サスペンションのアップデートで第3戦も単走優勝!
2号機はGRスープラのレース用ドリ専キットカーを目指した意欲作
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2020年の8月22日(土)・23日(日)に、エビスサーキットで開催されたD1グランプリシリーズ第2戦&第3戦。開幕戦の奥伊吹にGRスープラの2号機を投入し、そのままデビューウィンを飾った川畑選手は今回も注目の的だった。
結果から言えば、エビス2連戦では優勝することはできなかったものの、両日ともに追走トーナメントへの進出を決めただけでなく、第3戦では開幕戦では果たせなかった単走優勝を獲得。GRスープラは毎戦アップデートされ、川畑選手自身もマシンとのマッチングが進んでいることを伺わせる戦いぶりを見せてくれたのだ。
これまで、2013年と2015年にシリーズチャンピオンを獲得した実績を持ち、トップドライバーとして活躍し続けている川畑選手。愛機のGRスープラは、2019シーズンで得たデータやノウハウを注ぎ込んでイチから開発した2号機だ。
マシンメイクは名将“ドゥーラック”が担当しているのだが、今作はヨーロッパで販売されているHGKのE92ユーロファイターのようなキットカーを目指したそうで「それのGRスープラ版ですね。頼まれればすぐにでも作れるデータは残っっていますし、FIAとかの基準にも対応できるようになっています」と、ドゥーラックの伊藤さん。
パワーユニットは、昨シーズンの最終戦(オートポリス)で投入した3UZを踏襲。エンジン本体は、CPのピストン&コンロッド、バランス取り加工された純正クランクを組み合わせて4.4Lまで排気量アップ。開幕戦では作用角280度のハイカムを使っていたが、エビス戦では300度以上のものに変更したそうだ。
なお、昨シーズンに苦しめられたヘッドガスケット抜けに関しては、対策したシリンダーライナーとガスケットを開発&製品化、これを導入することで解決している。
タービンは、1号機ではビッグシングルのG42-1200を選択していたが、2号機では低回転域のレスポンス向上を狙ってG30-660を左右バンクに振り分けるツインターボ仕様としている。制御はHKSのF-CON Vプロで、ブースト1.4キロ時に燃料計算で1000ps、ブースト1.8キロ時には1200psを超えるパワーを絞り出している。
工芸品のような美しさを誇るエキゾーストマニホールドは“アルトラック”による逸品。排気効率のみならず、サウンドと美観も追求したレイアウトを構築している。
リヤウインドウは中間でバッサリとカットし、トランク部分にマウントされたラジエターへの導風を担うセクションとして製作。この辺りも1号機とは形状が異なる部分で、ラジエターを車体センター側に可能な限り寄せるべく燃料タンクを特殊形状でオーダーメイド。クラッシュ時の被害を最小限に抑えるための進化ポイントだ。
クラッチはORCの1000F高圧着タイプで、3UZ用の軽量フライホイールと合わせてワンオフ製作。ミッションはサムソナスの6速シーケンシャルドグ、SIKKYのクイックチェンジデフにはOS技研のスーパーロックLSDが組み込まれる。
車高調はHKSのハイパーマックスダンパーだ。エビス戦前に仕様変更を行い「以前よりレベルの高い走りが安定して出せるようになった」と川畑選手も好感触。なお、バネレートはコースやコンディションによっても変更しており、具体的な数値は企業秘密とのこと。
ドリフトに重要なナックル&アーム類は、ワイズファブのフルキットを投入して驚異の切れ角を実現。ブレーキは軽量化と見た目のバランスを考え、2号機では6ポットではなく4ポットキャリパーにサイズダウンし、合わせてローター径も小径化していたりする。
リヤのキャリパーは昨年と変わらずエンドレスのドリ6rを使用。 アームはフロント同様にワイズファブのキットを奢るが、ロングアームバージョンになったことでスペーサーの量が減り、フィーリングも向上したそうだ。
ホイールは前後ともレイズのグラムライツ57FXZ。フロント18インチのリヤ20インチという異経セットが斬新だ。タイヤはプロクセスR888RDとなっており、サイズはフロント275/35-18、リヤ285/35-20を履いている。
コクピットは贅肉を削ぎ落としたレーシングカーらしいメイキングだ。ミラー類は全てモニター表示に変更している。2号機になってドラポジは大きく改善され、ステアリングシャフトはより水平になるよう工夫が凝らされている。ダッシュボードはT&EがBMW用に製作したドライカーボン製を流用している。
車速や回転数などの数値類はAIMのディスプレイで一括表示。その右側にあるモニターにはサイドミラーの映像が映し出される。ドゥーラック伊藤さんが「チューニングカーには遊び心も必要でしょ」というように、スイッチ類はモニター表示のタッチパネル式を試験中。予備としてシフトレバーの後ろ側にプッシュ式スイッチも残されている。
エクステリアを覆うエアロパーツは、クールレーシング製でコンプリート。市販ワイドボディキットにD1スペシャルのオーバーフェンダーを重ねている。これによって全幅は2メートルを超えており、スーパーGTマシンのような迫力を手にしている。
EBISU DRIFT初日(第2戦)の単走決勝。1本目は勢いある飛び込みからコンクリートウォールギリギリを攻めた走りを決めたものの、ゾーン不通過(必ず通過しなければならないポイント)の減点が響いて96.32点。2本目はゾーンを意識しすぎてセクター1の得点を落としてしまい、総合12位での追走トーナメント進出となった。
そして迎えた2日目(第3戦)の単走決勝。川畑選手は最終コーナーから強烈なスピードで飛び出すと、高いドリフトスピードと見事な踏みっぷりで99.40点の高得点を獲得。最後までこの得点を上回る選手は現れず、単走優勝を決めた。
両日ともに追走トーナメントで勝ち上がることはできなかったものの、ラウンドを重ねるごとにマシンの戦闘力は高まっている。次戦のオートポリスでは、さらに進化したGRスープラの姿を見ることができるはずだ。
TEXT&PHOTO:Daisuke YAMAMOTO
【関連サイト】
D1公式ウェブサイト
https://d1gp.co.jp
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みんなのコメント
年々興味が薄れて行く気がする。