この記事をまとめると
■ポルシェ911のグレードは多岐に渡っており購入時には悩みの種になる
えっ、これってポルシェ911なの? じつは大人気だった「カエル顔」じゃない「フラットノーズ」の正体とは
■主要なグレード別にどんな人にむいているモデルなのかを改めて解説
■性能的な面においては「最新が最高のポルシェ」というのに変わりはない
数あるポルシェ911のなかから理想の1台を選ぶために
スポーツカー、とりわけポルシェ911のような伝統的なモデルを手に入れるというのは、はたしてどのようなマインドなんでしょうか。速くて、カッコいいくらいは容易に察しがつきますが「モテたい」とか「維持費が比較的安定してそう」といった主観的な購入意欲となると、分析するのは至難かと。
ならば、逆もまた真なりと、911のタイプ別にどんな人向けなのかを考えてみました。最新バイヤーズガイド、あるいは昔の雑誌でよくあった「余計なお世話」的ガイドだとご笑覧ください。
911カレラ
いわずと知れたベーシック911ですが、その昔は「カレラ」の名がつくだけで素のモデルとは区別されたものです。いわずもがな「カレラ=レース、競争」の意味であり、1954年にアメリカからメキシコを疾走する公道レース「カレラ・パナメリカーナ・メヒコ」を初制覇したことにちなんだ由緒ある名前。
その名前がベーシックモデルでも名乗れるわけですから、いうなればお買い得911のトップバッターかと。お金があって「とりあえず在庫あるっていうから」くらいのマインドをお持ちの方にはうってつけでしょう。
ただし、ちょっとでも色気をだして全輪駆動のカレラ4とか、軽量モデルのカレラTを買おうとすると100万円単位で価格がアップ。さらに、「モテ要素」に目がくらみ、カブリオレやタルガとなるとひと声500万円単位の価格差を覚悟しなければなりません。
911ラインアップすべてにいえることですが、バリューフォーマネーに軸足を置くのか、「モテ要素」やGTやらターボといった「パワー要素」を重視するのかで、価格はもちろん、オーナーに対する視線の温度もだいぶ変わってきます。ベーシックなカレラを選ぶというのは「ポルシェに乗るくらいお金はあっても、堅実な買い物をする人」、巷では合理的とか、ケチなんて呼ばれ方をしているかもしれません。
911ターボ
空冷911の時代にターボといえば、その野蛮な加速をもってして「首都高」とか「最高速」あるいは「チューンアップ」なんてワードが似合っていたかと。ファットなタイヤ&フレアフェンダーやちゃぶ台くらい大きなリヤウイングなど、誰が見てもプレーンな911との違いや迫力を感じることができたものです。
もっとも、タイプ992となると、プレーンな911でもかなりグラマラスなボディですから、クルマに興味のない人からすれば区別がつきづらいもの。
となると、911ターボはクルマ好きDNAがいくらかなりとも息づいていないと「パワーはあるんだけど、ぱっと見911と変わんね」などといいかねません。
一方で、ターボに投入されているテクノロジーは「これぞポルシェ!」といえるものが数多く、スペックやらウンチクを語りたい向きには絶好のモデル。タービンのインペラがどーしたこーした、マニホールドの材質があーだこーだと自慢、あるいは自己満足したい方にはもってこい!
もちろん、アクセル踏んだだけで異次元の加速が手に入ることから、非日常を高いレベルで感じたい、感じ続けねばならない「スピードジャンキー」もターボ一択。
なお、普段から過給圧パンパンにかけてないと調子が出ないのは今も昔も同じですので、できたら空冷ターボ経験者、あるいはそうした元ジャンキーから教えが受けられる方にオススメです。
特殊なモデルをゲットするには情報網も重要
911GT3
992になった頃、いや水冷化したときから「911は太った」とか「911らしさが減った」などなど、空冷原理主義者はことあるごとに減らず口を叩いてきたかと。ですが、996にGT3というヴァイザッハ渾身のスポーツモデルが登場した際、そうしたやっかみは一瞬にして静まったものです。
当時の新たな格式だったGTカテゴリ3からの命名は、すなわちRS(レンシュポルト)にとって代わるもので(のちにたびたび復活していますけどねw)水冷911に対するポルシェの本気がようやく出てきたと、口さがない連中もいくらか縮こまったかと。
ごくストレートに見れば、GT3モデルを購入する人はサーキット走行をはじめとした「ガチで走ること」を視野に入れていると思われ。また、一方では、「911=スポーティ」ならば、トップグレードってやつに手を出してみようか、といった意識先行型も少なくないように思われます。
前者はまっとうな「911使い」だとしても、後者の場合「なんだか乗り心地がゴワついてない?」なんて助手席からクレームがついたりすると「やっぱ、オレに向いてないかも」と、その足でアストンマーティンとかに行っちゃいそう。
中古車市場でGT3を探すとバリバリのサーキット走行車か、じつに程度のいいバリ物か極端にわかれているのはそんな理由が潜んでいるのではないでしょうか。
911ダカール、S/Tなど
911のラインアップ中「技もの」とか「役付き」などと呼ばれるスペシャルパッケージ(Sondermodelle/ゾンダーモデル:特別仕様車)は、オススメするとしたら上述のターボに飽き足らない人や、GT3の延長線上にある特別感に興味がある人というのがセオリー。また、昔からこの手のモデルは生粋のポルシェマニアの手に渡ることが多いことも事実でしょう。
だいたいオーナーズクラブの会長だったり、「あの人はヴァイザッハ生まれのはずなのに、やけに日本語が上手だよね」などといわれるくらいドイツ、ポルシェ、ヴァイザッハに染まっている方々。ちなみに、こういう方々は役付きを手に入れると生涯手放さないか、いい買い手が見つかるとあっさり手放すタイプの半々な気がします。
この「いい買い手」に事欠かないのが役付き911の特徴にほかなりません。希少価値はもちろん、911という盤石なモデルですからマニアでなくとも「将来値上がり間違いなし」なんて吹き込まれたら、退職金をブチ込む気持ちもわからないではありません。
なので、骨の髄から911が好きな人、加えて投機目的の人は役付き情報をそれこそ自動車雑誌の編集部員なみにキャッチすることを強くオススメいたします。なんだったら、年に2回くらい本国ポルシェのカスタマーセンター詣でをするとか、手っ取り早くドイツのスクープ雑誌を定期購読するのも有効でしょう。
なに? 性能ですと? ポルシェは昔から自分でいってるじゃありませんか「最新が最高のポルシェ」とかなんとかね(笑)。
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ポルシェは。