2021年1月14日に開催された、『RENAULUTION(ルノーリューション)』というタイトルのビジネス戦略を発表するオンライン発表会は、なかなか見応えがあった。
柱となったのはこれからの電動化時代を見据えての計画で、2025年までに7つのピュアEVと7つのハイブリッドカーをデビューさせるということ。
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ルノー・グループが抱える各ブランドについても触れられて、一時はブランドの継続が不安視されていたアルピーヌが継続することも、それが当たり前とばかりに発表された。
しかも驚いたことにロータスと協業でA110の後継となる電動スポーツカーを開発していくこと、ルノースポールやルノースポール・レーシングを統合してモータースポーツを含めた活動を展開していくこと、それにBセグメントのホットハッチやCセグメントのスポーツ系クロスオーバーの計画もあること、などが明らかにされた。
が、僕も含めたある一定の世代にとって、思わず変な声が出ちゃうぐらいのインパクトがあったのは、ルノーのパートだった。
それは前CEOが残した傷跡を埋めて正しく前に進むためにルノー・グループに呼ばれ、昨年7月からCEOに就任しているルカ・デ・メオ氏が情熱を込めてプレゼンテーションを展開している中でのこと。
初めて見るのにどこかで見たことがあるような、新しいのに懐かしいような、そんな姿をしたクルマが画面にパッと映し出されたのだ。
文/嶋田智之、写真/Renault、日産、FCA
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あのルノー“5”がEVになって帰ってくる!
2021年1月14日に開催された「RENAULUTION(ルノーリューション)」にて発表されたルノー5 EVコンセプト
えっ? これ、サンク? デ・メオ氏が新しいルノー・サンク(フランス語の“5”)復活を計画しているとクチにする前に小躍りをはじめちゃったのは、間違いなく僕だけじゃない。
そう、かつての名車であるサンクが、近い将来、ピュアEVになって帰ってくることが計画されているのである。
いや、待て。サンクの名を聞いて無条件に興奮するのは、クルマ好きのベテランといえるオヤジ世代だけかも知れないから、ちょっとだけ説明をしておく必要があるだろう。
サンクは初代が1972年から1985年、“シュペール・サンク(スーパー・サンク)”と呼ばれる2代目が1984年から1996年にかけて生産され、いずれもヨーロッパでベストセラーとなった小型ハッチバックだ。
ルノー初代サンク(販売期間:1972年~1985年/全長3520mm×全幅1525mm×全高1410mm)
人気の理由の筆頭は、間違いなくそのスタイリングにあった。昔から例えスポーツカーであっても実用性を無視しないフランスでは、当時、2ドアの大衆車は成功しないという風潮があった。が、初代サンクは2ドア+ハッチバックという出で立ちで登場した。
後に4ドア+ハッチバックのモデルも追加されることになるのだが、2ドアであるからこその軽快さを活かして小粋にデザインされたサンクのスタイリングは、自分達には金属製の荷車みたいな道具感あふれる大衆車しか手に入れられないとうんざりしてたパリの洒落者達に、物凄く大きなインパクトを与えたことだろう。
加えてサンクは、フランス車らしく実用的であったのはもちろん、イメージどおりに軽快に走ったし、何より乗り心地のよさが抜群だった。
驚くほど凝った内部構造を持つシートの座り心地も、自宅のソファを凌ぐほどの快適さだった。小さなハッチバックに求めるものが、すべて満足度の高いレベルでパンパンに詰め込まれていた。
走りにこだわるドライバーに向けて、ルノーの傘下におさまったばかりのアルピーヌがチューンナップを加えた高性能版、サンク・アルピーヌも1976年に追加。
サンク・ターボは、世界ラリー選手権のホモロゲーションモデルとして製作された。製作当時のルノー最高価格で少量販売された
後に世界ラリー選手権で勝つためにサンクを大改装してミドシップにしたサンク・ターボを作り上げ、4勝を上げたりもしてる。当時のフレンチ・コンパクトとしては無敵と言ってもいい存在だったのだ。
1996年まで現役を続けたシュペール・サンク
その成功を背負って登場することになった2代目のシュペール・サンクは、“上手くいってるものはやり方を変える必要がない”を地でいくような、完全なキープ・コンセプトだった。
初代サンクの小粋なイメージを綺麗に踏襲しながらゼロからデザインしなおしたのは、ランボルギーニ・ミウラやカウンタックなどを手掛けたことでも知られるマルチェロ・ガンディーニ。人々の心を集めるのが巧みなデザイナーだった。
ルノー2代目サンク(販売期間:1984年~1996年/全長3590mm×全幅1585mm×全高1385mm(3ドア))
もちろん中身の方も変えるべきとことは変えながらも築き上げてきたものを捨てたりはせず、刷新と熟成を矛盾なく寄り添わせた作り。全体的なレベルアップを果たしながらも、サンク特有の乗り味をしっかりキープした出来映えのいい小型ハッチバックとして高い評価を得た。
サンクもシュペール・サンクも、ルノーにとってもファンにとっても、忘れることのできない大きな存在なのだ。
ならば、デ・メオCEOが“なるべく多くの人に手の届きやすい価格を実現させる”というふうにはっきりと市販化を明示した、次世代のサンクはどうなのだろう?
サンク・アルピーヌも復活!? 新型はフィアット500を復活させた辣腕が指揮
そのスタイリングは、サンクにもシュペール・サンクにも競技車両だったサンク・ターボにも、似てるといえばよく似てる。が、じっくりと観察していくと、元ネタからそのまま持ってきたような部分はなく、かつての名車達の特徴的なモチーフを巧みにアレンジしながら組み合わせつつ、全く新しくデザインされたものであることが判る。
デザイナーであるジル・ヴィダル曰く、「このプロトタイプは、ルノー伝統のサンクを基にしつつ、都会かつその時代にあった魅力的な乗り物であることを体現しているデザイン」だという
“初めて見るのにどこかで見たことがあるような”と感じたのは、そうした高度な技術によってデザインされた造形だから。シンプルでクリーンでどこか小粋なイメージは、紛れもなくルノー・サンクのそれである。
それでいてノスタルジーにばかり走ってるわけじゃなく、新しいクルマとしてのまとまりのよさを感じさせる辺りはさすが。
懐かしいディテールを発見して感涙する僕達のようなオヤジ世代や熱心なマニアにも、そんなの関係ないからとにかくスタイリッシュなクルマが欲しいという若い世代にも、自然に受け入れられるスタイリングだろう。
少し前まではグループPSAのデザイン部門のひとつの柱でありながら昨年秋にルノーへと移籍してきたジル・ヴィダルと彼のチームが関わっているようだが、なるほど、と思わされるものがある。
他にも細かく観察していくと語れることはあるにはあるけれど、逆をいうなら観察して判ること以外は何ひとつ判らない、というのが現状。
まぁプロトタイプなのだから、というよりもおそらくデザイン・スタディに近いものなのだから、仕方ないといえば仕方ない。
ピュアEV車であることは発表されたが、パワートレーンについては詳しくは発表されなかった
ピュアEVであることは明らかにされているものの、パワートレーンがどうなるかなどの具体的なアナウンスは今のところ何もない。
“メガーヌeヴィジョンとか同じアライアンスの中にある日産アリアが使う217ps/300Nmの前輪駆動用がここにも使われるのか?”だとか、“ちょっと待て、アルピーヌがBセグのホットハッチを作るっていうことは、これをベースにした新しいサンク・アルピーヌも復活するんじゃないか?” だとか、想像を膨らませることを楽しみながら待つしかない。
でも、何となくいいクルマになるんじゃないか? という気がしているのは、これを牽引してるのがルカ・デ・メオ氏その人だから、かも知れない。
彼は以前、フィアット・グループに在籍し、当時のセルジオ・マルキオンネの右腕として、世界的に有名な歴史的名車であるフィアット500の復活と市場導入を大成功に導いたり、アバルト・ブランドの復活にも大きな役割を果たしてきたという経歴を持っているのだ。
かつての古巣はもうひとつの──ピュアEVとしてのフィアット500をデビューさせ、すでに高い評価を受け始めてる。アイコンとしての大きさの違いこそあれ、サンクの注目度だって、欧州では日本人の一般的な人達が思っているほど小さなものじゃない。
マーケティング戦略の巧みさで知られるデ・メオCEOなら、この新しいサンクも間違いなく成功に結びつけるんじゃないか?
疫病収まらず気持ちが沈みそうになる昨今だけど、おかげで何だかとっても気持ちがワクワクしてきた2021年新春なのだった。
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みんなのコメント
正直、スズキから出てても違和感ない感じするけど