目指すは「パワートレーンのハイブリッド化」だけではなかった。「すべての面で最高のフェラーリを作り上げること」。これこそ、SF90ストラダーレの開発に際してマラネロの技術陣が自らに課した使命だった。
そして彼らにはひとつの確信があった。「ハイブリッド・システムを搭載したほうがハイパフォーマンスなスポーツカーを作れると、開発の当初から信じていました。決してエミッションを改善するためにハイブリッド・システムを搭載したわけではありません」。フェラーリの技術部門を指揮するミハエル・ライターが私に語ったこの言葉こそ、この画期的なニューモデルを生み出す大きな原動力となったことは間違いない。
29歳、フェラーリを買う──Vol.13 女優・夏樹陽子が語る! フェラーリの魅力とは?(後編)
SF90ストラダーレのパフォーマンスを示すデータをいくつか掲げよう。
まず、最高出力は実に1000ps。そして静止状態から100km/hまでに要する時間は、たった2.5秒だ。あのマクラーレン「セナ」でさえ100km/hまで加速するのに2.8秒を要するのだから、SF90の底知れない速さがこの点からもうかがえる。ちなみに、フェラーリのテストコースであるフィオラノでのラップタイムは、これまでのレコードホルダーであるラ・フェラーリをおよそ1秒凌ぐという。
SF90の速さの源が、そのパワートレーンにあるのは疑う余地がない。搭載するエンジンは排気量4.0リッターのV型8気筒ツインターボで780ps/7500rpmと800Nm/6000rpmを発揮する。そしてこのパフォーマンスをさらにブーストする役割を果たすのが新開発のハイブリッド・システムである。
搭載されるシステムは3基のモーターと容量7.9kWhのリチウム・イオン・バッテリー、そしてこれらが生み出すパワーをV8エンジンと協調制御するコントロール・ユニットによって構成される。
3基のモーターのうちの2基は左右の前輪に1基ずつ組み合わされ、残る1基はエンジンとギアボックスのあいだに搭載される。
前輪を駆動するモーターの最高出力は115.6ps(85kW)、エンジンと直接向き合うモーターは204ps(150kW)であるが、フェラーリは、3基のモーターの最高出力を220ps(162 kW)と公表している。
それぞれを単純に合計した数値にならないのは、実際に最高出力を生み出す回転数などの条件がモーターによって異なるためだろう。裏を返せば、220psのパワーは単なる計算値ではなく、現実の走行中に発揮できるパフォーマンスといえる。
1000psの最高出力に関しても同様だ。これがエンジンの780psとモーターの220psを単純に足し合わせた数字ではなく、「実測に得られた数値である」ことは、私の質問に答える形でライタスが明言したとおりである。
では、この3基のモーターはどのように使われるのか? スポーツカー・ファンであればすでにお気づきのとおり、その原理はホンダNSXの「スポーツ・ハイブリッドSH-AWD」に酷似している。
つまり、エンジンとともに搭載されたモーターは主に発電で使われ、ここで得た電力をフロントのモーターに供給。さらにコーナリング時は、左右のモーターに出力差を与えてヨーを生み出し、クルマ自身が積極的に曲がろうとする特性を得ているのだ。この機能をフェラーリは「RAC-e(レース)」と呼んでいる。
別のとらえ方をすれば、SF90はエンジンとモーターの力で4輪を駆動する4WDともいえる。0-100km/h加速で2.5秒という驚異的なパフォーマンスを実現できたのも、4WDによって得たトラクション性能が効を奏しているはずだ。
なおSF90は、外部電源により車載バッテリーを充電できるプラグ・イン・ハイブリッドでもあり、バッテリーの電力だけで最大25kmを走行出来るほか、エンジンを始動させることなく135km/hの最高速度に到達するという。
いっぽう、大容量バッテリーを搭載するにもかかわらず、SF90の乾燥重量は1570kgと比較的軽量に仕上がっている。
これにはアルミとカーボンを組み合わせ、スペースフレームを構成するフェラーリ独自のまったく新しいボディ構造が役立っているようだ。
また、エンジンの搭載位置は驚くほど低く、そのことは透明なエンジンフードから中を覗き込めばひと目でわかる。これを可能にしたのが新開発の8速DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)だ。
従来のDCTは大小ふたつのクラッチを同軸上に設けるため、外径が大きくなり、このためエンジンからの入力軸を、どうしても低く出来なかった。
そこでフェラーリは、ひとつの軸上にふたつの多板クラッチを直列に並べたレイアウトを採用。これによってクラッチの外径を、20%も小型化することに成功したという。なお、このレイアウトはF1で現在用いられているギアボックスからヒントを得たようだ。
車体の軽量化と低重心化は、ハイブリッド化によって損なわれる運動性能を補ううえで大きく役立っているはず。ラ・フェラーリをしのぐラップタイムをフィオラノで叩き出したのも、こうした基本性能の追求とRAC-eの相乗効果によるものと考えられる。
エクステリアデザインは文句なしに美しい。余計な装飾を極力排し、滑らかなラインと面構成で、未来的かつ躍動的なスタイリングを生み出せたのは、フラヴィオ・マンゾーニ率いるデザイン・チームの優れた感性があればこそ。個人的には、近年のフェラーリでもっとも美しいデザインだと思う。
インテリアにも多くの新機軸が盛り込まれている。メーターパネルには16インチのデジタルディスプレイを採用。しかも、これを湾曲させ、理想的な視認性を得たと主張する。
ステアリングに多くの操作系を盛り込むのはフェラーリのお家芸であるが、SF90ではそれら多くをタッチコントロール式とし、操作性をさらに向上した。また、車両が持つ機能の約80%をステアリング上でコントロールできるという。
フェラーリは3日間で、合計2000名の顧客を世界中から招き、ニューモデルの誕生を祝うイベントをフィオラノで催した。参加者の大半はすでにSF90ストラダーレを発注済みとのこと。
なお、ラ・フェラーリと違ってSF90ストラダーレは継続的に量産されるカタログモデルで、その価格は未発表ながら「812スーパーファストよりも高価で、ラ・フェラーリよりは安価」というから8000万円ほどだろうか。いずれにせよ、フェラーリがスーパースポーツカーの歴史に新たな金字塔を打ち立てたことだけは間違いない。
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