現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 日産「ADバン」は昭和のビジネスマンを支えた1台でした! 仕事一途の2ドア2シーター【カタログは語る】

ここから本文です

日産「ADバン」は昭和のビジネスマンを支えた1台でした! 仕事一途の2ドア2シーター【カタログは語る】

掲載 6
日産「ADバン」は昭和のビジネスマンを支えた1台でした! 仕事一途の2ドア2シーター【カタログは語る】

使い勝手をアピールするカタログになっていた

世代によっては「ライトバン」の呼び名になじみがあるかもしれない。ともかく商用バンは、いわゆる働くクルマの1カテゴリーで、昔も今もわれわれの生活にはなくてはならない存在であり、かつては各社とも車種ごとに設定のあったさまざまなバンが街中を走り回っていた。ザックリといえば、それまでは既存の乗用車(ワゴン)をベースに、ビジネス向けの仕様にして仕立てられたのがバンだった。

トヨタ「プロボックス&サクシード」の室内装備がすごかった! 商用車に革命を起こしたプロユース仕様のバンでした【カタログは語る】

5代目サニーをベースに開発されたADバン

そうしたバン世界の様相に変化をもたらしたのが、1982年に日産から登場した「ADバン」だった。このADバンは、それまで車名ごと(販売ディーラーごと)に分かれていたバンの「集約」を目的に登場したクルマだった。日産でいうと、それまではサニー、パルサー、バイオレット、オースター、ブルーバード、スカイライン、セドリック、グロリアの各バンがあったが、このうちのサニー、パルサー、バイオレット、オースターの4車種が、ADバンの1車種にまとめられたのだった。

実車はFFへと駆動方式が変わった最初のB11型・5代目サニー(1981年)をベースに開発された。B11型サニーにはワゴン版として2代目のカリフォルニアがあったが、ADバンではリアドアから後部を専用設計とし、バックドアも傾斜をもたせたカリフォルニアに対して立てられたほか、ルーフ高もADバンのほうが高められていた。

もちろんこれらはバンとしての荷室容量を確保するためだった。またカリフォルニアにはない2ドアシリーズが用意されたのもADバンの特徴。サスペンションもリアについては半楕円リーフスプリングを採用している。

写真のカタログは1983年7月に2ドアが追加された際のサニーADバンのものだが、いかにも社長/部長/係長/新人といった設定のスーツ姿の4人のビジネスマンが登場。その見開きには「仕事一途のおトクな2ドア2シーター、名づけて『ビジネスDX』」と、何ともユーザーに寄り添った(!)コピーも。

ユーザーに寄り添ったという意味では、内装の造りや装備もそう。運転席まわりは「乗用車感覚のインストルメントパネルを用意」(カタログより)と快適性を意識した点をアピールしつつ、クォーツ時計、シートアンダートレイやドアポケットをはじめ、「水平に近くリクライニングする」(カタログより)フロントシートなどが採用されている。「ハンドブレーキケース」とは駐車ブレーキレバーのところのトレイ状の部分を指す呼び方だが、そのポケット部分にソフトパッケージのタバコのマールボロが写っているのは時代を感じさせる。

広い分野でADバンの活躍の場が想定できた

またバンにとって重要な荷室まわりについては2見開き/4ページを割いて紹介。「5人+250kg積」と「2人+400kg積」とあるほか、荷室サイズは5人乗り、2人乗りそれぞれの高さ、幅、奥行きが記されているほかに、ハネ上げ式バックドアの開口高さ(1800mm)や床面地上高(555mm)などが記されている。ホイールハウス間の間隔は1105mmと表記されており、十分なスペースが確保されていたことがわかる。セミハイルーフによる余裕のある後席ヘッドクリアランス、バックドアロック、2ドア2シーター(サニーADバンのみに設定)の荷室フロア下のユースフルスペース、明るい荷室ランプなどの紹介も。

そしてもうひとつの見開きは、具体的なモジュールを紹介。見ると「具体例」は多岐に及んでいて、サンキストのオレンジの箱(27個)、パン屋のサンジェルマンのプラスチックケース(34個)、サッポロドラフトビールの箱(26個)をはじめ、日立の14インチTV(6個)や電子レンジ(4個)の箱、ゴルフバッグ(30個とは本当だったのだろうか?)、背広ケース(72個)などが載っている。

以上は「画(え)」にしやすい事例であり、もちろん電気工事、塗装工など技術系や職人さん系であったり、ルートセールスといった営業など、広い分野でADバンの活躍の場が想定される。思えばADバンが登場したこの時代は、まだ今ほど宅配は普及していなかったから、何か小口で運ぶものがあれば自社で……となったはず。そうした小型のボンネットバンの活躍の場、ニーズに対してADバンが応えるクルマだったのである。

ディーゼル車で燃費29.1km/Lを記録

ハードウェア面では、前述のとおりFF化したB11型サニーのそれをベースに、搭載エンジンは1.5Lと1.3Lのガソリンと1.7Lのディーゼルが設定された。当時の60km/h定地走行燃費で1.5L 5速フロアシフト車が24.0km/L、ディーゼル車で29.1km/Lと、経済性にも優れている点もアピールポイントのひとつだった。

なおサニー、パルサー、ダットサンの各ADバンの表紙を並べたカタログは、1985年9月のマイナーチェンジ時のもの。この時にフロントまわりではヘッドライトがSAE規格の角形に変わるなどした。

またADバンはその後、2代目(Y10型・1990年)、3代目(Y11型・1999年)と続き、2006年から現在の4代目(Y12型)へと続いている。この間にOEM車としてマツダ・ファミリアバン(1994~2018年)、三菱ランサー・カーゴ(2008~2019年)、スバル・レオーネバン(1994~2001年)などの派生車も生まれた。このうちファミリアバンについては、2008年からはトヨタ・プロボックス/サクシードのOEMに切り替わった。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

スーパー耐久ST-2クラスに参戦する日本自動車大学校が2025年体制を発表。シビック・タイプRを継続
スーパー耐久ST-2クラスに参戦する日本自動車大学校が2025年体制を発表。シビック・タイプRを継続
AUTOSPORT web
「金曜日にいつも求めている通りのもの」逆転タイトルを狙うバニャイア。FP1後の転倒も説明/第20戦ソリダリティGP
「金曜日にいつも求めている通りのもの」逆転タイトルを狙うバニャイア。FP1後の転倒も説明/第20戦ソリダリティGP
AUTOSPORT web
スズキの「“2階建て”軽バン!?」公開! 斬新“横開き”式で「4人も寝られる」!? タフ仕様もカッコイイ“エブリイ”「スマイルファクトリー オフタイムBASE」お台場で実車展示
スズキの「“2階建て”軽バン!?」公開! 斬新“横開き”式で「4人も寝られる」!? タフ仕様もカッコイイ“エブリイ”「スマイルファクトリー オフタイムBASE」お台場で実車展示
くるまのニュース
FP1は首位発進の中上貴晶。“新アイテム”で「データ上では向上」もホンダのリヤグリップ不足は変わらず/第20戦ソリダリティGP
FP1は首位発進の中上貴晶。“新アイテム”で「データ上では向上」もホンダのリヤグリップ不足は変わらず/第20戦ソリダリティGP
AUTOSPORT web
伝説の名車カウンタックって、結局何が凄かったの?
伝説の名車カウンタックって、結局何が凄かったの?
ベストカーWeb
「ダートラマシン風に仕上げる!」潮風に当たったエイプをメンテ&カスタム!━━1【プロカメラマンの作業記録】  
「ダートラマシン風に仕上げる!」潮風に当たったエイプをメンテ&カスタム!━━1【プロカメラマンの作業記録】  
モーサイ
満月の夜、なぜ「野生動物との衝突事故」が1.5倍も増加するのか? 11月16日「ビーバームーン」で考える
満月の夜、なぜ「野生動物との衝突事故」が1.5倍も増加するのか? 11月16日「ビーバームーン」で考える
Merkmal
水素で走るSUV「ホンダ CR-V e:FCEV」を公道初試乗!優れたパッケージングに秘めた「元気」の力に驚いた
水素で走るSUV「ホンダ CR-V e:FCEV」を公道初試乗!優れたパッケージングに秘めた「元気」の力に驚いた
Webモーターマガジン
ヤマハ:近くて遠い予選Q2。クアルタラロ「フィーリングはいいが、何かが欠けている感じ」/第20戦ソリダリティGP 初日
ヤマハ:近くて遠い予選Q2。クアルタラロ「フィーリングはいいが、何かが欠けている感じ」/第20戦ソリダリティGP 初日
AUTOSPORT web
斬新「日本の“フェラーリ”」がスゴイ! 約“700馬力”&大排気量「V8ツインターボ」採用! 日本限定で“50周年”を記念した十人十色の「J50」とは?
斬新「日本の“フェラーリ”」がスゴイ! 約“700馬力”&大排気量「V8ツインターボ」採用! 日本限定で“50周年”を記念した十人十色の「J50」とは?
くるまのニュース
[15秒でわかる]ビュイック『グランドナショナル』1987年式…カスタムに5000時間!
[15秒でわかる]ビュイック『グランドナショナル』1987年式…カスタムに5000時間!
レスポンス
首都高「都心のバイパス」消滅→渋滞ヤバイ!?  KK線ルート廃止で混雑懸念の“意外なポイント”とは? 10年前に逆戻りか
首都高「都心のバイパス」消滅→渋滞ヤバイ!? KK線ルート廃止で混雑懸念の“意外なポイント”とは? 10年前に逆戻りか
乗りものニュース
【MotoGP】バスティアニーニに敗れスプリント3位のマルティン、ギリギリオーバーテイクにも理解「彼もマルケスと競ってるからね」
【MotoGP】バスティアニーニに敗れスプリント3位のマルティン、ギリギリオーバーテイクにも理解「彼もマルケスと競ってるからね」
motorsport.com 日本版
全長4mに「FR」採用! トヨタの「“6速MT”スポーツカー」が凄い! “4人乗り”で実用的な「小型クーペ」にクルマ好きから熱視線! 市販化待望の「S-FR」とは
全長4mに「FR」採用! トヨタの「“6速MT”スポーツカー」が凄い! “4人乗り”で実用的な「小型クーペ」にクルマ好きから熱視線! 市販化待望の「S-FR」とは
くるまのニュース
伝説の名車メルセデス・ベンツ「300SLR」が1000万円以下!? 本物そっくりの1/2スケールジュニアカーにはスターリング・モス卿のサイン入り!
伝説の名車メルセデス・ベンツ「300SLR」が1000万円以下!? 本物そっくりの1/2スケールジュニアカーにはスターリング・モス卿のサイン入り!
Auto Messe Web
全回転域でリニアな加速感! NISMOが『スカイライン400R』用スポーツリセッティング TYPE-2を発売
全回転域でリニアな加速感! NISMOが『スカイライン400R』用スポーツリセッティング TYPE-2を発売
レスポンス
【MotoGP】スプリント17位で終えた中上貴晶、いよいよラストレースに「可能な限り最高の結果を出せるように頑張ります」
【MotoGP】スプリント17位で終えた中上貴晶、いよいよラストレースに「可能な限り最高の結果を出せるように頑張ります」
motorsport.com 日本版
「うぎゃゃ! 虫が付いた…」 頭抱える問題、ムリに拭き取るのはNG? ボディに付いた「虫の死骸」 正しい除去はどうする?
「うぎゃゃ! 虫が付いた…」 頭抱える問題、ムリに拭き取るのはNG? ボディに付いた「虫の死骸」 正しい除去はどうする?
くるまのニュース

みんなのコメント

6件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

112.0279.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

19.0109.8万円

中古車を検索
ADバンの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

112.0279.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

19.0109.8万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村