スーパーカー第1号、ランボルギーニ ミウラ。最初のスーパーカーと言われるランボルギーニ ミウラ。そのシルエットは壮観で、そのパフォーマンスは当時としては驚異的だった。クラシック オブ ザ デイ!
「ランボルギーニ ミウラ」は最初のスーパーカーと言われている。闘牛にちなんで名づけられたこのスポーツカーは、その華やかな外見だけでも際立った存在であり、あとは性能のデータによって決められた。
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1966年から1975年まで、「P400」、「P400S」、「P400SV」として、「ミウラ」の新車は購入することができた。
ランボルギーニは、勇気あるドライバーのための高価なファンカーだった
「ミウラ」を買って運転するには、大金も必要だが、何よりも勇気と鋼鉄の神経が必要だった。1967年当時のドイツでは、「ミウラ」は当時、75,500ドイツマルク(600万円超)という莫大な値段だった。
走りの特性もランボを特別なものにした。エンジンはリアの中央に位置し、Bピラーから空気を吸い込み、地獄のような悲鳴とともに車と乗員をスピードに乗せる。
同時に、サウナのように室内を暖める。V12は1,180kgの車重をものともせず、低速域ではバランスのとれたハンドリングが容易だった。
高速でのコントロールが難しい
速度が上がるにつれフロントエンドがリフトされるため、ハンドリングは不安定になる一方だ。つまり、高速走行ではコントロールが難しくなる。「ミウラ」の最高速度は280km/hで、「SV」では300km/hを超えると言われているが、実現できたドライバーはどれだけいるのだろうか。加速の次はブレーキングだが、もちろんステアリングとブレーキにパワーアシストはない。
インテリアはガソリンと古いレザーの香りが漂う男の仕事場だ。しかし、颯爽と「ミウラ」を操ることができるドライバーの身長は170センチ程度だ。筆者のような190センチの長身ドライバーは、前かがみ、大股開きの姿勢を強いられる。
「ランボルギーニ ミウラ」は、今でも最も美しい車のひとつとされている。製造されたのはわずかに750台ほど。
大林晃平:ランボルギーニ ミウラというネーミングをはじめて聞いたのは小学校時代だったが、面白い名前だなぁ、と思った。というのも同じクラスに「三浦かずみさん」という同級生がいたからで、ミウラかぁ、と長いまつ毛のついたスーパーカーを見ながら、妙に平べったい三浦さんの顔をながめたものである。そんなランボルギーニ ミウラの名前の語源は、スペインの伝説的な闘牛飼育家(!)だったドン アントニオ ミウラさんの名前に由来し、その名前を用いられるきっかけには、もちろんランボルギーニのエンブレムの闘牛と関連性を持つネーミングなのである。
そんなミウラの誕生は1965年にトリノで開催されたトリノ オートショーに展示された4リッターV12のエンジンをミッドシップに搭載された、ボディをまだ持っていない、シャシーとエンジンだけの車輛(?)にさかのぼる。このシャシーのみのコンセプトモデルはTP400と呼ばれ、12気筒エンジンをミッドシップに置いたという、この部分こそがランボルギーニのスーパーカー誕生、という重要なポイントになるわけだ。
創業者であり社長のフェルッチオ ランボルギーニが経営者として大変優秀で素敵だったことは、このシャシーとエンジンだけの車輛を、モナコのカジノの前にある駐車場にこっそりと展示したということで、様々な大富豪の所有するロールスロイス コーニッシュやフェラーリの間に置かれた、12気筒でミッドシップのシャシーのみの展示物は、カジノを訪れる超富裕な別荘族や、セレブリティ住人の大注目を浴びることとなったという。
これぞ最強のティーザー広告とでもいうべき作戦だが、こういう展示物に興味を示すヨーロッパの上級階級の方たちの価値判断能力もすごい。そしてその宣伝効果もあってか、その後にマルチェロ ガンディーニのデザインしたボディを身にまとって登場したミウラは、瞬く間に世界中のセレブリティからのオファーがあり、ランボルギーニ本社には注文票が、ファクシミリもなかった時代だからおそらくテレックスで日々舞い込む結果となった。
もちろん今のようにモデルだとかラッパーだとか成り上がり企業家のようなセレブではない。ミウラをいの一番で注文したのは、パーレビ国王であったり、フランク シナトラであったり、と本物のセレブリティの中でも、最上位に位置するとてつもない方々だったのである。
総生産台数754台のミウラは、色も内装もすべてありとあらゆるカラーリングと素材でオーダー可能で、オーダーされたボディカラーはスペシャルカラーも併せて30色以上だと聞くし、内装に至っては、「どうしてそんな色の組み合わせを思いついてオーダーするのだろうか」(例えば黄色いシートに、青いパイピングとか)と、一般人には理解できないカラーリングもあったそうである。やはりトップセレブリティの趣味と言うのは、我々一般人には想像もできない世界なのである。
そんなミウラだったが、当初は限定で30台ほどの少数を生産する計画であったことと、前述のセレブリティ様から舞い込む注文票に「一刻も早く納車せよ」という無茶苦茶な命令が記してあったことも影響し、やむを得ず開発期間もものすごく前倒しされ、納車までの準備と生産が、急ピッチというか、突貫工事で進められた。
イタリア人が突貫工事で車を開発すればどんなものが出来上がるのかは自明の理で、完成してオーナーに納車されたミウラは実用性も信頼性もものすごく低く、エンジンの熱問題、騒音問題、サスペンションに関する問題、電気系統のトラブル・・・、など、ありとあらゆるトラブルが山のように発生したという。
やむを得ずランボルギーニのエンジニアは、日々発生するトラブルを(その場しのぎで)しらみつぶしに直すという作業に追われ、生産車はその都度、制作過程の現場で無数の改良をほぼすべての部分に施されたため、一台一台が微妙にサイズも異なっていたらしいし、使われている部品も異なり、同じ生産車は一台としてなかった、とも言われている。
それではミウラは欠陥車だったのかというと、確かに信頼性などは著しく低かったものの、そんなことはミウラの持っている価値とは何ら関係のない話といえよう。1000馬力以上ものパワーを持ちながらも、免許取りたてのお嬢さんが鼻歌交じりで買い物に使えるようなおりこうさんで、壊れない現代のスーパーカーたちより、ずっと輝くような原石の魅力がミウラにはあるではないか。そしてスーパーカーには完成度も壊れないこともまったく関係なく、怪しくて神秘的で、どこかちょっと人を煙に巻くような胡散臭い部分が残っているほど魅力が増すものなだと僕は思う。
今回のどうでもいいようなトリビアが、ラーメンにかける胡椒のように、ミウラの存在とその頃のイタリアの底抜けの魅力を、さらに楽しむためのスパイスになれたのなら幸いである。
Text: Matthias Brügge
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みんなのコメント
デザインそのままで今の技術で作ってほしいものです。
まあでも今だと億行っちゃうかな。