで走れました。でも、むしろドライになればなるほど、Moto3ライダーはみんな速くて、あっさり抜かれた瞬間に心がポッキリ折れました。『どうすればいいの』みたいな感じでずっと走っていて、初日はマシンの理解も全然できませんでした」
「2日目はちょっとずつ分かってきたかなと思っても、コンディションが微妙な状況で苦戦し続けていました。予選は晴れたので気合いを入れて行きましたが、セッティングなどいろいろなミスがあって全然タイムを出せませんでした」
日曜日の決勝レースはドライコンディションの中、最後尾26番グリッドからスタート。慣れないマシンと格闘しながら、トップと45秒差の20位でゴールした。
「決勝が始まってもペース上げられずキープすることしかできなくて、転ばずに終わるので精一杯でした。皆様には本当に申し訳ないなっていう気持ちでいっぱいです」
世界選手権のレベルの高さに圧倒されたと打ちひしがれていた若松。マシンを壊さずにレギュラーライダーの欠場の間を繋ぐことが代役参戦の仕事とはいえ、初レースで転ばずにウイークを終えられるライダーというのは、実は多くない。
「一応ウイークを通して転倒は一回もないので、そこだけはよかったかなと。チームメイトには事前に、『代役参戦は全員転倒して骨折しているから気を付けろ』と言われていました。なんとか転ばずに終わって、無事バイクも無傷で次のラウンドに送ることができたのは良かったなと思っています」
全日本ロードレースでは、JAPAN POST docomo business TPに所属している若松。ウィーク中にはチームの先輩でロードレース世界選手権125ccクラスでの勝利経験をもつ小山知良をはじめとする、多くの人からアドバイスを受けたようだ。
「小山さんとか、コハラレーシングの小原さんとか、坂田(和人)さんとか、あとは 上田昇さんとか、いろんな人がアドバイスをしてくれました」
「現役のMoto3ライダーにも何人か知り合いはいたので、挨拶して、『ごめんね、ちょっと遅く邪魔しちゃって』と言ったら、『しょうがないことだよ、初めてだろ。とにかく焦らずに一歩一歩やっていけばいいんだよ』って言ってくれました」
本業である全日本ロードは、10月26~27日に最終戦鈴鹿MFJグランプリが行われる。若松は現在ポイントリーダーの尾野弘樹を2ポイント差で追いかけており、最終戦では逆転チャンピオンを狙う。
「今回は、コンディションが全然わからない中で、自分がダメだったところもいっぱいありました。走っている時も判断が遅れることが多かったし、タイムが出ていない時に焦りが出てしまって、全然自分の走りができませんでした。やっぱり焦ってはいけませんね」
「あと、ウイークの進め方も、メカニックともっとコミュニケーションをしっかり取っていかないといけないというのもわかりました。最終戦が残っているので、気持ちをしっかり切り替えて、最後気持ちよく終わりたいです」
初Moto3で得られたものは大きかったか。世界選手権で揉まれた若松が最終戦でどのような走りを披露するのか、楽しみだ。
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みんなのコメント
以前は世界に通用する日本人ライダーが沢山いました、世界に通用するレーサー目指して頑張ってください。
この経験を今後に活かせればそれで十分。