在宅勤務の増加も間接的に影響
text:Felix Page(フェリックス・ペイジ)
【画像】売上にも大きく響く半導体不足【影響を受けているメーカーの人気モデルを写真で見る】 全171枚
translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)
半導体の不足が自動車産業やテクノロジー産業に影響を与え続けており、複数の大手自動車メーカーが生産ラインの一時的な閉鎖を余儀なくされている。
問題がなかなか解消されないのは、自動車業界に振り分けられる半導体の供給量が限られているためだ。新型コロナの影響により在宅勤務に切り替える人が増加し、パソコンやタブレットの需要が高まっているため、半導体はそうしたテック産業に回されている。その傾向はいまだに続いている。
多くの自動車メーカーは、生産を継続するための回避策として、部品のサプライチェーンの見直しを急いでいる。分析会社のHISマーキットは先月、この部品不足によって世界の生産台数が前年同期比で70万台近く減少する可能性があると指摘していたが、最終的にはそれ以上になる可能性もある。
各社の状況と今後の見通しはどうなっているのだろうか。
フォード
オートモーティブ・ニュース・ヨーロッパによると、欧州市場向けのフォード・トランジット(バン)を製造しているトルコの工場は、予定していた夏の閉鎖を前倒しし、4月19日から6月13日まで閉鎖されるとのこと。
ドイツのザールルイにあるフォード・フォーカスの生産ラインは、2月下旬から操業を停止しており、残り約20日間の閉鎖が予定されている。また、7月31日までの間、ギャラクシー、クーガ、モンデオ、Sマックス、トランジット・コネクトなど複数のモデルが影響を受ける。
また、ドイツではフィエスタ、ルーマニアではプーマの生産ラインが閉鎖されるが、その影響は極めて軽微だ。
人気の高いピックアップトラックF-150の生産も一時停止していたが、5月3日から2週間、米国内の複数の工場で操業を停止することが決まっている。
デトロイト・ニュース(The Detroit News)紙によると、対象となる工場では、米国向けのF-150、トランジット、エクスプローラー、リンカーン・アビエーター、およびグローバル市場向けのマスタングの生産を行っている。
同紙では、製造部門の副社長であるジョン・サボナが従業員に宛てた社内メモを引用している。
「フォードの北米工場は、世界中の自動車メーカーや他の産業と同様に、世界的な半導体不足の影響を受け続けています」
「あなた方がディーラーや顧客のためにできる限りのクルマを製造している間、舞台裏のわたし達のチームは追加の部品を調達するために懸命に働いています」
ジャガー・ランドローバー
ジャガー・ランドローバー(JLR)は、半導体の不足により、同社最大規模の生産拠点である2つの工場の操業を少なくとも1週間停止する。
英国のキャッスル・ブロムウィッチ工場とヘールウッド工場では、月曜日から「限定的な非生産期間」を実施する。半導体の供給状況によっては、7日後に操業を再開する可能性もある。
対象となるモデルは、キャッスル・ブロムウィッチ工場で生産されているジャガーXE、XF、Fタイプと、ヘイウッド工場で生産されているランドローバー・ディスカバリー・スポーツ、レンジローバー・イヴォークだ。
レンジローバーとジャガーFペースを製造するソリフル工場は、スロバキアのディフェンダー工場、ブラジルと中国の工場と同様に操業を継続する。
JLRの広報担当者は、AUTOCARに対し次のように述べている。
「他の自動車メーカーと同様に、当社も現在、半導体の世界的な供給状況をはじめとするサプライチェーンの混乱を経験しており、生産スケジュールや一部の車両における世界的な需要を満たす能力に影響を与えています」
「その結果、一部の車両の生産スケジュールを調整し、4月26日よりキャッスル・ブロムウィッチ工場とヘイウッド工場で限定的な非生産期間を設けることになりました。ソリフル工場では生産を継続します」
「当社は、影響を受けるサプライヤーと緊密に協力して問題を解決し、顧客への影響を可能な限り最小限に抑えています」
メルセデス・ベンツ
メルセデス・ベンツの親会社であるダイムラーは、2021年第1四半期の売上高が前年同期比13%増となったが、半導体危機の影響はあるという。
「ダイムラーは、この供給不足が第2四半期の売上高にさらに影響を与える可能性があると予想しています」と声明で述べているが、第3四半期および第4四半期には回復が期待できるとしている。
同社は今週初め、部品不足による生産能力の低下に伴い、ドイツ国内の1万8500人のスタッフを対象に、4月23日から労働時間を短縮した。オートモーティブ・ニュース・ヨーロッパによると、影響を受けるモデルはCクラス、EQC、GLCなどだ。
プジョー
ステランティスがロイター通信に明かしたところによると、現行のプジョー308は仕様を変更し、2020年の改良で導入されたデジタルメーターからアナログ式のメーターに切り替えて、その後生産を終了するという。
308の販売期間はあと数か月しかなく(新型が先月公開された)、ロイターによると、ステランティスは「半導体危機が終わるまでの間、自動車生産の本当のハードルを回避するための、気の利いた俊敏な方法」と述べているようだ。
プジョーが入手した半導体は、SUVの3008をはじめとする人気の高い新型車に集中しており、不足分を考慮した変更はまだ行われていない。
なお、新型308の発売が延期されたり、デジタルの「iコクピット」が搭載されなくなったりするという話は出ていない。
テスラ
テスラも半導体不足の影響を受けており、CEOのイーロン・マスクは「テスラでは、これまでに経験したことのないような困難なサプライチェーンの課題がある」と認めている。
しかし、同社の第1四半期の利益が3億1500万ポンド(474億円)に達するとともに、同期の自動車販売台数が過去最高を記録したことを受けて、マスクは「その特別な問題」は収まったと述べた。
2月に不特定の「部品不足」のためにカリフォルニア州フリーモントでの生産を2日間停止したにもかかわらず、2021年の最初の3か月間で記録的な18万4400台を納車している。
テスラがどのようにして部品不足の影響を最小限に抑えることができたのか、完全には明らかになっていないが、マスクは先日、SNSで「重要な部品を提供してくれたテスラのサプライヤーに感謝」と投稿しており、供給体制が確立されていると思われる。
フォーブス誌が報じたように、同社は限られた半導体の供給を量産車であるモデル3とモデルYに振り向けることもできたようで、モデルSとモデルXの納車はすべてディーラーの在庫から行われている。
フォルクスワーゲン
フォルクスワーゲン・グループは、半導体不足による第2四半期の生産への影響が、第1四半期よりも深刻になると予想している。
グループ傘下のセアトブランドのウェイン・グリフィスCEOは、フィナンシャル・タイムズ(FT)紙に対して次のように述べている。
「サプライヤーやフォルクスワーゲン・グループ内から、第2四半期にはかなりの困難に直面する必要があり、おそらく第1四半期よりも難しい課題であると言われています」
正確な予測は明らかにされていないが、グループは以前、今期は10万台の生産不足を見込んでいると述べていた。FT紙によると、グループは今年後半の落ち込みを補うために必要な生産能力がないと見ているようだ。
グリフィスは同紙に対し、セアトのマルトレル工場での生産は現在「余裕がない状態」で行われており、どのモデルを生産するかはすべて供給に基づいて行われていると述べている。
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