知名度の高いビッグスクーター「フォルツァ」の新型350が海外で発表された。主にスタイルを変更し、昔ながらのフォルツァらしい2眼ヘッドライトに回帰。これをベースに国内版の250が発売されることになりそうだ。「年内にも登場」と予想される新生フォルツァの詳細を解説したい!
文/ベストカー編集部
「あの頃」のネコ目が帰ってきた! ビクスク復権なるか! 新型フォルツァ徹底スクープ
海外でフォルツァ350の新型発表、250版の国内仕様が近日登場へ
2000年代に大ブームになり、各社がシノギを削った250ccのビッグスクーター。しかし、2000年代後半、違法駐車の取り締まり強化と排ガス規制の影響で250スクーターのラインナップは激減した。
現在、国内250スクーターは、ホンダのフォルツァとヤマハのXMAXの2車種のみ。セールス好調なのはフォルツァで、昨年の推定販売台数はXMAXが1308台なのに対し、フォルツァは2187台だった。強豪ひしめく126~250ccクラスにおいて、販売13位となかなかの人気を誇る(販売データは二輪車新聞調べ)。
現行フォルツァは、海外モデルのフォルツァ350を250ccにスケールダウンして国内で発売されている。そのベース車であるフォルツァが10月4日、生産国のタイでモデルチェンジを発表。日本でも従来通り、350を250ccの「フォルツァ」として発売するはずだ。
2023年新型フォルツァの変更点は、規制対応と灯火器類の変更がメイン。シート高などの車両寸法や184kgの車重、23psの最高出力など諸元に変更はないようだ。それでも令和2年排出ガス規制に対応しながらパワーを維持するなど細部に改良が施されている可能性もある。
新型の国内発売時期を本誌では12月中旬と予想。価格は従来型から3万3000円アップの69万1900円と予想したい。
新型フォルツァ350は写真のグレーをはじめ、計4カラーを設定。グレーは日本の新型フォルツァにも設定される見込みだ
猫目+滑らかボディはまさに俺達のフォルツァだ!
今回のモデルチェンジで最もトピックなのはヘッドライトの変更だろう。2018年以降、欧州市場を見据えて登場した現行型(MF13)は3眼の一体型を採用してきたが、日本のライダーにとってフォルツァと言えばツリ目の2眼。2000年型の初代(MF06)以来、2眼ヘッドライトがアイデンティティだった。
そして新型は左右独立の2眼に変更。我々がよく知るフォルツァの伝統に回帰した形だ。
さらにフロントカウルの両サイドはZ型のデザインから、滑らかな「く」の字型に変更。海外で設定されているフォルツァ750に近いが、国内の旧フォルツァを思わせる造形でもある。
同時にテールランプも新デザインに変更したほか、メーターを一新。スピード&回転計アナログ2眼の間に置かれた液晶画面を拡大し、バーグラフ式のリアルタイム燃費計などが新設された。高級感もよりアップし、クルマのようなコクピットとしている。
メーターにはスマートフォンと接続した際の着信表示なども確認できるが、現行型と同様、日本で発売される2023年新型フォルツァ250には、スマホ連携機能は採用されない見込みだ。
新型フォルツァのヘッドライトは外周を縁取るようにライン発光するポジション灯をセット。クルマのデイタイムランニングライトを思わせる明るさとデザインだ。写真はタイ仕様
快適なエンジンや電動スクリーンなど基本構成は踏襲
現行フォルツァ250の水冷4バルブ単気筒は、2021年型でロングストローク化やバランサー搭載などのビッグチェンジで快適性が向上した。この心臓部は、2023年新型フォルツァ250にも受け継がれるはず。最新の令和二年二輪車排ガス規制に適合しつつ、現行フォルツァ250と全く同じ23ps/7750rpm、2.4kg-m/6250rpmを発揮する模様だ。
手元のボタンで高さを調整できる電動スクリーンは、ライバルのXMAXにはないフォルツァ自慢の装備。現行型と同様に継続採用されるが、稼働域は180mmから150mmに変更されるようだ。
なお、フロント15インチ&リヤ14インチのアルミホイールにABSの足まわり、オンオフ可能なトラクションコントロールは現行型を踏襲する模様。左フロントポケット内のUSBソケットや、フルフェイス二個を呑み込む48Lスペース、スマートキーなどの便利装備も健在だ。
新型のエンジン。2021年型フォルツァ250と同じく低フリクション技術のeSP+やバランサーで、低振動&スムーズな走りを実現。高速域での安定感を狙った車体も継続する。これらは国内版も同様だろう
新フォルツァを機に万能の“ビグスク”復権に期待!
PCXに代表される125ccや160ccクラスに比べ、250ccスクーターはパワフルな走りと安定した巡航性能が魅力だ。シート下スペースもPCXの30L容量に比べ、余裕タップリ。もちろん高級感や快適装備も上回る。
価格はPCX160=40万7000円、新型フォルツァ予想価格=69万1900円と大きく開きがあるものの、通勤からツーリングまでオールラウンドに使えるのはやはり250クラス。125クラスより税や保険は高いが、車検はない。新型フォルツァの登場が250ビグスク再評価の契機になれば、国内バイク市場はより活気付くが、果たして!?
ちなみに、快適な走りを信条とするフォルツァに対し、ライバルのヤマハXMAXは、兄貴分TMAXの名を継承するとおり、スポーティな走りが自慢。XMAXは2021年型でモデルチェンジし、今のところ新型のニュースは届いていないが、こちらの進化にも期待したい。
ライバルのヤマハXMAX。同社の250スクーターで初めて一般的なバイクと同様の上下クランプ式Fフォークを採用。車重は現行フォルツァより7kg軽く、トラコンも備える。65万4500円
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スクーターは楽して乗る乗り物だから。