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個性で魅了する上級サルーン シトロエンC6 英国版中古車ガイド 複雑なハイドロにご注意

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個性で魅了する上級サルーン シトロエンC6 英国版中古車ガイド 複雑なハイドロにご注意

コレクターズ・モデル化しつつあるC6

少し前までのシトロエンは、今以上に素晴らしかった。ステランティス・グループの一員として、近年は順調に成長しているとしても。

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革新的で急進的で、スタイリッシュ。戦後間もない頃のシトロエンの多くは特に、心に訴えてくるような独特の魅力が備わっていた。ただし、最新のモデルを否定するつもりはまったくない。

何しろ、普段使いのクルマとして乗り回すには、ある程度のブランドへの理解と知識が必要だった。流行りのSUVを残価設定プランで乗るのと同じ気軽さで、維持できるわけではなかった。

実際、あまり良くないイメージもつきまとっていた。機械的な複雑さと、それに伴う不確かな信頼性、低い中古車価格などが、その原因といえた。だからこそ、ひと昔前にシトロエンC6を新車で買った勇気あるファンを讃えたい。

英国では2005年から2012年にかけて販売されたC6だったが、台数は1000台にも満たない。現役時代から珍しい存在といえ、最近はコレクターズ・モデル化しつつある。

そんなシトロエンC6のオーナーになれば、セルフレベリング機能付きのハイドロニューマチック・サスペンションの滑らかさを堪能できる。ハイドラクティブ3+と呼ばれる当時の最新版で、3モードが選択できた。

前後左右へ緩やかにボディを揺らしながら、柔らかい枕のような乗り心地で移動できる。レザーがふんだんに用いられたインテリアは、現代芸術のようにエレガント。ドイツ勢とは一線を画す、独自性が貫かれている。

ボディを眺めているだけで喜びに浸れる

さらに、大胆にカーブを描くスタイリングは、往年の素晴らしいシトロエンを彷彿とするもの。駐車場に停めてボディを眺めているだけで、C6を買った、という喜びに浸っていられる。

長く低く、疑いようなく美しい。目を細めれば、DSやCXのシルエットと重なって見える。中央がくびれたリアウインドウは、見が目が斬新なだけではない。雨天時の高速走行でも視界を保つ、機能性も備わっている。

2005年の発表時にC6へ搭載されたエンジンは、3.0L V6ガソリンターボと、2.7L V6のディーゼルターボ。最高出力はそれぞれ218psと211psを発揮した。トランスミッションは、6速オートマティックが標準だった。

2007年になると、173psを発揮する2.2L 4気筒ディーゼル・ツインターボが登場。これには6速MTが組み合された。2009年には、240psの3.0L V6ディーゼルターボが2.7Lユニットと入れ替わり、選べるようになっている。

英国の場合、流通しているC6の殆どはディーゼルエンジンで、印象は滑らかに回転するものの実務的。日本とは異なり、ガソリンエンジン版を探すことは難しい。

走りは、スポーティという言葉とは無縁。ゆったりとした姿勢制御と身のこなしこそ、このクルマの信条。引き締まった質感を求めるなら、クラシックなシトロエンは最初から考えない方が良いだろう。

ユーロNCAPで5つ星の安全性も

シトロエンのフラッグシップ・サルーンとして、装備はとても充実していた。英国仕様のトリムグレードは、ベースとリネージュ、エクスクルーシブという3段階から選べた。

9エアバックとアクティブ・リアスポイラー、キセノンヘッドライト、ヘッドアップ・ディスプレイ、タイヤ空気圧モニターなどが標準。オプションとして、リアシートにヒーターを追加できる、ラウンジ・パッケージ等が用意されていた。

安全性も抜かりはなく、衝突安全性試験のユーロNCAPでは5つ星を獲得。ボンネットは衝突時に持ち上がるポップアップ式で、歩行者の被害を軽減することが可能だった。

フランス流のラグジュアリーを楽しめる、シトロエンC6。ただし、個性的なサルーンのオーナーになる前に、身近な場所に頼れる専門ショップを見つけておいた方が良いだろう。充分な残高がある、銀行口座もご一緒に。

専門家の意見を聞いてみる

ロブ・モス氏:シェブロニック・センター代表

「シトロエンC6は大好きですが、問題もゼロではありません。維持にはそれなりのコストが掛かりますし、不具合も少なくないと思います。デザインは美しく、インテリアの設えも素晴らしいですが」

「わたしは過去に、2年落ちのC6を所有していましたが、かなりの時間を整備工場で過ごしていました。ハイドロのパイプが痛みやすく、新品に交換してもオイル漏れしがちだったことが主な原因でしたね」

「シトロエンのハイドロニューマチックは、基本的には信頼性が高いといえます。ですが、C6のものはより専門的な設計だったんです」

購入時に気をつけたいポイント

エンジン

2.7L V6ディーゼルの場合、英国のディーラーでは基本メンテナンスで150ポンド(約2万4000円)、2年毎の定期点検で320ポンド(約5万1000円)の金額が必要。タイミングベルトとテンショナーは、16万kmか7年毎という指定だった。

プラスティック製のサーモスタット・ハウジングは劣化し割れて、クーラントが漏れてくる。エンジンの温度警告灯が点灯するクルマは、諦めた方が良い。

先出のロブ・モス氏は、EGR(排気ガス再循環)バルブが弱点だと話す。ターボに不具合が出ることもあるという。エンジンの警告灯が点いたら、この2点が疑われる。

サスペンション

2009年式までは、フロントのローワー・ボールジョイントが弱点。ハイドロニューマチックの修理には、数1000ポンド(数10万円)単位の費用が必要になることも。

フロントのサスペンションユニットは、現在約500ポンド(約8万円)で入手できる。購入前に、ダイアグノーシスでしっかりチェックしておきたい。

ボディ

リアウインドウ・フレーム付近が錆びることがある。アクティブ・リアスポイラー関係も錆びやすい。また、正常に上下するかも確かめたい。

ヘッドライトには水が侵入しやすく、振動にも弱い。正常に点灯するか確かめたい。

ブレーキとタイヤ

バキュームホースに関連するリコールが出ている。最悪、アシストが効かなくなる。アルミとスチールが接する部分で腐食し、ABSセンサーに問題が出たり、リアブレーキが固着することもある。タイヤの空気圧センサーも故障しがちだ。

電気系統とインテリア

インテリアの仕立ては上質。エアコンは、定期的にガス補充が必要。ステアリングホイールのスイッチが原因で、クルーズコントロールが動かなくなる場合がある。すべての電気系統や機器類が正常に作動するか、事前の確認はお忘れなく。

ダッシュボードのイルミネーションが灯らない場合は、ダーク・モードになっている可能性がある。リアシートの電動モーターや、ステアリングホイールのアジャスターも、動きを確かめたい。

新車時代のAUTOCARの評価は

能力に優れ、個性的。シトロエンC6には欲しいと思わせる魅力がある。車内空間は広々としており、フロントシート側はゆったり。リアシートも同様だ。

走りが遅いと感じることは、殆どないだろう。エンジンはパワーを滑らかに生み出し、シフトフィールは柔らかい。

乗り心地は良好ながら、低速域ではサスペンションが衝撃を吸収しきれない様子。ハイドロニューマチックの効果は、郊外の高めの速度域で発揮されるようだ。(2006年4月26日)

知っておくべきこと

2009年以前のC6では、ロワー・サスペンションアームのブッシュやボールジョイントが摩耗しやすく、異音が出る。社外品を探せば、ボールジョイントで単体を交換できる。

C6のハイドロニューマチックは、エンジン始動時ではなく、ドアを開いた時点で車高を持ち上げる。動かない場合は、電動ポンプや配線の不具合が疑われる。また、走行中は可能な限りボディを水平に保つ。動きが大きいなら、内部バルブの不具合かもしれない。

ハイドロニューマチックの圧力を制御する、スフェアと呼ばれる部品がC6には7個搭載されている。圧力が下がると、システムの動作にも悪影響を及ぼすため、定期的に専門ショップで点検整備を受けたいところ。

英国ではいくら払うべき?

3000ポンド(約48万円)~3999ポンド(約63万円)

主に初期型のC6を英国では探せるが、状態は疑わしい。走行距離も24万km前後と長いものが中心。

4000ポンド(約64万円)~6999ポンド(約111万円)

状態は良くなるものの、走行距離は16万km前後と短くない。整備履歴は残っている例が多いようだ。

7000ポンド(約112万円)~9999ポンド(約159万円)

状態の良い2.7L V6ディーゼルのC6を英国では狙えるが、走行距離はまだ16万km前後。

1万ポンド(約160万円)以上

走行距離が短めで、整備記録もしっかり残る、状態の良いC6を探せる価格帯。

英国で掘り出し物を発見

シトロエンC6 2.7HDI リネージ(英国仕様) 登録:2008年 走行距離:11万5800km 価格:5995ポンド(約95万円)

フルレザーの内装にJBL社製のサウンドシステムを搭載した、珍しいC6。シトロエンUKが最初のオーナーで、その後は2名のユーザーを渡り歩いてきた。2015年以降は、シトロエンの専門ショップが面倒を見ている。

タイミングベルトは約1万5000km前に張り替え済み。7個のスフェアも、すべて新品に交換してある。

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