車内のスイッチ操作不要、驚きの会話型音声認識テクノロジー vol.1
音声認識技術でグローバルに事業を展開しているアメリカのニュアンス・コミュニケーションズ社は、産業用やスマートフォンの音声認識の技術はもちろん、車載用の音声認識技術でも高いシェアを持ち、グローバル規模で自動車メーカー、ナビメーカーの機器に組み込まれている。
ニュアンス・コミュニケーションズ ドライバーの視線を認識して会話する次世代インターフェース
■いよいよ会話型のマルチメディア&アシスタントサービスが実現
同社の最新の市販バージョンは、2018年2月にワールド・プレミアされたメルセデス・ベンツの新型「Aクラス」(2019年型モデル。2018年秋に発売開始)に搭載されている。ニュアンス・コミュニケーションズはダイムラーAGと「メルセデス・ベンツ ユーザー エクスペリエンス(MBUX)」マルチメディアシステムを共同開発し、会話型AIを備えたMBUXを新型Aクラスに搭載したのだ。
最先端のインフォティメントシステムはMBUXは最先端の会話型AIを搭載したニュアンス・コミュニケーションズのDragon Drive(ドラゴンドライブ)プラットフォームを採用し、カスタマイズされたオートモーティブ・アシスタント・システムを構築。ドライバー、乗員の好みやニーズを把握し、継続的に学習し、より最適な情報を乗員に提供できるものだ。
MBUXは、ボタンやスイッチを押すのではなく、車載システムとしては初の「ハロー、メルセデス」というウェイクアップワードで起動する。自然言語理解と自然言語生成機能により、乗員はMBUXと自然な言葉で会話することができる。
例えば、ドライバーが「明日はサンダルを履いて出かけられますか?」と尋ねると、MBUXは天気予報データを調べ、「はい、明日の天気は晴れの予報です」と返答。もし、ドライバーが「暑すぎる」と言えば、MBUXは車内のエアコン設定温度を下げるなど、従来のワンパターンなフレーズでの回答ではなく、自然に自在な会話のやり取りを行なうことができるのだ。
MBUXの自然言語での理解力は、ドライバーが以前に発言したことを参照するなど、過去の発言や情報を蓄積できる設計となっている。例えば、「ジョンにメッセージを送信してください」と言った後に「マリアにも送信してください」と言うかもしれないし、「ロンドンの天気は?」と聞いた後に「マンチェスターは?」と訊ねるかもしれない。MBUXはこの種の会話をフォローすることができ、様々な要求に応えるインテリジェント機能を持っている。
またMBUXは、通信ネットワークを使用しクラウドとの接続で機能が更新ができる(Over The Air:OTA)柔軟な設計になっている。このOTA機能により、時間の経過とともに新しい言葉が追加され、シーズンスポーツイベントなどの情報も獲得できる。
MBUXは車両制御と統合されたアシスタント機能により、車内の温度調節、音楽の選択、あるいはシート温度調整やマッサージなどの機能を音声でコントロールすることができる。つまりクルマがモバイル・アシスタントになっているといってもよいだろう。
ドライバーはもはやスイッチをオン・オフしたり、ナビの目的地を入力する必要がなく、アシスタント・システムと会話することで目的を達成することができるのだ。
ニュアンス・コミュニケーションズ 関連情報
ニュアンス・コミュニケーションズ 公式サイト
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