フルモデルチェンジを受けたトヨタの新型「ランドクルーザー“250”」に、サトータケシが乗った。
細かい改良点に感心
「抽選で外れた」とか「納期は未定ですと言われた」などなど、“買えない話”ばかりを耳にするランドクルーザー“250”だけあって、注目度は抜群。待ち合わせ場所の高速道路のパーキングエリアで取材班を待っていると、見学者が後を絶たない。
「いえいえ、自分のクルマじゃないんですよ」と、小っ恥ずかしい気持ちでランドクルーザー“250”を見上げてしまう。
見上げてしまうというのは比喩的な表現ではなく、物理的にこのクルマはデカい。同じ「GA-F」プラットフォームを用いるランクル“300”と比べ、4925mmの全長こそ60mm短いけれど、1980mmの全幅は同じ、1935mmの全高に至っては10mm高い。ランドクルーザー“250”は、決して”小さなランクル”ではないのだ。
ランドクルーザー“250”のラインナップを整理しておくと、エンジンは2.7リッター直列4気筒ガソリンエンジンと、2.8リッター直列4気筒ディーゼルターボエンジンの2本立て。ガソリンは標準グレードの「VX」のみの設定であるけれど、ディーゼルはベーシックグレードの「GX」、標準グレードの「VX」、そして上級グレードの「ZX」が用意される。ちなみに、「VX」と「ZX」は3列シートで乗車定員は7名となる。
試乗車はディーゼルのZXで、「アヴァンギャルドブロンズメタリック」というボディカラーが、言葉の響きも色味も格好いい。
運転席に座ると、これまでの「ランドクルーザー・プラド」より視界が開けていることに気づく。トヨタは、「ランドクルーザー“250”はプラドの後継モデルではありません」と、アナウンスしているけれど、日常生活での実用性も考慮した4輪駆動車というキャラクターを継承していると考えるのが自然だろう。
で、視界が開けている理由はすぐにわかった。というのも、知人のプラドに乗せてもらったばかりだったからで、プラドに比べるとランドクルーザー“250”はAピラーとドアミラーの隙間が大きいのだ。右左折時に横断歩道の人や自転車を見つけやすく、細かいことだけれど大きな改良だと感心する。
ドアミラーの形状を縦長にしただけでなく、サイドウインドウの下端にあたるベルトラインを30mm下げたり、ボンネットの形状を工夫したり、ランドクルーザー“250”は視界の確保にこだわったという。外から見るとカッコよく、中から見ると安心・安全というあたりに、このクルマのキャラが表れている。
すっきり&さわやか走り出して真っ先に気づくのは、ステアリングフィールの変化だ。従来型のプラドはねっとりとした、粘り気のある手応えだったけれど、これがすっきりさわやか、軽快なフィーリングに変わっている。
その理由は、ランドクルーザー“250”が、ランドクルーザーとして初めて電動パワーステアリング(EPS)を採用したことにある。EPSは、電子制御でいかようにも(と書くと大げさだけれど)、パワステのセッティングを変えられるのだ。
これまでのランクルは、ヘビーデューティな使用環境での耐久性に定評のある油圧式で、たとえばランドクルーザー“300”の上級モデルも油圧式パワステを電動アシストしたものだった。
ランドクルーザー“250”とランドクルーザー“300”の大きさはそれほど変わらないと記したけれど、パワステのメカニズムを比べると、性格が異なるクルマだということがわかる。
1GD-FTV型のクリーンディーゼルは、低回転域からリッチなトルクを発生することで定評のあるエンジンだった。ランドクルーザー“250”ではそこに加えて、微妙なアクセル操作に反応するレスポンスや伸びやかな回転フィールなど、“味わい”を身に着けたようだ。ただ車体を前に押し出すだけでなく、押し出す過程を楽しめるようになった。
その理由のひとつに、出力を確保したままターボチャージャーのタービンの小型化に成功したことが挙げられる。これによって、アクセル操作に対するレスポンスが俊敏になった。もうひとつ、ATを6段から8段に多段化したことも大きい。1速のギヤ比をより低くしたことが、スムーズで心地よい発進加速に貢献している。
「Direct Shift-8AT」が、名称に偽りなしの好反応を見せてくれることもあって、パワートレインは実用性だけでなく、ドライバーを気持ちよくさせる能力も備えていた。
興味深いのがドライブモードで「SPORT」を選んだときのキャラの変化で、軽やかに、いい音で回るのだ。結局、試乗時間の大半を「SPORT」で過ごしてしまった……。
ただし、アクセル開度一定で高速クルーズする場面では音も振動も極めて低いレベルに抑えられていることは付記しておきたい。静かな車内で、JBLのオーディオがいい音を鳴らしていた。
洗練された乗り心地ステアリングフィールやパワートレイン以上に洗練されたと感じたのが乗り心地だった。タウンスピードではサスペンションが絶妙に伸びたり縮んだりして、路面からのショックをやわらげる。高速道路でのフラット感も増した。エンジンの静粛性の高さもあって、長距離移動がとても楽ちんになった。
ただし、ひとこと付け加えておきたいのは、かなり解消されたとはいえ、フレーム構造という出自は隠せないということだ。
基本骨格とボディの上屋が別々に動くようなフィーリングや、高速クルーズ時のごわっとした感触など、フレーム構造特有のクセは残っている。このクルマはあくまで日常生活の実用性とオフロードの走破性をバランスさせたライトデューティモデルであり、オンロードに特化したモノコック構造の乗用タイプのSUVとは快適性の基準が異なる。
たとえば、“ハリアーのかっちょいい版”だと思って手に入れて、「えっ!?」と、思うユーザーもいるかもしれない。
とはいえ、この部分さえ理解しておけば快適性はびっくり仰天するほど向上しており、高速道路で路面の不整を突破してもミシリとも言わない強固なボディの安心感たるや、半端ない。車体のねじり剛性はプラドに比べて30%もアップしているとのことで、これがさまざまな面でプラスに作用していると思われる。
まず、車体が歪まないからサスペンションは正しい角度で接地することができ、乗り心地と安定性の向上に寄与する。また、静粛性向上にも貢献するはずだ。今回はオンロードのみでの試乗だったけれど、悪路では強靭なボディがさらに力を発揮するだろう。
というわけで、1日も早く欲しい人の手元に届きますように……と、願いたくなるほど、その完成度は高かった。
文・サトータケシ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)
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