谷田部で最高速330キロ超えを記録したHNR32を公道専用にリメイク!
RB30改3.3L+GT2540ツインターボ仕様の破壊力は伊達じゃない!
「GT-Rもポルシェも置き去りにするR32スカイラインセダン!?」RB30改3.3Lの強心臓で最高速330キロ超えを記録!
谷田部での最高速アタックに沸いていた1997年に、333.614km/hという大記録を樹立したのがオーテックツカダのHNR32スカイラインだ。その後、タービンサイズの見直しやNOS装着でエンジン特性をトルク型へと大幅に変更。街乗り&高速クルージングを快適にこなせる、完全なストリートマシンに生まれ変わったのだ。
注目のエンジンは、RB30ブロックにHKS鍛造ピストン改と、クロワー製コンロッド&クランクシャフトを組み、ボア×ストロークはφ88×90mmまで拡大。排気量は驚異の3280ccである。
RB30は、RB26に対してシリンダーブロックが約30mm高くなるため、ボンネット中央を部分的に盛り上がらせて逃げを作っている。ヘッドにはRB26用をセット。ちなみにエンジンの開発コンセプトは「5速5000~6000rpm、230~270km/hでストレスなく巡航できる」という点に置かれているのだ。
タービンは最高速時代のT51に代えて、GT2540をツインで装着。RB26ベースの場合、オーテックツカダではGT2530を使うケースが多いが、排気量とのマッチングを考えてワンサイズ大きいタービンを選択。最大ブースト圧は1.2キロ。高速巡航時に負荷がかかった時、必要以上にブースト圧が上がらないよう、EVCプロでアクセル開度によるブースト圧の補正も行われている。最高出力は650psだ。
実用面を考慮してHKSのVカムを装備。インテーク側カムは標準の260度を加工して270度、10.3mmと作用角&リフト量ともに大きくされている。またバルタイは5000rpm以下ではオーバーラップを大きく、それ以上では徐々に小さくなるようにセッティングされる。EX側カムにはHKS 280度、11.3mmリフトをセット。
「GT2540タービンでGT2530並みの中速トルクを出したかった」と塚田代表。それを実現するための策がNOS装着だ。エンジン回転数3000~4000rpmで、アクセル開度80%以上というふたつの条件が揃った時だけNOSが噴射されるようにF-CON Vプロで制御される。
エキゾースト系は80φタービンエクステンションからフルオリジナル。フロントパイプはATTKDチタン80φ、マフラーもおなじみのATTKD美響チタンマフラーだ。メインパイプ径は90φ、テールは130φとなる。
ミッションはBCNR33純正5速で、ファイナルをBNR34純正の3.5に交換してハイギヤード化。トルク型エンジンとのマッチングは最高でギヤ比のクロス化などを行う必要は全くなく「息の長い加速を楽しめるよ」とのこと。クラッチはATSのツインカーボンクラッチだ。
足回りには、オリジナル車高調にXコイル(F12kg/mm R10kg/mm)を組み合わせたATTKDサスペンションキット“仙脚”を装着。高速コーナーでの路面追従性を重視したセッティングとされている。また、メンバーやアームにはオリジナルカラーが使われ、オーテックツカダの基本的なサンデーレース仕様ともいえる仕上がりだ。ブレーキはBNR32Vスペックから移植。ペダル踏力に応じてリニアに効いてくれるATTKD-Rパッドがセットされている。
インテリアは、ダッシュボード右端にHKSブースト計と燃圧計が装着されるくらいで、ノーマル然とした仕上がり。F-CON Vプロやバルコンの操作ユニットはグローブボックス内に収められる。ミッション&ファイナル比変更でスピードメーターの表示が大幅に狂ってしまうため、メーターパネルにはエンジン回転数とギヤに応じた手製の“速度対応表”が貼られている。
フロントにはBNR34純正シートを2脚セット。リヤはかなり無理をしてBNR32純正が装着される。また、ロールケージはオーテックツカダのオリジナルで、リヤシートの居住性を犠牲にしない6点式だ。
エクステリアはBNR32純正フロントフェンダーを移植してワイド化し、ATTKDエアロバンパーバージョンIIで武装。ホイールはBCNR33純正をポリッシュ加工。ダンロップZ1の245/45-17が組み合わされる。
フロント同様にリヤもBNR32フェンダーを移植し、そのラインに合わせてリヤドアも鈑金加工。仕事の合間を縫ってコツコツと作られたこのクルマは、完成までになんと2年もの時間を要したという。
このチューンドを試乗した稲田大二郎(OPTIONグループ総帥)は「実用加速がものスゴイことになってる。100km/h巡航は5速2000rpm。そこから踏んでいってもスーッと加速していってくれる。このトルク感はRB26をベースにイジっていっても絶対に出せないね。やっぱり3.3Lっていう排気量があってこその走りだよ。このエンジン、例えばR33や34に載せれば、もっと安定して速く走れるクルマが作れると思うんだ。でもR32の、それも4ドアモデルに載せたところが、いかにもオーテックツカダらしいよ」とコメント。
あえてGT-RではなくGTS-4を選択し、超弩級のスペックを与えるという痛快なマシンメイクにチューニングの真骨頂とも言えるマインドを感じさせられる。GT-Rチューンの名門として知られる、オーテックツカダの懐の深さを体現したモンスターマシンだ。
●取材協力:オーテックツカダ 長野県長野市大豆島5862-1 TEL:026-221-3086
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みんなのコメント
峠では86が最強と信じてた何でもかんでも新鮮だと感じたあの頃のマシン!
いや~懐かしい。