心臓部は3.8LフルチューンのGT-RSツインターボ仕様
663.1ps/82kgmにまで鍛えられた限定300基のスペシャルエンジン!
「限定300台のフェアレディZ 380RS(Z33)をツインターボで武装」660馬力のFRモンスターチューンド!
ツインターボ化により、最大ブースト圧1.2キロ時に663.1ps/7500rpm、82kgm/4600rpmという驚異的なスペックを手に入れたZ33タイプ380RS。心臓部に3.8Lスペシャルユニットを搭載した300台限定レアモデルをベースにしたスーパーチューンドというわけだ。
ターボ化の核となるのは、HKSがVQ35HR用にリリースしていたスペシャルターボシステムセットアップキット(現在は廃盤)。タービンはGT-SS、GT2530、GT-RSの3種類が用意されていたが、フェニックスパワーは最もパワーを稼げるGT-RSを選択。
ちなみに、このキットはサクションなど各種パイピングのワンオフ製作や燃料系の容量拡大、そして、CPセッティングなどを行うことを前提とした素材のみのパッケージングであり、チューナーのノウハウによって性能が大きく左右されるものだ。
ベースエンジンのVQ35HRは、エアフロとスロットルが片バンクにひとつずつ装備されるのが特徴だ。「ふたつのエンジンとして考えられる理想的なV型ですよね」と語るのは、製作を担当したフェニックスパワーの横山代表。
まず、拘ったのが冷却系。トラスト製のコアを使ったワンオフ前置きインタークーラーを片バンク独立式としてツイン装着することで、HRの特性を尊重すると同時に、そのセンター部はラジエターに走行風を導くダクトスペースとしている。また、エンジンオイルクーラーも2基セットしているが、冬場にはオーバークールとなってしまうため、ダクトにフタをすることで対策する。
さらに、ラジエター裏にサブタンクを取りつけ、エンジンのヒートスポットを冷却するウォーターラインを増設している。
一方、トライ&エラーを重ねたのが燃料系。というのも、700psオーバーを最終目標に掲げるハイブーストセッティングには、当初の720cc×2追加インジェクター仕様では明らかに燃料不足だったから。
そこで、メインインジェクターを800ccへ変更。そして、コレクタータンクの追加とともに燃料ポンプを1+2の3基仕様へ大容量化し、さらに、リターンパイプ製作とレギュレーター追加によって燃圧調整を行うことで、安定した燃料供給を実現した。
燃料制御はF-CON Vプロが担当。また、エアフロ信号をVプロの疑似マップを介してメインCPに入力することでフェイルセーフの介入を防ぎ、全域でエンジンマネージメントすることに成功した。なお、可変バルタイやスロットルの制御、スピード&レブリミッター解除は、メインECU補正(アプリケーションCPU)で行っている。
もちろん、エンジン本体は鍛造ローコンプピストンやH断面コンロッドの投入、さらにオープンデッキ部にピン補強を施してセミクローズド化するなど徹底的に強化。低回転域からの強烈なトルクと高回転域での圧倒的なパワーを従え、380RSはR35GT-Rをも喰えるレベルのFRモンスターへと変貌を遂げたのだ。
●取材協力:フェニックスパワー京都店 京都府久世郡久御山町佐古外屋敷37-2 TEL:0774-48-1157
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