ホンダは2021年1月28日に新型PCXシリーズを発売した。原付二種のPCX、156ccのPCX160とともに、先代の「PCXハイブリッド」から進化した「PCX e:HEV」もラインアップされる。原付二種ハイブリッドモデルはどう生まれ変わったのか。試乗インプレとともに詳しく解説する。
ホンダ「PCX e:HEV」インプレ・解説(太田安治)
スムーズなアシストで頼もしい加速を発揮する
量産市販二輪車初のハイブリッドモデルとして2018年9月にデビューしたホンダ・PCXハイブリッド。4バルブエンジンと新作フレームを備えた新型は、同社のハイブリッド自動車と統一性を持たせるために車名が「e:HEV」となったが、基本的な機構は変わっていない。
PCXシリーズが装備しているアイドリングストップ/再始動機能は、発電機とスターターモーター(セルモーター)を一体化したACGスターターが受け持つ。このモーターのトルクをエンジン始動後も利用して加速力をアシストするのがパラレル式ハイブリッドで、モーターのみでの走行はできない。
アシスト効果を感じやすいのはスロットル全開でのゼロ発進と、いったんスロットルを閉じてからの再加速。アシスト力はスロットル操作、車速、エンジン回転数によって自動制御されるが、全開発進時は3秒間フルアシストし、その後1秒でアシスト量が減る。
PCXと乗り比べると、ス~ッと優しく動き出すPCXに対し、e:HEVは誰かが後ろから押しているか、追い風を受けているような感覚。アシストの唐突さは全くなく、予備知識なしで乗ればハイブリッドであることに気づかないだろう。とはいえ、試乗した坂道の多い市街地ではe:HEVの加速が自然に感じ、通常のPCXに乗り換えると40km/h程度までは加速に物足りなさを覚えた。
PCXはアイドリングストップ状態からスロットルを開けるとエンジン始動し、次に遠心クラッチが繋がって発進する。エンジンが掛かっている状態に比べてスロットルオンから動き出しまでの時間が0.4秒遅くなるが、e:HEVはこのタイムラグを全く感じないのもメリット。信号待ちや渋滞などで発進停止を繰り返す市街地でもストレスフリーだ。
ベースのPCX自体の加速性能が高まったため、特に平坦路におけるe:HEVの優位性こそ薄くなったが、山間部や2人乗りの頻度が多い人ならe:HEVの「優しい力強さ」が頼もしいはずだ。
ホンダ「PCX e:HEV」女性ライダー インプレ(木川田ステラ)
Sモードの加速はハッキリしていて、発進から飛び出すような加速を感じられます。DモードではSモードと比べると少しマイルドですが、アシスト機構のおかげで心地良い加速を楽しめます。125より少し車体が重いですが、よく切れるハンドルのおかげで取り回しもしやすく、どんなシーンでも乗っていて楽しかったです。
ホンダ「PCX e:HEV」足つき性・ライディングポジション
シート高:764mm
ライダーの身長・体重:176cm・62kg
2021年型PCXシリーズのポジションは全車共通。フロアボードの横幅が広がり、足の外側がフロアボードからはみ出すこともなくなった。シート高は764mmに抑えられ、側面を削いだ形状と併せて足着き性に優れている。
ホンダ「PCX e:HEV」特徴解説
ホンダ「PCX e:HEV」主なスペック・価格
[ 表が省略されました。オリジナルサイトでご覧ください ]
文:太田安治、木川田ステラ、オートバイ編集部/写真:南 孝幸
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