F1モナコGPの決勝レースで、メルセデス勢はジョージ・ラッセルが5位、ルイス・ハミルトンが7位に入った。フェラーリやマクラーレンには敵わなかったものの、レッドブルのマックス・フェルスタッペンを間に置いてのレースを展開。今季これまで苦戦してきたことと比べれば、まずまずだったと言えよう。
しかしメルセデスとフェルスタッペンにとっては、難しいレースだったとも言える。この3台はハードタイヤでスタートを切ったが、1周目に大クラッシュが起き、赤旗中断となったことで、ここで各車がタイヤ交換義務を消化……メルセデスとフェルスタッペンら、ハードタイヤでスタートを切っていたドライバーたちは、タイヤ交換義務を果たすためには、寿命が短いはずのミディアムタイヤに履き替え、チェッカーを目指さなければいけなくなってしまったわけだ。そのため、フェラーリとマクラーレンからなる上位4台以上にタイヤマネジメントを強いられることになった。
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この状況から脱却するため、いずれのマシンも再びハードタイヤに履き替えることを狙っていた。ここモナコはペース差があってもオーバーテイクするのが難しいため、ピットインできるのはポジションを落とさずにコースに復帰できるほど、後方との差が開いた時だけである。
しかもそのチャンスがあるのは、3台のうち隊列の最も後方にいる1台……つまりハミルトンのみだ。ハミルトンの後ろを走っていたのは角田裕毅(RB)だったが、角田は前を狙うのではなく、後方を抑える走りに終始。そのため、ハミルトンとの間隔がどんどん広がっていった。
F1モナコGP決勝レース、ギャップグラフ(ラッセル基準)
このグラフは、F1モナコGPの決勝レースで、ラッセルの後方にいたドライバーたちの位置の推移を示したものだ。30周を過ぎた頃を見ていただくと、ハミルトンと角田の差は20秒以上になっていることがわかる(赤丸の部分)。このモナコでは、ピットストップすることで19~22秒程度タイムを失うことになるが、ハミルトンはこの段階で、順位を落とさずにタイヤを交換できる権利を手にしたことになる。
彼がその権利を行使したのは51周目。ハミルトンはピットに飛び込み、ハードタイヤに履き替えたのだった(青丸)。
そしてこれに反応したのがフェルスタッペンだった。フェルスタッペンは翌周にピットイン。なんとかハミルトンの前でコースに戻ることができた(緑丸)。
ただメルセデスとしては、ここでひとつのミスがあったと言える。
前述の通り、今回のレースでは各車がペースを極端に落とし、タイヤマネジメントに勤しんだ。ハミルトンがピットインする前のペースは、1分17秒4であり、ハミルトンの1.4秒前にフェルスタッペンがいた。つまりピットインしたことで、この1.4秒ペースを上げることができれば、ハミルトンはフェルスタッペンの前に出られたはず……つまりアンダーカットが成功していたはずだ。しかしフェルスタッペンがコースに復帰した後のふたりの差は4.3秒に拡大している。つまりハミルトンは十分にペースを上げず、逆にフェルスタッペンの方がペースを上げていたというわけだ。
これはハミルトンも「なんで(アウトラップが)重要だって言ってくれなかったの?」と無線で訴え、レース後にはチーム代表のトト・ウルフも、判断ミスをしたことを認めている。
メルセデスとしてはもうひとつ厳しい状況があった。それは、ラッセルが動くに動けなかったということだ。
ハミルトンの翌周、つまりフェルスタッペンと同じ周にピットストップするという選択肢は確かにあったはずだ。しかしラッセルがピットインするのが見えたら、フェルスタッペンはステイアウトするかもしれない。するとラッセルとしてはポジションを落とし、それを取り戻すためにはコース上でオーバーテイクしなければいけないくなる。しかしここはモナコ、口が酸っぱくなるほど言ったり書いたりしているが、ペース差があっても抜けない。そうなれば、ラッセルはステイアウトせざるを得なかった。
しかもピットストップを終えた後のフェルスタッペンが一気に飛ばしたため、翌周の時点でラッセルとフェルスタッペンの差は17秒(緑丸の部分)。これでは、ラッセルがフェルスタッペンの1周後にピットインしたら完全に先行されてしまう状況……ラッセルとしてはステイアウトせざるを得なかったのだ。
これはある意味、2021年最終戦アブダビGPのハミルトンとフェルスタッペンの攻防によく似ている。レース最終盤にセーフティカーが出た際、先頭を行くハミルトンは、2番手のフェルスタッペンのステイアウトを警戒し、動くに動けなかった。しかしフェルスタッペンはピットストップし、タイヤを交換……しかもポジションを落とすことなくコースに復帰できた。そして最終的にハミルトンを攻略……初のチャンピオンに輝いたのだった。
今回の舞台はアブダビではなく、モナコだったから、ラッセルはフェルスタッペンの攻撃を封じることができた。ある意味コース特性に助けられたわけだが、他のサーキットではこうはいかないだろう。
もしハミルトンがピットアウトした直後にペースアップし、フェルスタッペンをアンダーカットできていたのなら、ハミルトンにフェルスタッペンを抑え込ませてラッセルをサポートするということもできたかもしれない。しかしハミルトンがアンダーカットができなかったことで、ラッセルは窮地に追い込まれていたように思える。
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