今から20年ほど前、新しい世紀に変わる頃。クルマに対する考え方も変わり始めていた。そんな時代の輸入車ニューモデルのインプレッションを当時の写真と記事で振り返ってみよう。今回は「アルファロメオ アルファ147」だ。
アルファロメオ アルファ147(2002年)
156のヒットで、日本でも人気を再び高めたアルファロメオ。アッパーミドル サルーンの166に続き、ハッチバックの147も日本に導入された。「145の後継なのだから146では?」と思われる人もいるだろうが、じつは3ドアの145と同時に5ドアの146は既に存在していた。ただし、日本には正式輸入されていない。
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147には3ドアと5ドアがあるが、スタイルはまったく変わらないのがいい。車両重量がわずかに30kg違うだけで、外寸も同じだ。とくに5ドアは、156風にリアドアのハンドルを窓枠部に隠し、一見3ドアに見せているのもうまい仕上げだ。比較的オーソドックスだった145に比べると、147のスタイリングは好き嫌いが分かれるかもしれない。それでも、アクの強いデザインは2ボックスとしては踏ん張り感をアピール(とくにリアビュー)して、存在感のあるものとなっている。
インテリアが、またいい雰囲気だ。試乗車のボディカラーは鮮やかなイタリアンレッド(カタログではアルファレッドとなっていた)に、シートはオプションの本革で色はタン。インパネまわりはブラックと、この色のコントラストが見事だ。いかにも「イタリア車ですよ! アルファロメオですよ!」といった演出がうまい。好きな人には、たまらないだろう。
クラッチペダルレスMTのセレスピードは、フロアシフトだけでなくステアリング裏のパドルでも操作できる(右がアップ、左がダウン)。自動変速されるCITYモードではシフトアップ時にギクシャクして少し不快だが、マニュアル変速ならラグが少ない。2L DOHCのツインスパークは、最高出力150ps/最大トルク18.4kgmというスペック以上に元気で、小気味良いアルファ サウンドを奏でてくれる。パドルでのシフトを駆使してワインディングを駆けめぐっていると、気分はまさに「バーチャル フェラーリF1」だ。
ボディ剛性はそれほど高くはなく、けっこうドタドタしたハーシュネスも感じられることもあり、ドイツ車はもちろんフランス車に比べても乗り味は上質とは言いがたい。だが、それを補って余りあるドライビングプレジャーは、アルファロメオの名に恥じない。147は、あらゆる面においてフェラーリの縮小版のようなクルマだ。つまり、方向性はまったく同じなのだ。
乗り心地などには多少目をつぶっても、ドライブする楽しさやスタイルを重視するなら、このクラスでは147はオススメだろう。後席に人を乗せる機会が少なくても、荷物の出し入れなどがしやすく使い勝手も高い5ドアを選びたい。スタイルは3ドアとまったく変わらないのだから。
独特のエクステリアデザインと「らしさ」にあふれたインテリアに加え、パドルシフトを駆使して小気味良いサウンドを堪能しながら走ればフェラーリF1気分も味わえるアルファ147、なかなか楽しいクルマだった。
■アルファロメオ アルファ147 ツインスパーク 5ドア 主要諸元
●全長×全幅×全高:4170×1730×1420mm
●ホイールベース:2545mm
●車両重量:1310kg
●エンジン形式:直4・DOHC・横置FF
●排気量:1969cc
●最高出力:110kW(150ps)/6300rpm
●最大トルク:181Nm(18.4kgm)/3800rpm
●トランスミッション:5速AMT(セレスピード)
●タイヤ:205/55R16
●車両価格(当時):295万円
[ アルバム : アルファ147 はオリジナルサイトでご覧ください ]
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