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【じっくり見たい】EVで蘇る、クラシック・フィアット500 レストア済み車両 日本で販売開始

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【じっくり見たい】EVで蘇る、クラシック・フィアット500 レストア済み車両 日本で販売開始

永遠のチンク 電気自動車に

text:Kazuhide Ueno(上野和秀)

【画像】フィアット500 ev【細部まで見る】 全40枚

今年になって続々と新型の電気自動車がリリースされ、クルマにとって時代の節目であることを感じさせる。

こうした状況のなか、往年の名車であるフィアット500をEVにコンバートした「フィアット500 ev」がチンクエチェント博物館(愛知県・名古屋市)から発売された。

フィアット500は、1957年にデビューして1976年まで生産が続けられ、イタリアを代表するベイシックカーとして今も愛され、本国では文化遺産とまで称される。

その愛らしいスタイルから日本でも数多くのチンクエチェントが愛好家の元にある。現在も同名で新車が販売されていることもあり、旧いフィアット500はクラシケと呼ばれ区別されている。

「フィアット500 ev」はフィアット500クラシケをイタリアのカロッツェリアでオリジナルに忠実なレストアを行ない、同時にEVにコンバートしたもの。

もともとエンジンが搭載されていた位置に、最高出力13kW(18ps)の電動モーターが組み込まれる。

18psという最高出力を見ると心細くなろうが、オリジナルのガソリン・エンジンは排気量499ccで、最高出力はほとんど変わらない。

注目したいのが最大トルクで、起動時に大トルクを発揮する電動モーターの特性を生かし、約5倍にもなる16.3kg-mを獲得している。

航続距離は40km~80km

「フィアット500 ev」では、電動化によりフィアット500クラシケの弱点だったローパワーによる発進加速のとろさが解消されたわけだ。

またトランスミッションが不要になったことからクラッチ操作は不要で、オートマ限定免許で乗れることになった。

EVということで気になる航続距離は、5.5kWのリチウムイオン電池を積むワンバッテリー仕様で約40km。

容量が10.0kWのツーバッテリー仕様でも約80kmと、現代のレベルに比べると短いのが残念なところだ。それでもEVお約束の回生ブレーキ制御は備わっている。

バッテリーは、フロントの本来はトランクとなる部分に搭載。ボディ、サスペンション形式、ブレーキはオリジナルと変わらず、外から見る限りガソリン車との識別点はテールパイプの有無だけだ。インテリアも当時のデザインのままレストアされている。

EVの変更点は、ダッシュボードのかつて灰皿があった部分にバッテリー残量計が設置され、フロアコンソールに前進・後退切り替えスイッチが追加されたこと。

また、スロットル・ペダルが大型のアルミ製に変更されている。

価格 フルレストア代を考えると…

注目の価格はワンバッテリー仕様が506万円、ツーバッテリー仕様が550万円と高い。

一般的なオーナーから見ればローパワーで航続距離も短く、快適装備は一切ないだけに論外の存在となろう。

しかしマニア的な視点で見れば、新車と同等にフルレストアされたガソリンのフィアット500クラシケは今や300万円を超えるだけに、EVにコンバートしてあること考えれば致し方ない額といえる。

もともとフィアット500クラシケは、趣味のクルマ。ふつうのクルマの感覚では判断できない存在だ。

しかし環境意識の高まりから旧車EVでクルマ趣味を楽しむことは、これからの新たな流れになるのかもしれない。

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