リヤ2輪の6輪車で最高出力は2000馬力を超える!
モンスター田嶋こと田嶋伸博さんが4月に立ち上げたタジマEVが、『東京大学 堀・藤本研究室とタジマEVによる共同研究の成果報告会』を東京大学 本郷キャンパスで開催した。会場内には関係者が多数詰めかけ、会場となった福武ラーニングシアターは満席となっていた。
【疑問】ハイブリッドカーや電気自動車のバッテリーは劣化しないのか?
タジマEVは、電気自動車分野のエキスパートや最先端企業の技術と力を集結し、来たるべきEV社会の可能性を追求普及させていくMobility Life Design事業の開発を目指すというもの。一般的な市販乗用EVのようなマスの部分については、大手の自動車メーカーに任せ、世界に誇れる最高性能を持つハイパーEVプロジェクトの「ピン」と、低価格でだれでも乗れる便利で身近なモビリティのプロジェクトである「キリ」の、EVのピンとキリの両方でナンバー1を目指す、というビジネスモデルとなる。
福武總一郎タジマEV最高名誉顧問からのメッセージの代読から始まったその報告会では、さまざまな成果と、EV推進の取り組みなどが紹介されたが、田嶋氏から、今回、そのピンとキリの両方の車両のイメージが発表された。
ハイパースポーツカーを生み出す「ハイパーEVプロジェクト」も紹介され、フロント2輪、リア4輪の6輪車であること発表された。その名称はモンタジの展開してきた「E-Runner」と奥山さんが展開している「KODE」のそれぞれ名称を使った「Monster E-Runner KODE6」という車両名であるという。2020馬力を発揮し、0→100km/h加速は1.95秒という世界には現存しない加速度を持つ車両となる。この加速を受け持つためにリヤに4輪を配置。車両サイズは全長4850mm×全幅2100mm×全高1190mm、車両重量は1950kg、乗車定員は2名となる。
さらに、KEN OKUYAMA DESIGNの奥山清行デザイナーから「独立駆動制御による新たなEVの可能性」と題した研究成果発表の中でその詳細が説明された。6輪それぞれが独立制御され、車両の運動制御には、東京大学の堀・藤本研究室の制御技術が活かされることとなる。
シャシーコンセプトは、シャシーそのものの中にバッテリーが入っている。カーボンファイバーはその特性上、前後の断面を開放してもきちんと剛性が出せるモノコック構造ができるため、このカーボンの中に空気を通してバッテリーを冷却し、気流の一番速い屋根から空気を引き抜こうというデザインとなる。フィンは高速時のスピン防止と、流速が速いのでここから空気を抜くエキゾーストパイプとしての役割を持つ。
その車両はカーボンファイバーを使用したコクピットタブ、そのセンタートンネルおよびバルクヘッドの後ろにバッテリーを搭載し、フロントに2基、リヤに4基のモーターを搭載するというもの。タジマEVが開発を続けるモンスターバッテリーは効率が良いため空冷式となっているので、カーボンフレーム内を通す風で冷却。モーターは水冷式となるが、そのためフロントから取り込んだ空気はセンタートンネル内のバッテリーと、両サイドのラジエターに流されることとなる。
インバーターと一体となったモーターはダイレクトドライブとなっており、リダクションギアのみでトランスミッションはないため軽量化に寄与している。4つのモーターの味付けによって、最高速と加速度を用途に合わせてチューニングが可能という。下面にはフラットボトムでリヤにディフューザーを設けているため、リヤウイングは装着しない。ドアについては、2ヒンジの上に開くドアになるだろうという。
実車両は数週間のうちに完成するようだが、2019年8月にアメリカ・カリフォルニアで開催となるモントレー・カー・ウィークのクエールで発表する予定で、すでにブースは押さえてあるという。この場での反響を見て、購入予定者と一緒にクルマを最終的に仕上げていく形となる。台数の発表はしないがかなり限られた台数になるという。
気になる価格だが、発表会後に田嶋氏に尋ねたところ「2.8ミリオンダラー」という。為替レートによって変更となるものの、1台約3億円ということとなる。
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